ニート 異世界で チート になる。

抹っちゃん

1話 異世界と言う名の神の遊び道具(オモチャ)

魔法使いはいない。
数多の剣士ももういない。
獣人も存在しない。

そう思っていた。 



                                               ◆


2018年 4月 9日  入学式という晴れの日に 一部の日本人が全員止まった。
大人、子供 関係なく時が止まった人たち。
そして響く無慈悲なアナウンス。

『神界より吉報です。本日より日本限定で神々の作られた〔ワンモア・ミサラジー・オンライン〕の試験配信が開始されます。現在 動けない方が記念すべき第一期参加者になります。おめでとうございます。』

突然のことに硬直する人々。信じもしなかった神々からの報告。知り合いの異常。
誰もが唖然として空を見上げた。声のもとを目で探す。

『試験生は意識のみ〔ワンモア・ミサラジー・オンライン〕にログインし、アバターで生活します。実際の身体は変化しないのでどんな管理をしても構いません。
何でもアリの基本戦闘の世界です。剣や魔法を使うファンタジー設定となっております。
クリア方法は最上級ボスを撃破することです。クリアするまで自発的にログアウトは出来ません。
クリアするまで試験生の身体は時が止まっています。戦況は引き続き私、娯楽神がアナウンスさせて戴きます。
試験生はインストール完了までの間、神界にて待機となります。
今後とも〔ワンモア・ミサラジー・オンライン〕を宜しくお願いします。』

そして日本から全人口の2割、25400000人の意識が地上から消えた。


                                            ◆


俺はさっきまで音楽を聴きながら部屋でゲームしていたはずだ。高校の入学式なのに俺は部屋に籠っている。
だが、見えるのは歪んだ灰色の世界。聞こえるのは脳裏に響く女の人の声。

『あなたは〈ワンモア・ミサラジー・オンライン〕の試験生に選ばれました。おめでとうございます。
インストールに時間がかかるため、神界にて基本講座を受けていただきます。』

はい?オンライン?インストール?なんか新しいゲーム入れたっけ?
そして急に視界が白んでいく。

『只今より神界へ転移されます。御武運お祈りいたします。良き新たなる人生を。』

その言葉を最後に俺の意識は呆気なく手放された。神界という未知の世界に向かって。



ザワザワ

なんだ?辺りが騒がしい。

ザワザワザワ

うるさいなぁ、俺はまだ眠いんだよ。

ザワザワザワザワ

「......っ!」

不快感を抱きながら跳ね起きる。誰だよ?うるさい奴は。

「なんだ、ここ?」

飛び込んできたのは一面真っ白な世界。純白のギリシャ風の神殿。空も地面さえも白い。薄い黄色の木漏れ日のような光が射し込んでいる。
辺りには俺と同じようにキョロキョロ周りを見回す沢山の人々。
そりゃ慌てるな。

『全参加者の覚醒を確認しました。これより〔ワンモア・ミサラジー・オンライン〕の基本初期講習を開始します。』

ザワッ!

この声はあの...!
周りの様子からして俺と同じような体験をしたんだろう。

『〔ワンモア・ミサラジー・オンライン〕は神々によって作られたVRMMOになります。
武器を取り、魔法を使い、レベルを上げ、果ての地にいる最上級ボスを打ち倒すことがクリア方法です。クリアすると地上へ戻れます。』

「ふざけんな!帰せ!」

「そうだ!何でこんなことにならなきゃならないんだ!」

「帰せ!帰せよ!」

『万が一死亡した場合、クリアまで待機となります。
現実に死亡することはありません。しかし、死同様の孤独があるでしょう。』

そうか、ここで死んでも大丈夫なんだ。○AOみたいじゃなくて良かった。でもやはり死なないのが一番だろう。これをしているのは神なのだから。何があるのかわからない。

『この世界はあなた方の暮らしていた地上をベースに構成されていますが、人物や建築物、文化などは違くなっております。また生活は主に自給自足になります。ご了承下さい。
この世界は 地球と同じサイズの異世界の設定になっています。
通常の生物は地上と同じです。ただし、虫など種類の多い種は簡潔にまとめております。
この世界の動物はあと4種あり、ひとつはあなた方を襲う魔物。これは倒すとアイテムや経験値がもらえます。
アイテムを売るとお金が得られます。各地に配置されているユニットに渡すことで売買が成立します。
その他の動物は、聖獣と、話獣と、神獣になります。こちらは
頭数が少ないためまず遭遇しません。
聖獣は新たにできた特殊な動物です。話獣は物語などに出てくる固有動物、神獣は神の使いまたは、神話上の動物型の神になります。

