輝く星々は手紙のように

雪原 英二

1話 夢を見る。夢見る。

 私は夢を見る。
「ピッ、ピッ、ピッ」
目覚ましが鳴ってる。
「ピピピッ、ピピピッ」
「うるさぃ〜」
寝ぼけながら目覚ましを止め時間を確認する。
「...」
眠い目をこすり、もう一度確認
「...遅刻だ!」
漫画などでよく見るテンプレ、跳ね起き急いで身支度を済ませる。
そしてテンプレ通りなら食パンを咥えて家を飛び出る、
が、「パン咥える時間も無いじゃないか!」
家を速攻で出る、次のテンプレは走ってる最中に曲がり角でごっつんこ、のハズだが
「私はチャリ通だよぉ!自転車で曲がり角ごっつんこなんてしたらただの事故じゃないかぁ!」
魂の叫びと共に自転車を漕ぐ。
「セーッフ!やりました!わたくし横田 桜よこた さくら10秒前で遅刻を回避しました!応援アリガトー!」選挙に当選した知事のように手を降るが誰も見ていないし居ないのでただのガイジである。きっと私は疲れてるんだ。
その後は眠たくなる授業を受けて、休み時間には今朝のドタバタを友達に話して笑って、カッコイイ先輩の話とかして盛り上がって、お昼はお弁当をモリモリ食べて、帰りは友達と遊んだりして、家に付いてお風呂に入って、あったかいご飯を食べて、ベッドの中で好きな人とのLINEに一喜一憂しながら寝落ちして。そんな何でもない毎日を、私は夢見る。

 「ピッ、ピッ、ピッ、」
鳴るのは目覚まし時計なんかじゃない、自分の心拍と共にモニターに写る線が揺れ、脈拍を音で伝える。別に心臓の病気を持ってる訳じゃない。患者の少ない病気だ、データでも取っているのであろう。
 現在2037年4月5日
私の誕生日は3月27日、およそ1年後私は死ぬ。
 
 少し前まで満開だった桜が散り始めた。






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