始祖の竜神と平凡の僕。
IV.自己紹介と旅支度
「全部見てたよ。……君は優しいね。僕も決心をしよう。……旅をしないか?」
「うんっ!」
こうして僕と竜神と名乗る女性による旅が始まるのだった……あれ?
「そう言えば互いに名前を知らないね。」
「あ……。」
僕は竜神か女性と呼んでいたが、あちらもあちらで同じような呼び方をしていたのだろう。だがそれではあまりにも不便である。ここらで自己紹介でもしておいた方が良いだろう。
「まあ、僕からいかせてもらうよ。僕の名前はアデル・リーデマス。アデルと呼んでくれ。」
「……私はリディルカ。竜神のリディルカ。」
リディルカ、か。それでは僕としても呼びづらい。戦闘時などに呼びづらい名前のせいで命を落とす……なんて事は無いとは思うが万が一の為だ。
「ルカ……でいい?」
「うん、いいよ。」
これで互いの自己紹介は終わりだ。僕達の関係はこれぐらいで良い。深くもなく浅くもない。程よい関係で続けていこう。
僕らは旅支度の為に一度別れることにした。ルカは容易が終わっていると言ったが、僕も個人的な物などが多くあるため、一人で手早く終わらせたいのであった。ルカには森に少しばかり食料を補給しに行ってもらう。僕からの願いと分かると全速力で駆けて行ったが。
「さぁーて。僕の支度もするか。」
僕はまず食料購入から始めた。ルカには動物を狩ってもらっているが、それは肉だ。肉だけで過ごす訳にはいかない。僕が購入しようとするのは野菜や果物、その他全般だ。さらに調理器具なども購入する必要がある。
市場で調理器具を購入していると当然、不思議に思った人が聞く訳である。
「あれ?街を離れるのかい?」
「はい、そうなんです。少し旅をしようかと思いまして。」
「そうか……さみしくなるな。」
今、僕が購入している店は行きつけの店である。ここの店主とは仲良くさせてもらっていた。この街には三年ばかり住んでいるので少し愛着が湧いているのだが、旅とはそんなものだ。旅生活になればこんな思いが何度も募る。
僕は幾つかのお店で食料と調理器具を購入し終わると、一旦宿に戻り荷物を部屋に置いた。その次いでに宿屋の女将さんに話をつけに行く。
「すみません、少しいいですか。」
「はい、なんでしょう……あら、どうしたの?」
「女将さん。長らくお世話になっていましたが、旅を始めることにしたのでもう……。」
「そうなの……でも、分かっていたことよ。……元気でね。」
この宿屋の女将さんは親切で評判が良かった。実際、僕も親切にしてもらっている。感謝しきれない思いは宿代で伝えるとしよう。
僕は再び宿屋を出て、市場へやって来た。次に購入するのは野宿に必要なアイテム。テントや寝袋などだ。旅をしていると絶対に街へ着かない時がある。その時にはテントや寝袋がないと、基本的に低気温なこの世界では風邪を引く可能性が高い。旅必須アイテムなのだ。
そんな容易も旅専門店に行けば一瞬で終わった。……呆気なかった。最後は武具や防具だ。旅の途中、魔物や盗賊などが出る。領主達もよく討伐隊を結成しているが、それでも数が多い。気を付けなければならない。
僕は戦闘スタイルが魔術なので杖などが基本装備だが、生憎杖は使わない。と言っても杖は魔術初心者が使う補助用アイテムであり、そこそこ魔法が使いこなせる人には必要ない。僕もその一人だ。勿論、ルカも。
購入すべきなのは……近距離戦になった時の武器。剣だ。剣術はあまり得意にしてはいないが、少しばかり心得ている。万が一の時には役に立つかもしれないし、短剣辺りを購入しておこうと思う。防具は旅人だから軽い物が良い。
「へい、らっしゃい。」
武具防具屋の店主も顔馴染みである。前の旅……三年前まで使っていた武具防具を整備してもらっていたのでそれを受け取りに来たのだ。
「あれを頼むよ。」
「……あぁ、旅に出るのかい。分かったよ。」
それだけ言うと店主は店の奥へ入り、箱を持って戻って来た。店主は店のカウンターに箱を置き開封した。中からはマントと指輪とコンパスが出てきた。
「これの整備には相当な時間を要した……〈琥竜ノ鎧〉、〈アイテムボックス〉、〈魔物探査〉の三つの道具。どれも伝説級の魔道具ばかり。兄ちゃんが羨ましいぜ。」
マントの名前が〈琥竜ノ鎧〉。指輪の名前が〈アイテムボックス〉。コンパスの名前が〈魔物探査〉だ。平凡な僕としてはこれぐらいの装備をしていないと死んでしまう。マントは知り合いから貰った。実在している琥珀色をした聖竜の鱗から出来たマントである。最硬防具として知られている。
指輪はとあるオークションで勝ち取ったのだが、名前の通りだ。無限の容量のアイテムボックス。如何なる物も中に入れられる。
最後にコンパスだ。これはとある遺跡を探索した時に発見した〈古代魔道具〉である。付近十キロメートルの魔物の位置や数や種類を知ることが出来る。どれも愛用の魔道具だ。少しボロが出てきていたので整備してもらっていた。
僕は武具防具屋の店主に短剣と軽い防具を用意してもらい、それを購入した。店主の腕は疑っていないので勧められたのをそのままだ。
最後に宿屋に戻って全ての道具を〈アイテムボックス〉に収納した。これで完了だ。全ては整った。さて、旅を始めるとしよう。その前にルカを探さなくちゃな。
こうして僕は森へと出向くのであった。
「うんっ!」
こうして僕と竜神と名乗る女性による旅が始まるのだった……あれ?
