輝く星々は手紙のように

雪原 英二

6-1話 最後の日

 「...ん、朝か...」
はぁぁぁ、と大きくため息を吐く、いつにも増して寝覚めが悪い
「とうとう今日か、芽衣...」
約16時間後には俺達は4人になる。

 「もう!最後くらい早起きしてよ芽衣ちゃん!」
「そうだよバーカバーカ」
「うんこ野郎」「バーカバーカ」
皆が務めて明るくしてくれてるのが嬉しい
「ごめんごめん、さ、朝ごはん食べよ!」
雲が多少あるが空は晴れている。
「ん、そういえばお墓の場所きめてなかったね」
「例の霊園で良いんじゃないの?」
「やだよ」「「あそこには行きたくない」」
芽衣が拒否した後、慶次と桜よ拒否した。
「あそこが良いな、大きい桜の木がえてる...」
「あぁ富士山ふじやま?」
それは猫騒動の時の公園である
実は公園の入口近くに大きい桜の木がえている、といっても騒動の時にはとっくに桜が散ってしまっていたのだが
「あ〜、私もそこにしよ〜」
「じゃあ俺も〜」「俺も〜」「僕も〜」
各々適当に便乗した所で
「じゃあさ今日は皆で墓穴堀りに行こっか!」
「「「「言い方...」」」」
 色々準備してたら昼前になってしまった、分厚い雨雲が近づいてきている。
「なんか雨降りそうだしさっさと掘ろうぜ」
「おう」
黙々とスコップで桜の木から少し離れた木の根が無さそうな所を掘る、最初の方は皆喋りながらやっていたが皆疲れてきたのか静かに作業をする。希望は早くもギブって休憩している。
 皆が静かだから考え事に集中してしまう。今日で全部終わるという事、今までの事、楽しかった事辛かった事、彼氏なのにそれらしい事が全然できなかった雄介の事。それは電車の車窓から外を眺め移ゆく景色ののように色んな事が頭をよぎっては通り過ぎて別の事が頭をよぎる。次第に目に涙が溜まる。
「ごめん、私ちょっとトイレ行ってくるね...」
駆け足で皆の元を離れる。辛い辛い辛い、けど皆の前で泣いたら皆もきっと悲しくなるよね。
公園から遠く離れた所で1人
「死にたくない死にたくない死にたくない...死にたくないよぉ」
必死に堪えた涙が溢れ出す。
もっと皆と馬鹿みたいに笑って他愛も無い話をして遊んで、遊んで遊んで遊んで
空を仰ぐと分厚い雲からポツリと1粒の雫が頬に落ち、次第に雨足は強くなり大雨となった。
雨音に負けじと私も、わんわん大声で泣いた。

 「雨降ってきたし、芽衣トイレ長いね…」
「コラッのぞみん、そういう事を女の子に言っちゃダメでしょぉ〜もぉ〜」
「違うだろ」
「俺ちょっと行ってくるね」
「おう行ってこい無能彼氏」
しばらく駆け足で探す
アイツどこまで行ったんだよ...
「あ、居た」
その愛しい彼女はまるで迷子の幼子のようにわんわん泣いている。
俺は後ろから優しくぎゅっと抱き締めた。
芽衣は抱き締められながら身をよじり、ぎゅっと抱き返して来た。

 「ごめん、ただいま」
雨は通り雨だったらしくすぐにやんだ
「随分と長いトイレだったね」
「あれぇ女子にそうゆう事言っちゃいけないんじゃなかったっけぇあれれぇなんだこの不条理はぁ」
希望が目を見開き頭を抱える様を見て雄介が同族を慈しむ目で希望の肩にポンと手を置くが希望は「貴様と一緒にするなぁ!」と叫ぶのを横目に慶次が
「さっきの雨で土がふやけて一気に掘れたけど泥がキモいから今日はもえ芽衣分だけで良いよな」
芽衣はモヤモヤした顔をして
「ちゃんと皆ココにしてよね」
「んなの当たり前だろ」

 家に帰り風呂で汗や泥でベタつく体を洗い流す
そうこうしている内に時刻は18時を回っていた、予想以上に墓掘りに時間を取ったみたいだ。
私は最後に風呂に入ったの他の皆は待ちくたびれていたようだ。
「ごめんごめんお待たせ、じゃあ始めよっか芽衣ちゃんの誕生会」















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