この''ゲーム"の中で生き抜く
第1話 『ゲームの世界』
カチカチッ、カチカチッ
部屋の中に、PCのキーボードを叩く音が響く。現在時刻は午前4時。久しぶりに、ゲームにのめり込んでしまった。いつぶりだろうか、こんなにも熱中できるゲームを見つけたのは。
「もう4時…寝るか…」
明日、というか今日は学校だ。せめて少しでも睡眠をとらなければ。俺はベットに寝そべると、1分も立たないまま眠りに落ちた。
──別の世界に興味はあるか──
誰の声か分からない。なんだ、この違和感…脳内に直接…話しかけてくる…
ガバッ!
違和感から目が覚めた。
「……ふっー……何だったんだ、あの言葉…」
少し、考えた。前にテレビで、テレパシーを使う人がいる、と見たことがある。その類かと思ったが、そんなものは実在するはずないので、流石にそれは無いなと考えた。ちらりと時計を見ると、時刻はもう午前7時過ぎだった。そろそろ幼なじみのやつが家に来るので、学校の支度をしなければならない。もうあの違和感と言葉の意味については、考えないことにした。
ピンポーンピンポンピンポンピンポーン
「早く出てこーい!!学校行くぞ!!」
相変わらずうるさい。朝からいっつもこんなんだ。
「今行くから、ちょっと待ってろ!」
「こっちはもう10分待ってんだよ!」
「あーはいはい」
なぜこんなにうるさいのだろう?
そんなことを考えながら、玄関を開けた。
「待たせたな、玲奈」
「遅すぎなんだよ、斗真は!何時まで起きてたの?」
「あーっと…4時くらい?」
「遅すぎる。もっと早く寝ろ!」
と、いうようないつもどうりの会話が始る。柳川 玲奈 [やなかわ れな]幼稚園からの付き合いで、まぁ色んなことでお世話になっている存在。たまに、中身は男なんじゃと疑ってしまう行動も起こすが、れっきとした女だ。
「じゃあ行こっか!」
何故こんなにも一瞬で雰囲気が変わるのだろうか。よく分からん。
「おう」
鍵を閉めたことを確認して、学校へと向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「やっと終わった…」
正直いって学校は、あまり好きじゃない。勉強は嫌いではない。んーなんて言うんだろう、まー、なんか苦手なのだ。
「とっとっと帰って、続きする…か…」
ゾッ…
な、なんか後ろから冷たい視線が…!
「今日はあたしと遊ぶ約束してたよねー」
ジトーっとした目で、玲奈がこっちを見ている…
(忘れてたなんて言ったら、絶対殺される!)
「そ、そうだったな!わ、忘れてない!忘れてないから!」
「それならよしっ!」
(あ、あぶねー!!完全に忘れてた!)
俺と玲奈は、昔からの流れ的な感じで毎週水曜日は一緒に遊んでいる。まぁ、カラオケだったり買い物に付き合わされてるだけだが…
「買いたい服があるから、NEONに行くよ!」
「了解」
完全に手下感溢れている。
買い物が終わった。案の定俺は荷物持ちだった。
「今日はありがとね!またよろしく!」
今日"は"?"また"?なんか変な感じになりながらも、玲奈が満面の笑みを浮かべてくるから
「お、おう」
としか返せなかった。
帰宅している途中、今俺がハマっているゲームの話題になった。玲奈もこう見えてけっこうゲーマーなのだ。
「今俺がハマってるのは、《ジャッジメント・クエスト12》。なんと、シリーズ初のオープンワールド!!やっぱオープンワールド最高!!なんと言っても、しんきの」
「そのくらいあたし、知ってる。してるもん。」
「ですよねー」
「とーまは職《ジョブ》は何にしたの?」
「俺は剣士にしたよ。やっぱり使いやすいし。そういう玲奈は?」
「あたしは弓使い。遠くからメッタメタにするの楽しいし!」
(やっぱこの女こえーーっっ!!)
そんなことを話しながら、分かれ道に着いた。いつもここで玲奈とは別れる。
「んじゃまた明日ね~」
「おう、またあし…た…」
──別の世界に興味はあるか──
また同じ言葉…なんで思い出したんだろう。
ズキンッ!
急に頭が痛んだ
この感じ…朝と同じ…頭に直接入ってくる感じ…
いや、それ以上の違和感!なにか来るっ!
