ニート 異世界で チート になる。
9話 森の手前、森の中で
異世界六日目、鳥の鳴き声で目が覚めた。極めて健康的な起床方法だと思う。アニメにあるシーンみたいだ。
お腹が空いていたから早速、自然の目覚まし時計を捕獲、調理する。
大切に食べていた食料もついに尽きてしまったからだ。水は魔法で作れるしいいのだが、食べ物はそうはいかない。
昨日の薪の残りに朱雀に〈チェンジ〉してファイヤーアローを一本、近距離で撃ち込む。薪が半分くらいすっ飛んだのは仕方ない。下の枯れ草が燃え出さないように〈チェンジ〉してウォーターボールを軽く放つ。
ついでに空になった水袋を補充してマントと一緒にストレージに収納する。
鶏の羽根をむしり、アクアカッターで捌く。
魔法の無駄使いだと思うかもしれないが、練習になるし何よりレベルもあがる。
魔力も1分に5ずつ回復するから沢山余っている。使ったって問題ない。まぁ、魔力保有量の少ない奴が見たらキレるだろうけど。
綺麗に内臓を出したら地面をシャドウクローを連続で抉り、穴を掘って埋める。処理しないと魔物が寄ってくるからね。
しばらくして鳥の丸焼きが完成。うん、焼き目も素晴らしい。
自分で言うのもなんだけど俺ってこういうの上手い。
パリッ
パリパリに仕上がった鶏皮が破け、肉汁が溢れる。肉は新鮮だったからかふんわり程よい火の入り方だ。
切った方が食べやすいけど大胆にかぶりつくのもいいもんだな。
流石に食べきれないから半分をストレージに収納する。
こういう保存方法は劣化を気にしなくていいから楽だ。
                                            ◆
岩山を出発して2時間ほど。ファイヤーアローをぶちまけながら進んできた。
今日からは街の手前にある森に入る予定だ。飛ぶのは上手くなってきたから飛び越せば済むのだけれど魔法のレベル上げがしたい。
森に入れば何かしらいるだろう。
「〈チェンジ〉天竜。」
朱雀はLv20まで上がっているからそろそろ交替だ。天竜もLv9にはなっているが、ライトソードしか使いやすいのがなかったからあまり今まで使わなかった。
ちなみにリーフィー・シー・ドラゴンは結構使ったから朱雀と同じLv20、バステトがLv10、ウサギがLv5、ラタトスクとオリハルコンスライムが共にLv1だ。
鬱蒼としたジャンルを思わせる木々の楽園に足を踏み込む。
飛ばないのは蔦や低木が沢山あって飛んで入るのは難しいからだ。
昼前の日が葉っぱを透して緑に輝く。キレイだ、と思う。都会じゃ見れないもんね。
街の方向に一直線に進んでいく。
邪魔な枝をライトソードで切断、落ちてきた枝が体に当たる前に閃駆で回避する。
当たるギリギリに回避するのが面白くて、沢山遊んで...もとい 練習した。
おかげで森に入って3時間くらいで両方ともLv15まで上がった。
色が濃くなってきたからか威力もあがった。軽く切りつけるだけでスパスパと枝が切れるのが楽しい。
そして落ちてくる枝を閃駆で完璧に回避する。
レベルが上がると精度も安定するらしい。はじめは思うように動けなかった閃駆も神経を研ぎ澄ませれば上手く出来るようになった。
たまに襲ってくるニシキヘビくらいのデカいフォレストスネイクもライトソードで簡単に対処出来る。
すぐに倒さないでちょこちょこと相手のHPを削って、ヤバくなったらヒールをかけ、言葉は悪いが いたぶりながら 進む。
腕の中でくたっとしたフォレストスネイクが もうやめて という目で見てくる。 
レベル上げのためなんだ。そんなに見るな...見るんじゃない。
あんまりにも可哀想だったからヒールを連続でかけてから森に放した。フォレストスネイクが森の奥に見えなくなるまで見送る。小さい子がする お願い! の視線は、ある意味最強かもしれないな。
                                           ◆
またしばらく歩いていると、
「キャーッ!」
と女の子の悲鳴が聞こえた。
ここに来て初めての人間だ。足が自然と方向を変える。
「「「「「キャーッ!」」」」
ん?今度は沢山聞こえたぞ?何人いるんだ?
