私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

序章

「はっ、はっ、はっ」 
私は走る。
目の前の人物に追いつくため。
目の前の人物は歩いているが一向に追いつかない。
「待って広樹 ︎」
「・・・」
私がいくら呼びかけても広樹は反応すらしない。
この行為を何回繰り返したのか覚えてない。
そして何回目だろうかやっと広樹に追いついた。
「広樹・・・」
私がそう呼ぶと、彼は私を振り向いた。

ーー憎しみに満ちた目で

「翔子まであいつらと同じことをするのか?」
「私はしないよ ︎私はあんな奴らじゃない ︎」
「嘘だろ、また俺を袋叩きにするんだろ。
分かっているさ」
「広樹、私を信じてよ ︎私は絶対広樹を信じるから」
と私が言うと、彼は一層強く睨み
「黙れ、どうせお前も同じことをするんだろ」
彼は一呼吸置き
「ーーこの裏切り者」

「はっ ︎」
私が目を覚ますと朝の7時だった。
「夢か・・・夢だよね・・・」
私が夜着ていたジャージを触ってみると
汗でびしょ濡れだった。
常村に半ばトドメを刺してから、ほぼ毎日この夢を
見ている。そして最後に決まってあの言葉を言われる。
「裏切り者か・・・」
確かに私はそうなのかもしれない。
いつも広樹に助けてもらっていたくせに
いざ彼が困っていた時に助ける事が出来なかった。
常村を高校から追い出したのも広樹が退学した後だった。
広樹のピンチを見過ごしたのだ。
彼にそう思われてしまっても仕方ない。
「ーーのくせに未だに彼の事が好きなんだよね」
私は未だに彼の事が忘れられない。

ーー彼の笑顔

ーー彼の仕草

ーー彼の声

私はそれらを忘れられない。
いや、忘れる事が出来ない。
なんとも、まぁ未練タラタラな女だろう。
「それだけ広樹の存在が私にとって大きいんだよね」
私にとって広樹は世界そのものだった。
広樹が他の人や世界との連絡口であった。
今では普通に友達なんかと会話したり普通に生活
しているが、こうなれたのは全て広樹のおかげである。
「って朝から悲観に浸っている場合じゃないよね。
大学行く準備しないとね」
私は大学に行く準備をしようとして、いつもの様に
自分のスマホを見た。
「あれ?メールだ。誰だろこんな時間に?」
送り元を見るとそこには私の母と書いてあった。

私はこの時もらったメールが後に私にとって
大きな問題を引き起こすとは想像しなかった。
そのメールの内容とは・・・

「東中学校同窓会のお知らせ?」

ーー東中学校

それは私と広樹が一緒に入学し、卒業した最後の学校だ。
高校は広樹が退学してしまった為、一緒に卒業してない。
まさかその同窓会が開かれるなんて・・・
「懐かしいな・・・あそこは広樹との思い出が
沢山あるんだよね〜」
私はあの頃の思い出を振り返っていた。




次回から樋口の過去編に突入

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