「おーい、とーまーどうした…」
「伏せろ!!」
俺は、玲奈を抱えて、道路に倒れ込む
「キャッ!ちょっ…なに…!」
直後、頭上を何かが通りすぎた。その何かは、電柱のてっぺんに止まった。
「さぁ、瀬端斗真、貴様の答えを聞かせろ。」
「何の事だ。その前にお前は誰だ。」
「えっ、とーまの知り合い?」
「んなわけねーだろ!なんで名前聞いてるのに、知り合いなんだよ!」
「あっそうか」
「我が名は、No.14。貴様をゲームの世界に招待するためにやってきた」
「別の世界っていうのは、ゲームの世界ってことか?」
「そうだ」
「どんな世界だ」
「自分の目で確かめろ。我は貴様の答えを聞きにやってきた。」
なるほど、こいつはただ俺がゲームの世界に興味があるか知りたいってわけだ。だが、なぜ俺のとこにこいつが来た。別のやつでも良かったはずだ。しかも、今は玲奈がいる。下手に答えるわけにも行かない。
「もし興味があると言ったら?」
ゲームの世界ならば、興味はある。だが、こいつは恐らく俺にテレパシーを使った。何をするかわからない。
「貴様をゲームの世界に連れていく。」
「!?」
訳が分からない。所詮ゲームはゲーム。画面の奥のプログラムだ。そんなとこに入れるわけがない。
「ねぇあたし訳わかんないんだけど」
ご最もの意見だ。
「ゲームの世界、か…。そんなものあるはずねーよな。」
「ゲームは所詮プログラム。人間が入れるわけないよ」
「だよな…」
あるわけがないって分かってる。でも、ほんとにそんな世界があるのなら、俺は行ってみたい。あいつの、興味があるかないかって、もしかして…
「なぁNo.14」
「なんだ」
「連れてってくれるのか?その世界に」
「貴様が望むなら」
「ちょっと、とーま!まさか!」
ニヤリ
俺は今まで見せたことがないような不敵な笑を零した。
「No.14!行ってやるよ!ゲームの世界ってやつに!!」
「とーま本気なの?!」
「ああ、こんなチャンス二度とないぜ。簡単に言えば自分がゲームキャラだ。きっとなんでも出来るぜ。ゲーマーなら行かねーやつはいねーだろ。」
「承知した。貴様をゲームの世界へ転送する。10秒前」
「ちょっととーま!決断が早すぎるよ!」
8秒前
「ゲームの世界に行けるチャンスだ!逃してどうする!」
「……わかった、あたしも行く」
6秒前
「とーま1人じゃ不安」
「えっ!?」
「とにかくつれてって!!」
「えーーーっっ!!!」
3秒前…
「行くのは俺だけでいいって!」
2秒前…
「あたしもゲーマーだもん!」
1秒前…
「あーっもうどうにでもなれーーーっっ!!!」
「転送!!」
一瞬にして、足元の感覚が消えた。唯一感じるのは、玲奈の体温だけだ。これから俺はどこに向かうのだろう。どんな世界が待っているのだろう。ゲームならクリアがあるはずだ。そこまでたどり着いてみせる。なぜだか急に睡魔が襲ってきた──
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「フゴッ!」
盛大な鼻づまりで目が覚めた。
風が気持ちいい。空気が澄んでいる。ゆっくりと体を起こし、周りを見回した。
「ここは、どこだ…」
「うーん」
隣に玲奈がいた。
「とーま…おはよぉ。」
「おはよう…」
「って、ここどこ!?」
まぁそりゃそうなるわな。目が覚めたら知らない草原に寝そべってるんだもん。とりあえず、昨日の記憶を辿ってみた。学校が終わって、玲奈の買い物に付き合わされて、No.14に出会って…そうだ、そうだった!