「そう言えば互いに名前を知らないね。」
「あ……。」
僕は竜神か女性と呼んでいたが、あちらもあちらで同じような呼び方をしていたのだろう。だがそれではあまりにも不便である。ここらで自己紹介でもしておいた方が良いだろう。
「まあ、僕からいかせてもらうよ。僕の名前はアデル・リーデマス。アデルと呼んでくれ。」
「……私はリディルカ。竜神のリディルカ。」
リディルカ、か。それでは僕としても呼びづらい。戦闘時などに呼びづらい名前のせいで命を落とす……なんて事は無いとは思うが万が一の為だ。
「ルカ……でいい?」
「うん、いいよ。」
これで互いの自己紹介は終わりだ。僕達の関係はこれぐらいで良い。深くもなく浅くもない。程よい関係で続けていこう。
僕らは旅支度の為に一度別れることにした。ルカは容易が終わっていると言ったが、僕も個人的な物などが多くあるため、一人で手早く終わらせたいのであった。ルカには森に少しばかり食料を補給しに行ってもらう。僕からの願いと分かると全速力で駆けて行ったが。
「さぁーて。僕の支度もするか。」
僕はまず食料購入から始めた。ルカには動物を狩ってもらっているが、それは肉だ。肉だけで過ごす訳にはいかない。僕が購入しようとするのは野菜や果物、その他全般だ。さらに調理器具なども購入する必要がある。
市場で調理器具を購入していると当然、不思議に思った人が聞く訳である。
「あれ?街を離れるのかい?」
「はい、そうなんです。少し旅をしようかと思いまして。」
「そうか……さみしくなるな。」
今、僕が購入している店は行きつけの店である。ここの店主とは仲良くさせてもらっていた。この街には三年ばかり住んでいるので少し愛着が湧いているのだが、旅とはそんなものだ。旅生活になればこんな思いが何度も募る。
僕は幾つかのお店で食料と調理器具を購入し終わると、一旦宿に戻り荷物を部屋に置いた。その次いでに宿屋の女将さんに話をつけに行く。
「すみません、少しいいですか。」
「はい、なんでしょう……あら、どうしたの?」
「女将さん。長らくお世話になっていましたが、旅を始めることにしたのでもう……。」
「そうなの……でも、分かっていたことよ。……元気でね。」
この宿屋の女将さんは親切で評判が良かった。実際、僕も親切にしてもらっている。感謝しきれない思いは宿代で伝えるとしよう。
僕は再び宿屋を出て、市場へやって来た。次に購入するのは野宿に必要なアイテム。テントや寝袋などだ。旅をしていると絶対に街へ着かない時がある。その時にはテントや寝袋がないと、基本的に低気温なこの世界では風邪を引く可能性が高い。旅必須アイテムなのだ。
そんな容易も旅専門店に行けば一瞬で終わった。……呆気なかった。最後は武具や防具だ。旅の途中、魔物や盗賊などが出る。領主達もよく討伐隊を結成しているが、それでも数が多い。気を付けなければならない。
僕は戦闘スタイルが魔術なので杖などが基本装備だが、生憎杖は使わない。と言っても杖は魔術初心者が使う補助用アイテムであり、そこそこ魔法が使いこなせる人には必要ない。僕もその一人だ。勿論、ルカも。
購入すべきなのは……近距離戦になった時の武器。剣だ。剣術はあまり得意にしてはいないが、少しばかり心得ている。万が一の時には役に立つかもしれないし、短剣辺りを購入しておこうと思う。防具は旅人だから軽い物が良い。
「へい、らっしゃい。」
武具防具屋の店主も顔馴染みである。前の旅……三年前まで使っていた武具防具を整備してもらっていたのでそれを受け取りに来たのだ。
「あれを頼むよ。」
「……あぁ、旅に出るのかい。分かったよ。」
それだけ言うと店主は店の奥へ入り、箱を持って戻って来た。店主は店のカウンターに箱を置き開封した。中からはマントと指輪とコンパスが出てきた。
「これの整備には相当な時間を要した……〈琥竜ノ鎧〉、〈アイテムボックス〉、〈魔物探査〉の三つの道具。どれも伝説級の魔道具ばかり。兄ちゃんが羨ましいぜ。」
マントの名前が〈琥竜ノ鎧〉。指輪の名前が〈アイテムボックス〉。コンパスの名前が〈魔物探査〉だ。平凡な僕としてはこれぐらいの装備をしていないと死んでしまう。マントは知り合いから貰った。実在している琥珀色をした聖竜の鱗から出来たマントである。最硬防具として知られている。
指輪はとあるオークションで勝ち取ったのだが、名前の通りだ。無限の容量のアイテムボックス。如何なる物も中に入れられる。
最後にコンパスだ。これはとある遺跡を探索した時に発見した〈古代魔道具〉である。付近十キロメートルの魔物の位置や数や種類を知ることが出来る。どれも愛用の魔道具だ。少しボロが出てきていたので整備してもらっていた。
僕は武具防具屋の店主に短剣と軽い防具を用意してもらい、それを購入した。店主の腕は疑っていないので勧められたのをそのままだ。
最後に宿屋に戻って全ての道具を〈アイテムボックス〉に収納した。これで完了だ。全ては整った。さて、旅を始めるとしよう。その前にルカを探さなくちゃな。
こうして僕は森へと出向くのであった。
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