あなた方の種族は人間です。人間は弱い種族ですので他の動物の力をその身にうつす魔法が特典でつきます。
力はその人の魔力保有量によってなれる動物の数、選択可能範囲が広がり、好きな動物になれます。
では、ステータスを与えます。』

何処からともなく現れた透明な青いパネル。そこには



キタヤマ・ハルユキ

15歳

種族  人間

Lv  1

変化対象  0      残り8

ステータス

体力     5

攻撃     2

防御     2

速さ     51700

魔力     8621000




what?
何これ?
俺、弱っ!弱過ぎる!あ、でも1Lvだしな。みんなこんなもんか。

「体力が20しかねーよ。ヤバくね?」

「俺も25しかない。一発でも食らったらあぶねぇな。」

「ねぇどうだった?私17しか体力無いよ。」

「私もそのくらいしか......。」

「俺、攻撃30。お前らは?」

「26です。」

「まじ?俺58。」

「他は?」

ガヤガヤ

皆、二桁なの?!俺、一桁しかない...ヤバイ!!
最弱プレーヤー確定したよ...。あれ、でも速さとか魔力はめっちゃ高いな俺。
周りはこれも二桁なのに。バグったのか?これ。

『いいえ、違いますよ。』

んおっ?
あの声だ。

周りはまだステータスを言い合っている。聞こえたのは俺だけか?

『そうです。あなたに話しかけているんですよ。』

おおっ
返ってきたよ回答。

『バグではありません。それはあなたのステータスです。』

マジか。
てか、あんたは?

『娯楽神と申します。』

娯楽神?つまりグータラの神ね。ならこんなゲームで遊びたくなっても仕方ないか。なるほど。

『ひ、酷いです!確かに娯楽を楽しむ神ですがグータラとは!毎日だらけてますけどそれは暇だからで!神ならだらけるのは皆同じですよ!このVRMMOだって私たちからすれば遊びのひとつなんですよ?』

それって大神もグータラってこと?神ってそんなのなんだ。毎日、神棚に祈ってた俺のおばあちゃんも報われないな。
それに異世界にとばされた俺たちを見て遊びにするって?

「心外だ......。」

ボソッ

『ニートに言われたくなぁーいっ!引きニートのクセにーっ!』

ポンッ!

俺を罵る声とともに少女が現れた。
びしっと俺をしてくる。

こいつー!!!

「片手にポテチもってラフな格好してPlayStationやってる堕落神に言われたくない。」

『ぐうっ!!!』

オーバーなリアクションだな。てか図星すぎる。

『毎日ダラダラしてるニートのクセにーっ!それも家からでない理由がじぶ ...むぐっ!!!』

黙れ。それ以上言うな。

『この引きニートっ!』

少女が殴ってくるが痛くもないね。

『ニート!ニート!ニート野郎ーっ!』

この神ーっ!

「堕落神!グータラ神!アホの神がぁーっ!」

ハァハァ



気づいたら辺りの人がチラチラと此方を見ている。なんかハズイ。

『べーっ!』

娯楽神、いや堕落神はふよふよと神殿に向かっていった。
しばらくたち、またあいつの声が響いた。しかも神殿の前に大人になって現れている。勿論服は変わっている。

『全参加者のステータス確認を完了しました。
これより動物の力を受けていただきます。此方に全生物の力の結晶〔アニマル・オーブ〕がそれぞれ数量限定でございます。よく選んでください。それがあなたの力となります。』

堕落神が示した方向になにやらお祭りのときみたいな露店が沢山並んでいる。

『この通りにいる動物たちに願い、望めば力が与えられるでしょう。
基本初期講習を終わります。
鐘が鳴るまでに力を選び終わっていないと魔力保有量の許す範囲内でランダムで一種類与えられます。
インストール完了後再び神殿前に召集します。
節度によりビギナー特典のアイテム量が左右されます。お気を付けください。』

ニッコリと笑う女神。そのまま薄れていって消えた。

喚いたりしたらその分不利になるってことか。
皆の後について俺は露店街に入っていった。















コメント

  • 抹っちゃん

    一部訂正しました。

    0
  • 抹っちゃん

    初投稿で日本語が変なところもあると思いますが、楽しんで頂けるよう頑張ります。p(^-^)q

    0
コメントを書く

「冒険」の人気作品

書籍化作品