異世界に来た俺は自分の物語を始める

ハルト

英雄と言われた騎士と伝説の猛獣

身体が痛みを越してもう死んだと思わせるほどに俺は、倒れ込んでいた。
割れた額から流れてくる血が地面にぽたぽたと垂れていた。
微かに見えるバキラの姿を見て絶望を感じた。
俺は、何も出来なかったのか……。
苦笑いを浮かべているのだろうか?頬が上に上がっている感じがする。
口を開くと血が出てくる。
呼吸することすら困難だと言うのにバキラは、俺をまだ痛みつようとしてきた。
これ以上やられたら完全に死だ。
やつを睨みつけ右手を真っ直ぐ動かし、地面に落ちていた剣に右手を伸ばした。
感覚があるものの剣を持つ力など今なかったのだ。
刹那……バキラがうぉぉぉぉぉぉと雄叫びを上げた瞬間左牙が突然切断された。
牙からは、血が出てくるわけでは、なかったが今までに聞いたことのないような吠え方をした。
俺が剣を突き刺した時よりも吠えていた。
しかし、勝手に切断などありえない。
誰かが切断しないと切れ方がおかしい。
そう思った瞬間風がばっと吹上た。そして、風が何かを囲むかのように吹く。
風が止むと微かに掠れる目でも分かるほど輝いていた黄色い髪の毛。
輝く剣がいっそうその人を輝かさせる。
「待たせたね。怪我を負っているが今こいつを倒してから君を救うよ」
彼は、輝いていた。
そう言ってから彼は、自分の目の前に剣の刃をバキラに向け戦う姿勢をした。
その刹那俺の肉眼で追えるほどのスピードでは、ないのが一瞬で分かるほどのスピードを出していた。
バッタバッタ切り刻んで行く彼を追うことなど出来ずバキラもまた手で、簡単に踏み潰せることなど出来ず唸りを上げながら切られていく。
バキラの身体が切られていくのを見ることしか出来ない俺だがそれでも助かったのなら何よりだ。
どんどん切られていくバキラの身体。
彼の匂いを追いながら手で彼を踏み潰そうとしているらしいが一向に当たることも無く地面が地割れのようにひび割れて行く。
しかし、その割れ目が良かったのか彼の動きが割れた地面に引っかかり動きが止まってしまった。
彼の身体が自然に転がって行く。
そこを付いたようにバキラが手で彼を踏み潰そうとしていた。


…………。


肉球であるバキラの手が止まった。
まさに踏み潰せるとバキラが確信した時だった。
彼の表情も驚きを隠せないほど驚いており彼は、息を切らすことも無くただバキラが何故踏み潰せる状況であったにも関わらず踏み潰さなかったのかがだけが引っかかっていた。
しかし、そんな彼も納得行ったのかバキラの顔を見て笑った。
こんな状況にも関わらず。
しかし、彼が笑ったのも俺のせいだろう。
彼が顔を上げ光に照らされた剣を見て笑顔のような表情を取っていた。
「悪、わ、悪いけどこれぐらいしか出来ない」
バキラの左目に突き刺さっている剣を見て笑顔を見せた。
「十分さ」
ニヤリ頬を上に上げにやつく表情をしながら5m近くあるバキらの頭まで一気に飛ぶと思いっきり頭のど真ん中に剣を突き刺さす。
バキラは、これ以上声が出させないほど吠えた。
まさにこの伝説の猛獣との討伐が終わったかのように。





俺は、そのままバキラが倒れ込むのを見た後に微かに見える目で彼を見ながら痛む横腹を抱えてその場に倒れ込んだ。
しかし、まだ身体が機能する。つまりまだ死んでは、居ないのだろう。
誰かかの声が聞こえる。
彼なのだろうか?……しかし、女性の声もする聞き覚えのある声が。
何を話しているのかは、全く分からないが確かに俺は、今心地いい。



「シャリー様……で……私……何……」
一つ一つの言葉を俺の脳内では、理解をしないように機能しない。
だが俺は、彼に救われた。
そのまま気絶してしまった。

「ところでハルト何故ここに?私は、ジャンさんから助けて欲しいと言われてここに来たんだけど」
「私は、たまたまこちらに用がありました。しかし、傷を負った冒険者がここに1人残っていると言われましたので」
「なるほどね。とりあえずこの伝説のバキラは、倒したんだしハルト流石英雄ですね」
「いえ、英雄は、あまり慣れないものですね。それに何より私は、ただのシャリー様に使えする騎士ですよ」
「まぁこき使うから安心しといて……ところでレイだけどどうしようか?」
「彼を知っているのですか?」
「まぁ色々あってね。とりあえずジャンさんに当たってみるね。もしジャンさんの家に泊めてくれるならレイを泊めましょう。もしダメなら私の城にでも招くわ」
「かしこまりました」
彼は、上を見上げ今日の出来事を胸に刻む。




俺は、ふと目を覚ました。
目の前に豊かな丸いものが2つぶら下がっており朝の一発目からその丸いものが刻まれた。
「大丈夫ですか?」
声がする。
俺は、目を閉じたり開いたりしながら無理矢理目を覚醒させると丸いものは、胸だったと、思考が停止した3秒後に気づいた。
上に顔を向けると灰色の髪が肩まであり灰色の目を輝かせながらこちらを見つめてくる美少女がいた。
なんだ夢か。
「身体の傷痛みませんか?」
そう言われ肩をグリっと回すと痛みを感じ声を上げることも出来ずに足をバタバタさせた。
つまり痛みがあるってことは……夢じゃない。

前にもこんな展開あったな。
美少女ね……美少……美……美少女!?
俺は、いい朝を迎えた。

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