私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

もう終わらせよう










常村がいなくなって数日
担任は表情こそは普通だが、元気が無かった。
「先生……体調大丈夫ですか?」
クラスメイトの1人が担任に尋ねた。
「あ……大丈夫よ。心配ありがとうね」 
(どうやら担任にはそれなりにダメージは
与える事が出来たみたい……)
余程彼氏である常村が退学になったのが
ショックなのだろうか?
(ザマァ〜まぁ当然の報いだよね〜
……敵は弱っている内に倒す。
最大限の注意を払ってね)
元々、担任は真綿で首を絞めていく様に
ゆっくりゆっくり復讐していこうと思って
いたのだが、計画変更をする事にした。
(と、いうかあの疲れって常村を退学にした犯人を
連日探しているからなんだよね〜)
私が前に担任をつけていた時にあの担任は
私を目撃した警備員に話を聞いたりしていて
明らかに犯人を探している様だった。
私自身はヘマはしてないつもりだが
どこに証拠があり、そしてそれがもしかしたら
私に繋がるかもしれない。
(それはマズイからもう終わらせよう。
あんたも私も、お互い全てさ)
と決意すると私は自分の作戦を進めるのであった。






次の日
私のクラスがホームルームを行っていると
ピンポンパンポン〜
放送が始まるチャイムが鳴った。
「あら、こんな時間に放送かしら?
珍しいわね……」
と担任が呟くと
「これはとある夕方である」
と機械的な音声が流れた。
「えっ、誰?」
クラス中が一気に騒がしくなった。
そして放送が始まった。


ーー

「いや〜先生、今日はありがとうな
来てくれて嬉しいよ」
「いや貴方に会いたかったからいいのよ
だって貴方は私の彼氏でしょ?」
「先生、嬉しい事言ってくれるじゃん〜
先生は俺の彼女だからな」
「ふふ、ありがとう」
「あっ、そういえば先生」
「ん?どうしたのかしら?」
「あの暴力男どうした?」
「あぁ澁澤ね」
「そうそう、そんな奴だよ。
あいつってどうしたんだ?」
私は次の担任が言う言葉に耳を疑った。
「無論、退学してもらったわ
ーーだって貴方からの頼みだもの」
「おっ、マジでー助かるわ〜
あいつ邪魔だったんだよ〜」
「本当よ、私の彼氏を殴ってくれて。
まぁ元から気に食わなかったからいいけど」
「なんだよ先生〜嬉しい事言ってくれるじゃん」
「というか貴方も随分ご両親のコネを使って
あの家族を追い出したわね〜」
「あれ?バレてた?」
「まぁそんな気がしていたわ」
「というか先生も、随分会議であいつを
退学にしろって言ってたよな?」
「貴方のためよ。
あんなのいたら邪魔だもの
まぁ流石に今回の貴方の行動には驚いたわ」
「だってよ、あいつの彼女欲しかったんだよ〜
ーーまぁ、もう飽きたけどな」
「あらやだ次は私が捨てられるのかしら?」
「いやいや先生は捨てないですって〜
俺先生大好きですもん」
「……先生としてかしら?」
「先生意地悪だな〜」
「嘘よ、ごめんね」
「いいよ、許す」
「「アハハ〜」」

ーー

私があの日録音した、常村と担任の逢引の
音声だった。
「ち、ちょっと誰よこんなイタズラした人!?
答えなさい!!」
担任はとても慌てていた。
それはそうだろう。
教師と生徒が付き合っているという事もアウトに
近い上に、更に自分のクラスの生徒を
邪魔だからという理由で退学にしたという事を
自らの口から言っているのである。
「……せ、先生、今の話って本当ですか?」
クラスメイトの1人が担任に尋ねた。
「そ、そんな訳無いじゃない!!
私がそんな事する様な人間に見えるの!?」
担任は必死に弁明するものも、クラスメイトの目つきは
かなり冷ややかだった。
「え、何……これ?」
別のクラスメイトが驚いた声を出した。
「どうしたの?」
「こ、この写真って……」
そのクラスメイトは周りの人達にスマホを見せた。
「これって先生と常村じゃん!!」
それは私が日々、集めた2人が密会している写真だ。
その写真を学校の掲示板とやらに沢山貼った。
「う、嘘よ!! 私のはずが無い!!
きっと合成よ!!」
いくら担任が叫ぼうともクラスメイト達は誰も
聞く耳を持たなかった。
全員が担任を軽蔑の目で見ていた。
(……さてさてここまでは大丈夫だな。
もう今日で担任とは決着つけよう)
私は1人心の中で決意するのだった。







次回担任と決着

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