「ゲームの世界…」
「えっ、ここが…ゲーム…?」
「ああ、恐らくそうだ。No.14によって、ゲームの世界に飛ばされたんだ…」
「嘘…現実と全く一緒じゃない!」
風が吹く、草木や水面が揺れる、鳥が飛ぶ…玲奈の言うとうり、現実世界そのままだった。
ザッザッザッ…
その時、後ろから何者かが現れた。
「ようこそ、ゲームの世界《エトセトラ・ワールド》へ」
            第1話 〜完〜
部屋の中に、PCのキーボードを叩く音が響く。現在時刻は午前4時。久しぶりに、ゲームにのめり込んでしまった。いつぶりだろうか、こんなにも熱中できるゲームを見つけたのは。
「もう4時…寝るか…」
明日、というか今日は学校だ。せめて少しでも睡眠をとらなければ。俺はベットに寝そべると、1分も立たないまま眠りに落ちた。
──別の世界に興味はあるか──
誰の声か分からない。なんだ、この違和感…脳内に直接…話しかけてくる…
ガバッ!
違和感から目が覚めた。
「……ふっー……何だったんだ、あの言葉…」
少し、考えた。前にテレビで、テレパシーを使う人がいる、と見たことがある。その類かと思ったが、そんなものは実在するはずないので、流石にそれは無いなと考えた。ちらりと時計を見ると、時刻はもう午前7時過ぎだった。そろそろ幼なじみのやつが家に来るので、学校の支度をしなければならない。もうあの違和感と言葉の意味については、考えないことにした。
ピンポーンピンポンピンポンピンポーン
「早く出てこーい!!学校行くぞ!!」
相変わらずうるさい。朝からいっつもこんなんだ。
「今行くから、ちょっと待ってろ!」
「こっちはもう10分待ってんだよ!」
「あーはいはい」
なぜこんなにうるさいのだろう?
そんなことを考えながら、玄関を開けた。
「待たせたな、玲奈」
「遅すぎなんだよ、斗真は!何時まで起きてたの?」
「あーっと…4時くらい?」
「遅すぎる。もっと早く寝ろ!」
と、いうようないつもどうりの会話が始る。柳川 玲奈 [やなかわ れな]幼稚園からの付き合いで、まぁ色んなことでお世話になっている存在。たまに、中身は男なんじゃと疑ってしまう行動も起こすが、れっきとした女だ。
「じゃあ行こっか!」
何故こんなにも一瞬で雰囲気が変わるのだろうか。よく分からん。
「おう」
鍵を閉めたことを確認して、学校へと向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「やっと終わった…」
正直いって学校は、あまり好きじゃない。勉強は嫌いではない。んーなんて言うんだろう、まー、なんか苦手なのだ。
「とっとっと帰って、続きする…か…」
ゾッ…
な、なんか後ろから冷たい視線が…!
「今日はあたしと遊ぶ約束してたよねー」
ジトーっとした目で、玲奈がこっちを見ている…
(忘れてたなんて言ったら、絶対殺される!)
「そ、そうだったな!わ、忘れてない!忘れてないから!」
「それならよしっ!」
(あ、あぶねー!!完全に忘れてた!)
俺と玲奈は、昔からの流れ的な感じで毎週水曜日は一緒に遊んでいる。まぁ、カラオケだったり買い物に付き合わされてるだけだが…
「買いたい服があるから、NEONに行くよ!」
「了解」
完全に手下感溢れている。
買い物が終わった。案の定俺は荷物持ちだった。
「今日はありがとね!またよろしく!」
今日"は"?"また"?なんか変な感じになりながらも、玲奈が満面の笑みを浮かべてくるから
「お、おう」
としか返せなかった。
帰宅している途中、今俺がハマっているゲームの話題になった。玲奈もこう見えてけっこうゲーマーなのだ。
「今俺がハマってるのは、《ジャッジメント・クエスト12》。なんと、シリーズ初のオープンワールド!!やっぱオープンワールド最高!!なんと言っても、しんきの」
「そのくらいあたし、知ってる。してるもん。」
「ですよねー」
「とーまは職《ジョブ》は何にしたの?」
「俺は剣士にしたよ。やっぱり使いやすいし。そういう玲奈は?」
「あたしは弓使い。遠くからメッタメタにするの楽しいし!」
(やっぱこの女こえーーっっ!!)
そんなことを話しながら、分かれ道に着いた。いつもここで玲奈とは別れる。
「んじゃまた明日ね~」
「おう、またあし…た…」
──別の世界に興味はあるか──
また同じ言葉…なんで思い出したんだろう。
ズキンッ!
急に頭が痛んだ
この感じ…朝と同じ…頭に直接入ってくる感じ…
いや、それ以上の違和感!なにか来るっ!
