ドラゴン&メイド喫茶へようこそ!
第三話
その日は雨だった。だから外に出ることも出来ない。というか、この場所だけの閉鎖空間だって話を聞いていたけれど、どうして雨が降るのだろう?
かつてティアに聞いたら、家庭菜園のためには仕方ないことだ、なんて言っていたけれど。
そういうわけで本との話は今日はお休み。軒下に隠しているので雨に濡れることはない。ちょっと湿気が心配だけれど。
「メイト、食事が出来たわよ」
「はあい」
窓から視線を戻し、僕はテーブルの椅子に腰掛ける。
テーブルには焼きそばが盛り付けられたお皿がのっていた。マキヤソースの香りが香ばしい。野菜もそれなりに混ざっているので彩りも綺麗だ。これは全部お母さん――メリューが作ったものになる。
「だけれど、僕は野菜が嫌いだ」
「あらあら。野菜も食べないと大きくなれないよ」
「そうだぞ、メイト。野菜も食べないと、お父さんみたいな屈強な身体は作れないぞ」
お父さんは皿洗いをしながら、その皿のごとく綺麗な歯を見せて笑みを浮かべている。
「……それにしても、どうして父さんと母さんは結婚したの?」
ふと気になったことを口にしてしまった。
それを聞いた父さんと母さんは首を傾げ、
「うん? どういうことだい?」
「どういうことなのか、教えて欲しいな。母さんもよく分からなかった」
「……つまり、父さんと母さんのなれそめを教えて欲しい、ってこと?」
「うーん……そうなるのかな」
「だとしたら簡単だよ。偶然僕がここに迷い込んじゃってね。食事を食べたお礼に皿洗いをしたらそれが馴染んじゃったのさ。気づけばゴールイン、ってわけ。うん、あんまり面白くないかもしれないけれど、これがなれそめ」
「……そんな単純なの?」
「何が聞きたいの? メイトは。さっきから何か、疑問を浮かべているようだけれど」
「メイト、疲れているのですよね?」
僕の言葉を割り入るように、ティアは言った。
ティアはどうしてそこで僕に言葉を言わせたくなかったのだろう?
まるで――さっきのなれそめが嘘みたいな、そんな風に聞き取れるのに。
「う、うん。少し疲れているのかな。ご飯、食べ終わったら少し横になろうかな」
「あら。大丈夫? 体温測った方が良いんじゃない?」
「大丈夫だよ。寝たら直ぐに良くなるから。……ご馳走様」
僕は適当に食事を終わらせて、寝室へと戻る。
僕は、確信する。
ティアは何か隠し事をしている。
そして、その隠し事は、このボルケイノにまつわる何かだ――と。
かつてティアに聞いたら、家庭菜園のためには仕方ないことだ、なんて言っていたけれど。
そういうわけで本との話は今日はお休み。軒下に隠しているので雨に濡れることはない。ちょっと湿気が心配だけれど。
「メイト、食事が出来たわよ」
「はあい」
窓から視線を戻し、僕はテーブルの椅子に腰掛ける。
テーブルには焼きそばが盛り付けられたお皿がのっていた。マキヤソースの香りが香ばしい。野菜もそれなりに混ざっているので彩りも綺麗だ。これは全部お母さん――メリューが作ったものになる。
「だけれど、僕は野菜が嫌いだ」
「あらあら。野菜も食べないと大きくなれないよ」
「そうだぞ、メイト。野菜も食べないと、お父さんみたいな屈強な身体は作れないぞ」
お父さんは皿洗いをしながら、その皿のごとく綺麗な歯を見せて笑みを浮かべている。
「……それにしても、どうして父さんと母さんは結婚したの?」
ふと気になったことを口にしてしまった。
それを聞いた父さんと母さんは首を傾げ、
「うん? どういうことだい?」
「どういうことなのか、教えて欲しいな。母さんもよく分からなかった」
「……つまり、父さんと母さんのなれそめを教えて欲しい、ってこと?」
「うーん……そうなるのかな」
「だとしたら簡単だよ。偶然僕がここに迷い込んじゃってね。食事を食べたお礼に皿洗いをしたらそれが馴染んじゃったのさ。気づけばゴールイン、ってわけ。うん、あんまり面白くないかもしれないけれど、これがなれそめ」
「……そんな単純なの?」
「何が聞きたいの? メイトは。さっきから何か、疑問を浮かべているようだけれど」
「メイト、疲れているのですよね?」
僕の言葉を割り入るように、ティアは言った。
ティアはどうしてそこで僕に言葉を言わせたくなかったのだろう?
まるで――さっきのなれそめが嘘みたいな、そんな風に聞き取れるのに。
「う、うん。少し疲れているのかな。ご飯、食べ終わったら少し横になろうかな」
「あら。大丈夫? 体温測った方が良いんじゃない?」
「大丈夫だよ。寝たら直ぐに良くなるから。……ご馳走様」
僕は適当に食事を終わらせて、寝室へと戻る。
僕は、確信する。
ティアは何か隠し事をしている。
そして、その隠し事は、このボルケイノにまつわる何かだ――と。
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