私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

ヒトコトモ言ってオリマセ〜ン!!


※注意
今回は残酷な描写があります。






「その条件って何?」
と小林が尋ねてきた。
「5年前、私達が高2の時にクラスメイトが
1人転校したの覚えている? まぁ忘れるはずが
無いだろうね〜だって
ーー貴方達、率先虐めてたしね〜」
「「……ッ!?」」
そうだ。
この2人はクラスで広樹を虐める際に率先して
虐めていた連中だった。
小林は暴力で広樹を虐めていた。
……まぁ広樹に返り討ちにあったが。
その後はこの女子、佐藤達数人と広樹の根も葉も無い
悪評を学年中に吹き込んだ。
「クズだな……」
国木田に至っては軽蔑の目を2人に向けている。
日頃、滅多に怒らない彼がこの様な表情をするのだから
世間的にもクズなのだろう。
(まぁ私からすればクズ以下なんだけどね)
「で、私が貴方達に聞きたいのは何でクラスメイトを
虐めたのか? って事なんだ」
ここであえて広樹をクラスメイトと言ったのは
彼らに私の本当の目的を悟らせないためだ。
「な、何で5年前の事を今更……」
「そ、そうだよ。何で今更……」
「まぁね、私もどうでも良かったんだけどね」
(嘘、そんな訳無い!! 私にとっては何よりも
大切な事だ!!)
「ただ、ある人に頼まれてさ……
そのクラスメイトが好きな人がさ、その時の状況を
知りたがっていて、私は頼まれたの。
"その時の状況を教えて"って」
「だ、誰だよ!! あんな暴力男を好きになる奴なんて
頭おかしいだろう!! ひ、樋口は俺達クラスメイトより
その依頼人を優先するのか!?」
「そうだよ!! 私達クラスメイトでしょ?」
(あ〜うるさいなこのバカ共は……)
「あれ〜そんな口きいていいのかな〜?
ーー秘密バラすよ〜? それでもいいなら
喋ってどうぞ? 嫌なら私の質問に答えて」
「……」
「……」
2人はさっきまでの騒がしさが一気にひそまり
黙りこんだ。
「まぁ、いいや。
ーー1分あげるよ。考える時間あげるから
ゆっくり考えなよ。ではスタート〜」
と私はスマホのタイマーをかけた。
2人は互いに見て、少し間が空き……
「……分かった。話す」
「そう〜ならいいや。じゃ、話してもらえる。
あっ、変な真似しないでね? 隣にいる彼
結構強いよ?」
「……知ってる? 僕、力より頭脳タイプだよ?」
「さぁ!! 話してもらおうか!!」
「無視かい!?」
隣で国木田が何か言っているけど無視しよう。
「……俺は友達から誘われたんだ。
"澁澤は彼女に暴力を振るっている。
だからシメよう"って」
「あっ、そういえば小林君って三浦の事
好きだったもんね〜好きな子を取られて嫉妬したんだ〜」
「な、何でそれを!?」
「私が貴方の質問に答える必要は〜無い!!
ーーって事ではい!!次里奈ちゃん!!」
と私は佐藤里奈を指差した。
「わ、私も友達から……
"澁澤は暴力で言う事を聞かせる最低なクズだから
虐めても何も問題無い"
って言われたから……」
「虐めても問題が無いね……
ここまでバカだと呆れを超えて逆に賞賛するよ」
「お前ら……自分の意見は無かったのか!?
何で人から聞いた事を鵜呑みにしたんだ!!」
国木田は切れて、今にも2人の首を掴むような
勢いだった。
2人は国木田の勢いに驚いて完全に怯えていた。
「はい、国木田。どうどう」
私は彼の前めがけて腕を伸ばした。
「ストッパーが先にブレーキ外してどうするのさ。
落ち着いてよ〜」
「……ごめん。熱くなりすぎた」
「いや国木田ありがとう、怒ってくれて。
ーーは〜い!! 変な邪魔が入りましたが〜
じゃあ〜悪口を広めたお二人に聞きますが〜
何で貴方達はそのまま虐めたんでしょうか?
ーーあぁ小林君は大丈夫だった。
里奈ちゃんに聞いてみましょう〜」
「だ、だって!! あの時、虐めないと私が今度
虐められるから……私は耐え切れないよ」
「その耐え切れないことを人にはするんだ〜
ーーうん、清々しいぐらいの悪人だ。
極悪人だ!! 極悪人里奈ちゃんだ〜!!」
「私は悪くない!! 小林の方が悪いよ!!
だ、だって暴力振るっているんだよ!?」
(今度は"私悪くないですよ"アピールか〜
いや〜笑っちゃうよ〜)
試しに小林を見てみると
「佐藤テメェ!! お前だって同じだろ!!」
「あんたの方が暴力や部活の件があるじゃん!!」
「そういうテメェだって普通に虐めてんだろ!!」
と今度は2人が喧嘩をし始めた。
「はぁ……バカが2人。何しているんだか」
国木田はお決まりの頭に手を当てて呆れていた。


その後、2人からしばらく話を聞いた。
「さて、聞くだけ聞いたし帰ろうかな」
「も、もう終わりか……?」
「私ももう帰れるよね?」
「うん、2人とも大丈夫だよ〜」
私がそう言うと2人ともホッとした表情を浮かべた。
「あっ、でも1つ忘れていた。
ーーお〜い入ってきていいよ」
と私が部屋の外に声をかけると
中に数人の男女が入ってきた。
「誰だい、この人達は?」
国木田が私に不思議そうに聞いてきた。
「あっ、言ってなかったね。
ーーでも彼らの表情を見れば分かるよ?」
「彼ら……? あぁそういう事ね」
「お、おい!! な、なんだよこいつら!!」
小林が怯えながら聞いてきた。隣の佐藤は声すら出せず
完全に固まっている。
「ん? 貴方達は知ってるんじゃない?
ーーだって虐めてた人達なんだから」
今回私が呼んだのは彼らが虐めていた人達
要するに強い恨みを持つ人達だ。
「樋口!? お前こいつらに喋ったのか!?」
「いやいや私が貴方達と約束したのは悪事を話さない事
貴方達のいる場所を教えないって
ヒトコトモ言ってオリマセ〜ン!!」
「そ、そんな……」
「嘘だろ……」
2人はこれから自分達にどんな事が起こるのか
理解したようで表情が怯えの表情になっていった。
「樋口さん」
「どうしたの国木田。まさか酷いなんて言わないよね」
「いや、僕も彼らに同情はしない。
ーーせめて彼らがどうなるかぐらいは見届けようと」
「意外だね〜国木田がそんな事言うなんて。
いいよ。私は外に出ているから」
「分かった。校門の前でまた会おうか」
私は教室の扉の方に向けて歩き出した。
そして扉に手をかけて
「ここは旧校舎だから。そんなに人は来ないよ〜
だから時間は沢山あるよ〜。
ーー良かったね、反省する時間が沢山あるね」
「ま、待て……」
「翔子ちゃん……」
私は最後に彼らに笑顔に向けて
「ーー反省しとけクズが」
と言い放った。





ショートストーリー
〜とある会計の処理〜

「さて、樋口さんは去ったかな・・・」
僕は同期が出ていた方向を覗いた。
「よし、いないな。さて・・・」
僕は目の前で完全に怯えている2人を見た。
そして
「ーーなぁ君ら、取り引きしないか?」

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