「おーい、とーまーどうした…」
「伏せろ!!」
俺は、玲奈を抱えて、道路に倒れ込む
「キャッ!ちょっ…なに…!」
直後、頭上を何かが通りすぎた。その何かは、電柱のてっぺんに止まった。
「さぁ、瀬端斗真、貴様の答えを聞かせろ。」
「何の事だ。その前にお前は誰だ。」
「えっ、とーまの知り合い?」
「んなわけねーだろ!なんで名前聞いてるのに、知り合いなんだよ!」
「あっそうか」
「我が名は、No.14。貴様をゲームの世界に招待するためにやってきた」
「別の世界っていうのは、ゲームの世界ってことか?」
「そうだ」
「どんな世界だ」
「自分の目で確かめろ。我は貴様の答えを聞きにやってきた。」
なるほど、こいつはただ俺がゲームの世界に興味があるか知りたいってわけだ。だが、なぜ俺のとこにこいつが来た。別のやつでも良かったはずだ。しかも、今は玲奈がいる。下手に答えるわけにも行かない。
「もし興味があると言ったら?」
ゲームの世界ならば、興味はある。だが、こいつは恐らく俺にテレパシーを使った。何をするかわからない。
「貴様をゲームの世界に連れていく。」
「!?」
訳が分からない。所詮ゲームはゲーム。画面の奥のプログラムだ。そんなとこに入れるわけがない。
「ねぇあたし訳わかんないんだけど」
ご最もの意見だ。
「ゲームの世界、か…。そんなものあるはずねーよな。」
「ゲームは所詮プログラム。人間が入れるわけないよ」
「だよな…」
あるわけがないって分かってる。でも、ほんとにそんな世界があるのなら、俺は行ってみたい。あいつの、興味があるかないかって、もしかして…
「なぁNo.14」
「なんだ」
「連れてってくれるのか?その世界に」
「貴様が望むなら」
「ちょっと、とーま!まさか!」
ニヤリ
俺は今まで見せたことがないような不敵な笑を零した。
「No.14!行ってやるよ!ゲームの世界ってやつに!!」
「とーま本気なの?!」
「ああ、こんなチャンス二度とないぜ。簡単に言えば自分がゲームキャラだ。きっとなんでも出来るぜ。ゲーマーなら行かねーやつはいねーだろ。」
「承知した。貴様をゲームの世界へ転送する。10秒前」
「ちょっととーま!決断が早すぎるよ!」
8秒前
「ゲームの世界に行けるチャンスだ!逃してどうする!」
「……わかった、あたしも行く」
6秒前
「とーま1人じゃ不安」
「えっ!?」
「とにかくつれてって!!」
「えーーーっっ!!!」
3秒前…
「行くのは俺だけでいいって!」
2秒前…
「あたしもゲーマーだもん!」
1秒前…
「あーっもうどうにでもなれーーーっっ!!!」
「転送!!」
一瞬にして、足元の感覚が消えた。唯一感じるのは、玲奈の体温だけだ。これから俺はどこに向かうのだろう。どんな世界が待っているのだろう。ゲームならクリアがあるはずだ。そこまでたどり着いてみせる。なぜだか急に睡魔が襲ってきた──
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「フゴッ!」
盛大な鼻づまりで目が覚めた。
風が気持ちいい。空気が澄んでいる。ゆっくりと体を起こし、周りを見回した。
「ここは、どこだ…」
「うーん」
隣に玲奈がいた。
「とーま…おはよぉ。」
「おはよう…」
「って、ここどこ!?」
まぁそりゃそうなるわな。目が覚めたら知らない草原に寝そべってるんだもん。とりあえず、昨日の記憶を辿ってみた。学校が終わって、玲奈の買い物に付き合わされて、No.14に出会って…そうだ、そうだった!
「ゲームの世界…」
「えっ、ここが…ゲーム…?」
「ああ、恐らくそうだ。No.14によって、ゲームの世界に飛ばされたんだ…」
「嘘…現実と全く一緒じゃない!」
風が吹く、草木や水面が揺れる、鳥が飛ぶ…玲奈の言うとうり、現実世界そのままだった。
ザッザッザッ…
その時、後ろから何者かが現れた。
「ようこそ、ゲームの世界《エトセトラ・ワールド》へ」
            第1話 〜完〜
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