念のため天竜から普通の動物のリーフィー・シー・ドラゴンに〈チェンジ〉しておく。神獣が理由で絡まれたりしたらやだもんね。
バカ高い速度を生かした高速移動ですぐに現場にたどり着いた。
そこにいたのは黄色い長い髪をした女の子と、女の子を追いかける巨大サル4頭。
いきなり複数に襲われたみたいだ。
「〈アクアカッター〉!」
水の刃が1頭のサルの身体を肩から脇腹にかけて切り裂く。
連続で切りつけて倒すと、女の子に手を伸ばして追いかけているもう1頭の顔面にウォーターボールを当てる。苛ついたサル(フォレストモンキー)がこちらにやってきたから同じようにアクアカッターで切り伏せた。
「「キィキィ!」」
残りの2頭が激昂して襲いかかってきたが、ウォーターボールの大きめのを押し込んで盾じゃないがシールドバックをする。
これが上手くいって、数メートル先にフォレストモンキーの巨体が落ちる。
そこにアクアカッターで素早く仕留める。
とっとと倒す方が安全だろう。
残り1頭もウォーターボールで足留めして、水刃で遠慮なく頭から切断した。
「...大丈夫?」
女の子に歩み寄って尋ねる。膝をついて俯いたままだった女の子の足は擦りむいたのか血が出ていた。
眼を瞑っていたのをいいことに、こっそり天竜に〈チェンジ〉してヒールを発動。ケガはすぐにキレイに治った。このくらいなら普通に処置出来るみたいだ。
「〈リリース〉」
動物化を解き、傍にしゃがむ。泣いているのかな?と思って落ち着くのをじっと待つ。
「あなたが助けてくれたの......?」
女の子はゆっくりと顔を上げるとじっと俺を見る。
なんかむず痒いな...。
「そうだよ。間に合って良かった。」
まだ辺りを気にしている女の子に にこっ と笑って見せる。
女の子もそれで安心したのか、安堵の息を吐いた。動物化していたようで〈リリース〉を唱えて解除した。髪の色が明るい赤茶色になる。
と、俺の簡単な装備を見て、
「...あなたも金稼ぎかしら?でもいくら強くてもそんな服で来られるような森じゃないのよ...?」
「え?」
金稼ぎ?
「あなた、オリジナの住人じゃないの?もしかしてニフィート出身?」
「へっ?」
ニフィート?
「いくら魔力に自信があるからってそんな装備じゃ死んじゃうわよ?!」
「???」
ちょっと待て...追い付けないんだけど。
えーと、
「最近山奥から降りていたんだ。今はオリジナに向かってる途中なんだ。」
それん聞いてさらに女の子は困惑した表情をする。
あれ?アニメとかなら へぇそうなの くらいの反応のはずなんだけどな?
「あなたバカなの?森を迂回する安全な道があるのに!森を突っ切ろうとするなんて!」
愕然とした。マンガなら ガーン とでかくかかれているだろう。
...な!何だって!?
道なんてあったのか!?
マジか、それならこんな苦労はしなかったしすぐに人にも会えたはず......!
「き、気づかなかった......。」
女の子は唖然としている。
どうも呆れられたみたいだ。
「私はオリジナに住んでるの、名前はリリィよ。あなたは?」
さっきのは聞かなかったことにしたらしい。
「俺はハルユキ。ハルでいいよ。」
リリィが驚いたように えっ? という。
「あなた、男だったの!?私、てっきり......!」
すいません。男です。女子ってよく言われます。
「なんかごめんね?騙した訳じゃないけど...。」
リリィは首を振ると、
「あなたみたいな男子は初めてだったから分からなかった......。」
とまだ驚きながら言った。もしかして、
「男って大きい人が多いの?」
うん。と答えられたからちょっと心が痛い。俺は自分の小柄な身体を恨みながら、リリィとオリジナの街に向かって道を歩きだした。
さぁ、ついに街だ。やっと俺の異世界ライフがまともに始まる!
