チートなはぐれ魔王の規格外な学園生活

つくつく

11決戦前日

そこからの数日はあっとう間に過ぎていき、今日は実力試験の前日だ。
マオーは、机に伏せながら横目でエリカを見た。
マオー「なぁエリカ」
エリカ「なに?」
エリカはマオーを見向きもせずに本を読んでいた。
マオー「俺らって結局何をすればいいんだ?」
その言葉にエリカは、はぁ。とため息をつき読んでいた本を閉じた。そして、マオーに視線を向けると
エリカ「私達の勝利条件は被害を出さずに魔族を倒すことよ」
マオー「じゃあ。俺は魔族を倒せばいいんだな?」
エリカ「えぇ。…だけどあなたを使うのは困った時だけよ。それ以外は基本待機よ」
それにマオーは体を起こすと
マオー「なんでだよ!」
と抗議をした。
それを聞いていたベルが欠伸を一度すると
ベル「私達が表向きに戦った時のデメリットがある」
マオー「…魔族にバレる?」
ベル「…ん。それもある。けどそこはそんなに大きくない。人からバレた方がダメ」
マオー「…分かったよ」
そう言ってマオーは立ち上がった。
エリカ「ちょっとどこ行くのよ?」
そうエリカに言われ
マオー「…風に当たってくる」
そう言うと、エリカ達を残して教室を出て行った。放課後なのだが驚くほどに人がいないなぁ。と思いながら外に出た。少し歩き、辺りに人がいないのを確認すると。
マオー「出て来いよ」
そう言うと背後から足音がした。そちらを見ると、フードを被った男が立っていた。
マオー「で?俺に何の用だ?」
「…貴様魔族だな?」
その反応に少し傷つきながらも、当然だなとも思う。なぜなら見た目が本来の姿と“ほんの少しばかり”違うのだ。今は角もなければ翼も尻尾もない。故に魔族だと気付いても魔王だとは思わなかったのかもしれない。
そんなことを考えていると
「ふん。まぁ、どうでもいいが俺の上は魔王の1人だ。貴様も出方には気おつけるんだな」
そう言い残すとその男は姿を消した。
俺も魔王なんだけどな。と思っていると
ベル「マオー。やっぱりこんな事はやめるべき」
といつからそこにいたのかベルが強い口調で言ってきた。
マオー「…」
ベル「マオーは、他のマオーよりも強い。けど1人じゃ勝てない」
そうだろうなと思う。馬鹿な俺でもそれぐらい分かる。結局1人では群れに勝つ事はできない。だがー。
マオ「ベル。俺は1人じゃない」
ベル「何も分かってない!」
とベルが突然大声を出した。下を向いたままぎゅっと力強く手を握っている。
ベル「マオーは何も!何も分かってない!マオーは1人。人間は正体を知れば敵になる。勇者だってそう!利用してるだけ!マオーは1人になる。そしたら!そしたら…」
と涙を必死で堪えながらこちらを見てくる。
そのあまりにも愛おしいく可憐な少女の顔を見つめた。
魔王「…じゃあ、俺を1人にしないでくれ」
ベル「…」
魔王「俺は全力でお前を守る。ベルが死んじまったら俺は一人で寂しいからな」
そう言って頭を優しく撫でた。
魔王「とりあえず明日は、俺らで出来ることをやろう」
それにベルは黙って頷き二人は教室に戻り帰り支度を済ませて下校した。

一方その頃
フードを被った男が屋上に入ると別の男が立っており、歩いて近づくとそのまま跪いた。
「忠告をしてきました」
そう言うと男は笑みを深めた。
「おい!あいつはまだ動くだろうからその時はお前が足止めをしろ」
そう言うと、奥から影が動きもう一人が出てきた。
「わかりました。魔王さん」





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コメント

  • つくつく

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