私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

頑張れ・・・私





広樹が居なくなって4日目
私は相変わらず部屋から出れてなかった。

ーー今が朝なのか夜なのか

ーー外の天気はどうなのか

カーテンを完全に締め切った部屋から見ることは
出来ないし、そもそも興味は無かった。
「もう嫌だ・・・」
私はこの言葉を何度言ったか正直覚えていなかった。
この4日間でかなりの数を言った気がする。
最悪近くにナイフとか刃物があったら
手首を切っていたかもしれない。
ただ私自身が不器用であったため、部屋に置いていない。
いつも私が家にいる時は読書やゲーム、勉強をしているが
それすらやる気になれない。
「学校行きたくない・・・もう何もしたくない・・・」
もしかしたら私はこの部屋から一生出れないかもしれない。
正直それも考えた。
私自身やりたい仕事や夢も無いし、部屋のパソコンを
使えば大半の事が出来る。
ただ・・・
「それだと・・・お母さんやお父さんに迷惑を
かける・・・」
私が部屋から出ないと私の両親がかなり心配する。
流石に私の個人的な事で今まで育ててくれた両親に
これ以上迷惑をかける訳にはいかない。
「そろそろ起きないと・・・」
そう思い、身体を起こそうとするのだけど
力が全く入らない。
「が、が、が、頑張れ・・・私・・・」
まるで身体から力が全部抜けたかの様に力が入らない。
「こ、これ以上、迷惑か、かける訳にはいかない・・・」

その後、5分以上かかって私は自分の部屋を出た。



私は若干フラフラしながら1階のリビングに向かった。
「お、おはよう・・・」
「あっ、翔子ちゃん・・・もう大丈夫なの?」
母は私を見るなり、私の心配をしてきた。
「う、うん・・・頑張る」
リビングの時計を見ると正午だった。
「翔子ちゃん、無理してないかい?」
何故かリビングには父もいた。
「あ、あれな、何でお父さんいるの・・・?」
「翔子ちゃんが3日間引きこもっているって
母さんから聞いたら、心配で有給使って休んだよ」
「・・・娘バカ?」
私は思わず思った事を口に出した。
「いや、否定はしないんだけどさ辛辣すぎて
お父さん泣きそうだよ?」
父は若干落ち込んでいた。
「翔子ちゃん・・・本当に無理してない?
無理は身体に悪いわよ?」
「これ以上・・・迷惑かける訳にはいかないよ
私は・・・大丈夫だよ・・・」
「別に私達に迷惑なんて気にしなくていいのよ?」
「そうそう、翔子ちゃんはまず自分のことを優先
してくれたらいいよ」
やっぱり私の両親は優しい。
こんな私にここまでしてくれるなんて。
正直その優しさに甘えたい気持ちもある。
(でも、これ以上甘えたら、私はダメになる・・・)
私にとっての世界の広樹はもういない。
だけど日々は過ぎていく。
どんなにもがいても明日は来る。
その中でも私は日々を過ごしていかなければならない。
「と、とりあえず頑張ってみる・・・」
(頑張れば、もしかしたら広樹にまた会えるかも
しれない・・・)
そう思い私は自分に気合いを入れるのだった。



だが不幸か幸いか私の頑張る目標はすぐに
見つかるのであった。

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