                                           
お腹が空いていたから早速、自然の目覚まし時計を捕獲、調理する。
大切に食べていた食料もついに尽きてしまったからだ。水は魔法で作れるしいいのだが、食べ物はそうはいかない。
昨日の薪の残りに朱雀に〈チェンジ〉してファイヤーアローを一本、近距離で撃ち込む。薪が半分くらいすっ飛んだのは仕方ない。下の枯れ草が燃え出さないように〈チェンジ〉してウォーターボールを軽く放つ。
ついでに空になった水袋を補充してマントと一緒にストレージに収納する。
鶏の羽根をむしり、アクアカッターで捌く。
魔法の無駄使いだと思うかもしれないが、練習になるし何よりレベルもあがる。
魔力も1分に5ずつ回復するから沢山余っている。使ったって問題ない。まぁ、魔力保有量の少ない奴が見たらキレるだろうけど。
綺麗に内臓を出したら地面をシャドウクローを連続で抉り、穴を掘って埋める。処理しないと魔物が寄ってくるからね。
しばらくして鳥の丸焼きが完成。うん、焼き目も素晴らしい。
自分で言うのもなんだけど俺ってこういうの上手い。
パリッ
パリパリに仕上がった鶏皮が破け、肉汁が溢れる。肉は新鮮だったからかふんわり程よい火の入り方だ。
切った方が食べやすいけど大胆にかぶりつくのもいいもんだな。
流石に食べきれないから半分をストレージに収納する。
こういう保存方法は劣化を気にしなくていいから楽だ。
                                            ◆
岩山を出発して2時間ほど。ファイヤーアローをぶちまけながら進んできた。
今日からは街の手前にある森に入る予定だ。飛ぶのは上手くなってきたから飛び越せば済むのだけれど魔法のレベル上げがしたい。
森に入れば何かしらいるだろう。
「〈チェンジ〉天竜。」
朱雀はLv20まで上がっているからそろそろ交替だ。天竜もLv9にはなっているが、ライトソードしか使いやすいのがなかったからあまり今まで使わなかった。
ちなみにリーフィー・シー・ドラゴンは結構使ったから朱雀と同じLv20、バステトがLv10、ウサギがLv5、ラタトスクとオリハルコンスライムが共にLv1だ。
鬱蒼としたジャンルを思わせる木々の楽園に足を踏み込む。
飛ばないのは蔦や低木が沢山あって飛んで入るのは難しいからだ。
昼前の日が葉っぱを透して緑に輝く。キレイだ、と思う。都会じゃ見れないもんね。
街の方向に一直線に進んでいく。
邪魔な枝をライトソードで切断、落ちてきた枝が体に当たる前に閃駆で回避する。
当たるギリギリに回避するのが面白くて、沢山遊んで...もとい 練習した。
おかげで森に入って3時間くらいで両方ともLv15まで上がった。
色が濃くなってきたからか威力もあがった。軽く切りつけるだけでスパスパと枝が切れるのが楽しい。
そして落ちてくる枝を閃駆で完璧に回避する。
レベルが上がると精度も安定するらしい。はじめは思うように動けなかった閃駆も神経を研ぎ澄ませれば上手く出来るようになった。
たまに襲ってくるニシキヘビくらいのデカいフォレストスネイクもライトソードで簡単に対処出来る。
すぐに倒さないでちょこちょこと相手のHPを削って、ヤバくなったらヒールをかけ、言葉は悪いが いたぶりながら 進む。
腕の中でくたっとしたフォレストスネイクが もうやめて という目で見てくる。 
レベル上げのためなんだ。そんなに見るな...見るんじゃない。
あんまりにも可哀想だったからヒールを連続でかけてから森に放した。フォレストスネイクが森の奥に見えなくなるまで見送る。小さい子がする お願い! の視線は、ある意味最強かもしれないな。
                                           ◆
またしばらく歩いていると、
「キャーッ!」
と女の子の悲鳴が聞こえた。
ここに来て初めての人間だ。足が自然と方向を変える。
「「「「「キャーッ!」」」」
ん?今度は沢山聞こえたぞ?何人いるんだ?
