輝く星々は手紙のように

雪原 英二

3話 気のまよいは良くか悪くか

 猫騒動から時は約1ヶ月ちょい先に進み
「あーあ、普通の高校生だったらもうすぐ最後の体育祭ですよー、どう思いますー?希望さーん」
病院いえで朝ごはんを食べて少しグダっていた頃
「桜ってたまにダル絡みするよね、暇なら散歩でもしてきなよ」
「うわー、のぞみんが冷たーい、へへ、のぞみんってなんだか良いね、のぞみん」
「今日の桜ダルすぎるよー誰かーなんとかしてー」
今日の1日は希望の悲痛な叫びによって始まった。

 「だから!私が言いたいのは!体育祭しようぜ!って事なのよ!どうしてさっきの私の前フリに誰も反応してくれないのさ!」
「いや、だから!5人で?って話だし、また桜のくだらない下賎な冗談かと思ったんだよ!」
「いいじゃん!人数なんて関係ない!やるったらやるんだい!あと下賎なんて言い方酷いわ!」
「......はぁ...」
「慶次おつかれ、桜相手によく頑張った。僕達が諦めるしかないよ」
「やるとしたら明らかな筋肉バカが1人いるんだけどソイツずるくね?」雄介が言う。
「筋肉は美しい、至上である」
「フッフッフッー筋肉が至上かどうかは置いといて、私には考えがあるのです、かくれんぼに武力は必要無い!すなわち、かくれんぼをやるのだ!」
「体育祭じゃねーじゃん」「アホくさ(笑)」「範囲どこまでだよ」「鬼誰よ」
「えぇい!つべこべ言うな!鬼は慶次!範囲はこの里全域だ!屋内はなし!1分数えたら鬼始動!よーいドンだ!」
「「「「色々はえーよ!」」」」

「へっへっへー私はこの前のネコネコ騒動の時ここ富士山ふじやまに絶好の隠れ場所がある事に気づいてしまったのです!」
「気づいてしまった私は天才であり勝ち確なんだよなー、憐れな慶次君、せいぜい頑張ってくれたまえよ」
私は公園の奥にある小さい崖になってる所の下に居る。
雄介が居たら絶対「崖の下の桜だね」とか言いそうだ。
 
「へぶしっ!誰かが俺の噂をしてやがるぜ(キリッ)」
「うわー、汚いしつまらんし、なんだよーもー」
「芽衣が勝手に付いて来たんだろーが」
「屋外なしって意外と隠れる所無いよねー」
「まぁまぁ、俺に任せとけって」
しばらく歩き...
「ここ神社じゃん、なんか罰当たりな...」
そこは里の頂上にある静かな神社だ
「面倒くさがり屋の慶次の事だ、ここまで来ないだろ」
俺たちは神社の裏手のかげに隠れた
「ほう、地味に頭が回ってますなぁアホの癖に」
「最後の一言余計じゃないですか!?」
「」
まずい、話が途切れた..!くそぅ、なんでよりにもよって芽衣なんだよ、他の奴らなら余裕なのに芽衣と2人っきりだとドキドキしちゃうじゃないか!
すると芽衣が「ホントにこの前の猫騒動の時軽い怪我で済んでよかったよ」
言った芽衣の横顔が可愛いすぎて
「し、心配してくれて、、蟻が10匹...」
まともにギャグも言えねー!
「いつも以上につまんな」と言いながらも芽衣は笑ってくれている。
「ねー、芽衣さ...」気の迷いだ
「もし俺がさ...」
前から好きだったんだ、けどビビって言わないでいた。でも
「...好きって言ったら...どうする?」
言ってしまった。
心臓がアホみたいにうるさい、実際アホだけど...やかましいわ!
「ホントはさ、」
芽衣が口を開く、目には涙をうっすら浮かべている。
...泣いてる、やっぱダメかぁ...
「ホントはさ、今日雄介に付いてきたのは私が雄介に告白しようと思って、さ。」
「なのに私からできなくて、なんかごめんね」
涙を流しながらしわくちゃに笑うその姿は、きっと歴史上のどんなに有名で表現力のある作家でも表現に困る程、それは美しいかった。

 おいおい、とんでもねー場面に遭遇しちまったなぁ!
面倒臭いから来るのに躊躇ったけど来たらまんまと居たけど、居たけど!芽衣と雄介みーつけたっ!なんて言える状況じゃねーじゃん!
すると芽衣が「これからはホントに隠し事もなしだからね!」
「めっちゃ猫騒動の事ひっぱるやん...」
「いーから!」
なんか立ち聞きに罪悪感を感じ始めた...
「じゃあ、誰にも言ってない秘密を1つ言っとくよ」
秘密って...余計に罪悪感が来るんだが
「なに!?まだ秘密なんか隠しもってんのかー!」
「まぁまぁ、落ち着けって実は俺...」
一瞬混乱し、立ち聞きなんかするもんじゃないな、と、この時痛感し、静かに立ち去る事にした。

 「...今、何時だろ...」
現在夕方の6時、辺りはすっかり暗くなっている。
「どーして私の事、誰も見つけに来てくれないのー!?もしかして、もう皆帰った?帰っちゃったの?1人で遅れて帰るなんて寂しいよー!」
すると雄介と芽衣が
「そんな所に隠れてんのか」
「ちょうど騒いでくれて無かったら見つけられなかったよ、さ、帰ろ?」
2人の温もりに泣きそうになった。

 結局、慶次は誰一人として見つけられなかった。
ちなみに希望は病院いえの屋上に隠れていて、
「灯台下暗しってやつですよ慶次さーん、ねー、1人も見つけられなくて悔しいですかー?ねー、慶次さーん、どうなんですかー?」と煽っていた。
そして夕飯を食べる時のいつもの定位置に変化があり、隣あっている芽衣と雄介の椅子がいつもより少し近くなっていた。












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