異世界転移した少女が幸せになる物語

ててて

1 それは突然な出来事だった

「21番 関東地区代表 天野アリアさん 自由曲 シベリウスの樅の木です。」

さぁ、この会場の空気、人、視覚、聴覚さえも私の虜にしてみせる。
このコンクールで全てが決まる。そんな風に手に力を入れステージに上がった。

***

「ふぅー。終わったぁー!」

コンクールは無事終わり、今回もいつも通り金賞だった。そんな私は浮かれていた。
(だってしょうがないでしょ?全国大会で金賞だよ!テンション上がるよ!)

私は天野アリア。17歳、高校2年生。将来の夢はピアニスト。お父さんはバリバリ経営者で、お母さんはイタリア人モデル。
(まぁ、二人とも喧嘩ばっかりで別居してるんだけどね。)

そして、私は今日、コンクールだというのに家族は一人も来ない。いつものことだけど。

「さてさて、家に帰ろっかなー」

誰もいないけどねー。私はお父さんと暮らしてるけど、顔がお母さんに似ているせいか放置されてる。けど、ピアノは続けさせてくれるから嫌われてはない?と思う。まぁ、家族にはもう何も期待してないけどね。
誰に説明してんのか、そんなことを考えていた。

キキッーー!!!

凄い音とともにトラックが私の前に突っ込んで来た。

「え?」

ぶつかりそうになったその瞬間急に目の前が真っ白な光に包まれた。(これが走馬灯・・・?)
光が徐々に収まり目をゆっくり開く、すると目の前には綺麗な女の人が立っていた。

「あの、大丈夫かしら?ちゃんと見える?言葉とか通じますか?」

不安そうにこちらを見てくる美女。

「・・・え、はい。大丈夫です、見えます、わかります」

「そう。よかったぁー!これで失敗したら本当にどうしよかと・・・」

安心したように笑顔になる美女。

(わぁ、美人さんだ〜!!)

「・・じゃなくて!!あなた誰ですか?!ここどこですか?!私はアリアです!!」

勢いで自分の自己紹介までしてしまった。

「えっと、私は女神です。地球神とも言われますが・・。ここは時空の狭間です」

淡々と教えてくれます女神様。

「時空の狭間・・・?というか、その女神様?が何故私の前にいるんですか?さっき私家に帰るところで・・」

「トラックに轢かれそうになりましたよね。」

「あ、そうそう!ってあれ?なんで知ってんるんですか?」

「実はその事故は私が起こしてしまったといっても過言ではないのです。」

「・・・はい?」

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