私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

この胸に・・・




結局その日は昼休みまでの授業は寝た。
元々連日泣き疲れていたのだろう、すぐに寝れた。
今まで私は授業で寝た事なんて無かった。
「でも・・・今日の範囲は予習済み・・・」
ただノートを取っていないのでノート提出が心配だ。
こういう場合は友達に見せてもらうのが妥当なのだけど
あいにく私にはノートを写してくれる程仲が良い友達は
いない・・・
「・・・なんとかしよう」
と私は1人で決意をするのだった。

そして昼休みになった瞬間に私は弁当を持ち
教室から出て、図書室に向かった。
そして図書室の裏で本を読みながら昼食をとっていた。
広樹に彼女ができる前から私はずっと昼休みは
このようにしていた。
流石に昼食まで広樹と一緒にいたら、彼に迷惑だろうと
思い、私は入学早々昼休みに人が絶対に来ない場所を
探していた。そうしたらたまたま今の場所を見つけた。
ここは適度に日差しが当たり、風通しが良いので
私にとってのベストプレイスだ。
「もぐもぐ・・・寂しい・・・」
ここでの昼食はいつもの事だが
今日からはいつもの楽しみが無い・・・
「広樹・・・」
いつもなら教室に戻れば広樹がいて嬉しいが
今の状況では戻れば辛いだけだ。
そう思うと不意に涙が出てきた。
「うぅ・・・な、泣かない、泣かない私・・・
やれば出来る・・・多分」
そもそも私には泣く資格は無い。
泣くほど辛いなら何故、広樹に告白なり行動
しなかったのだろうか。

ーーそれは私が臆病だからだ。

"もしも失敗したらどうしよう"
"今までの関係が壊れたらどうしよう"
なんて考えて足踏みしていたのだ。
そんな足踏みしていた私に泣く資格は無い。
だけど・・・
「うぅ・・・」
何故か余計に涙が出てきてしまう。
その時食べていたおにぎりはいつも以上に塩が強かった。



そして昼休みが終わる直前に教室に戻ってきた。
その後の授業も寝て終わり、放課後になった。
私はさっさと帰る準備をしていた。
その時・・・
「ねぇ広樹〜」
「なんだい亜紀?」
「今日は帰りどこに寄って帰る?」
「寄るってここ田舎だぜ?寄る場所無いだろ・・・」
「全くノリが悪いな〜広樹は」
と広樹と彼女である三浦亜紀の会話が耳に入った。
気づかれないようにそちらを向き、見てみると
仲睦まじく会話をしている2人が目に入った。
なんか見ていてとてもお似合いだった。
(そりゃ私の自慢の幼馴染だもん)
2人ともとても幸せそうに話していた。
それを見た私は悲しいと思うと同時に諦めがついた。
(だって私は絶対あんな風に広樹を楽しませることが
出来ない・・・それに比べて三浦さんはお似合いだ)
そう思うと、少し心がスッキリとした感じがした。

ーー確かに私は悲しい。

ーーでも広樹が笑っている。

ーーなら広樹が楽しく過ごせる様に私は身を引こう。

ーー広樹が笑ってくれれば私も嬉しい。

ーーこの大きなりすぎた恋心は消えないと思うけど・・・

ーーこの胸に鍵をかけてしまっておこう。





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