私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

一度乗りかかった船



国木田と祝賀会をしてから数日……
「でも……これから何をすればいい?
教えて大先輩!!」
「いきなり呼ばれたと思ったらこれかよ……」
目の前の大先輩こと国木田は頭に手を当てて呆れていた。
「ねぇねぇ国木田の頭に手を当てるのって癖〜?」
「誰かさん達のせいで癖になりかけているよ!!」
「わぁ〜そいつって悪い奴なんだね〜
国木田も大変だね〜」
「七海は可愛いから許すが、それ以外は許さん」
「彼女贔屓だ〜少しは同期を労われ〜!!」
「というか自覚あるんだな!? てか早く話進めようよ」
「そうだね〜全く誰だろうね。話を脱線させたの」
「こいつめ……!!」
わぉ国木田がキレる寸前だ。
そろそろ話を始めないと彼が本当に怒る。
「前に、私が変わるって言ったじゃん?」
「確か祝賀会の時だよね?」
「そうそう。私変わろうと決めたんだけどさ
ーー何をすればいいのか分からないんだ」
「あらら……」
「広樹に会うのも考えたんだけど……
それじゃあ前とほとんど変わってないかなと
思ったわけだよ〜」
「会おうと思っただけ充分変わったんじゃないの?
だって前まで会おうと思えなかったんでしょ?」
「いや前からの思いが大きくなっただけだよ。
ーー結局失敗したし。いや〜笑っちゃうよ」
「樋口さん……」
と国木田は悲しそうな顔をする。
彼は優しすぎる。だからこんな私ですら心配する。
「国木田〜ここは笑うところだよ〜?
バカな同期の失敗談なんだからさ〜」
「君の行動はバカなんじゃないよ。
だから笑う事は僕には出来ない」
「全く〜国木田は硬いんだから〜
まっ、貴方がそう思うならそうなんだろうね」
「そうだよ。普通なら動けないのも君は行動したんだから
自信持ちなよ」
「ねぇ国木田。
ーーそれって私へのナンパ?」
「次から君を慰めるのやめていいかな!?」
「ごめん、ごめんって許してちょ?
この可愛い翔子ちゃんに免じてさ」
「自分から可愛いって言う奴、僕絶対信じないんだよな」
「全世界の可愛い女の子の言う事は信じなくても
私だけは信じてよ〜!!」
「可愛いのは七海だ!! 七海の言葉は信じるが
特に君の言葉は半分以上信じないからな!!」
「ーーって事で何か良い案ない?」
「唐突に話変えるのやめてもらえないかな!?
話についていけなくなるからさ!!」
「そこは頑張れ大先輩!!」
「真面目に意見するのやめていいかな……僕。
今すぐ帰って七海を抱きしめてもふもふしたい」
「やっぱり七海の身体って柔らかいの〜?」
「言うか!?」
(いやでも国木田。さっきの発言で大体察しがつくよ)
この同期は頭がいいようでどこか抜けている。
まぁだから接しやすいのかもしれない。
「とりあえず僕から言えるのは
ーーあの事件もう一度調べてみたら?」
「あの事件って、広樹のアレ?」
「そう、君が変わる原因になった事件。
だって色々と疑問あるじゃん?
犯人はあのクズだとしてもさ、あんなに何もかも
順調に事件起きますかね?」
「言われてみれば……」
あの頃の私は怒りに全てを任せていたため
背後関係がどんな風なのかを考えてなかった。
今考えてみると色々と疑問がある。
「でしょ? 君が変わる前に君が変わる原因になった
事件をしっかりと把握した方がいいじゃない?」
「そうだね……まずはそうしよう、かな」
「僕も出来るだけ助けるよ」
「へっ?」
「いやだから僕も助けるよって事」
「なんで国木田が私を助けるの?」
「あのね……一度乗りかかった船から今更降りるなんて
真相が気になって無理な注文だよ。
だから君が何と言おうが僕は手助けをするからね」
国木田は口では真相なんて言っているが本心は
私を心配しての事なんだろう。
「はいはい、勝手にして」
私はやや照れくさくなり返事がおざなりになった。

という感じでお節介でお人好しの同期の助言により
私の当面の目標は定まった。

コメント

  • サク. ap

    樋口さんのボケと国木田のツッコミのコンビが癖になる(笑)

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