念のため天竜から普通の動物のリーフィー・シー・ドラゴンに〈チェンジ〉しておく。神獣が理由で絡まれたりしたらやだもんね。
バカ高い速度を生かした高速移動ですぐに現場にたどり着いた。
そこにいたのは黄色い長い髪をした女の子と、女の子を追いかける巨大サル4頭。
いきなり複数に襲われたみたいだ。
「〈アクアカッター〉!」
水の刃が1頭のサルの身体を肩から脇腹にかけて切り裂く。
連続で切りつけて倒すと、女の子に手を伸ばして追いかけているもう1頭の顔面にウォーターボールを当てる。苛ついたサル(フォレストモンキー)がこちらにやってきたから同じようにアクアカッターで切り伏せた。
「「キィキィ!」」
残りの2頭が激昂して襲いかかってきたが、ウォーターボールの大きめのを押し込んで盾じゃないがシールドバックをする。
これが上手くいって、数メートル先にフォレストモンキーの巨体が落ちる。
そこにアクアカッターで素早く仕留める。
とっとと倒す方が安全だろう。
残り1頭もウォーターボールで足留めして、水刃で遠慮なく頭から切断した。
「...大丈夫?」
女の子に歩み寄って尋ねる。膝をついて俯いたままだった女の子の足は擦りむいたのか血が出ていた。
眼を瞑っていたのをいいことに、こっそり天竜に〈チェンジ〉してヒールを発動。ケガはすぐにキレイに治った。このくらいなら普通に処置出来るみたいだ。
「〈リリース〉」
動物化を解き、傍にしゃがむ。泣いているのかな?と思って落ち着くのをじっと待つ。
「あなたが助けてくれたの......?」
女の子はゆっくりと顔を上げるとじっと俺を見る。
なんかむず痒いな...。
「そうだよ。間に合って良かった。」
まだ辺りを気にしている女の子に にこっ と笑って見せる。
女の子もそれで安心したのか、安堵の息を吐いた。動物化していたようで〈リリース〉を唱えて解除した。髪の色が明るい赤茶色になる。
と、俺の簡単な装備を見て、
「...あなたも金稼ぎかしら?でもいくら強くてもそんな服で来られるような森じゃないのよ...?」
「え?」
金稼ぎ?
「あなた、オリジナの住人じゃないの?もしかしてニフィート出身?」
「へっ?」
ニフィート?
「いくら魔力に自信があるからってそんな装備じゃ死んじゃうわよ?!」
「???」
ちょっと待て...追い付けないんだけど。
えーと、
「最近山奥から降りていたんだ。今はオリジナに向かってる途中なんだ。」
それん聞いてさらに女の子は困惑した表情をする。
あれ?アニメとかなら へぇそうなの くらいの反応のはずなんだけどな?
「あなたバカなの?森を迂回する安全な道があるのに!森を突っ切ろうとするなんて!」
愕然とした。マンガなら ガーン とでかくかかれているだろう。
...な!何だって!?
道なんてあったのか!?
マジか、それならこんな苦労はしなかったしすぐに人にも会えたはず......!
「き、気づかなかった......。」
女の子は唖然としている。
どうも呆れられたみたいだ。
「私はオリジナに住んでるの、名前はリリィよ。あなたは?」
さっきのは聞かなかったことにしたらしい。
「俺はハルユキ。ハルでいいよ。」
リリィが驚いたように えっ? という。
「あなた、男だったの!?私、てっきり......!」
すいません。男です。女子ってよく言われます。
「なんかごめんね?騙した訳じゃないけど...。」
リリィは首を振ると、
「あなたみたいな男子は初めてだったから分からなかった......。」
とまだ驚きながら言った。もしかして、
「男って大きい人が多いの?」
うん。と答えられたからちょっと心が痛い。俺は自分の小柄な身体を恨みながら、リリィとオリジナの街に向かって道を歩きだした。
さぁ、ついに街だ。やっと俺の異世界ライフがまともに始まる!
                                           
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