シスコン賢者の異世界転生生活

おねむねむねむのきょう

第7話 異世界での遭遇3

俺達は馬車に乗り、急いでレーヤに向かっていた。
「急いで護衛の人を治癒しなきゃ」
エルラさんが護衛の騎士達の軽い手当てをしながら言う。
思ったより数倍状態が悪い。
戦っている時はそちらに集中していて無理をしていたのだろう。
この人達、死ぬな…
街までの距離やこの世界にどんな技術があるのかは知らないがこの広い草原で見える限りは街は無いしこの夫婦にはこれは治す技術は持っていないようだし。
騎士達はボロボロで体中から血が出ている。
「これ、あのゴブリンだけにやられたんですか?」
その疑問がぴったりと当たったのかエルラさんが少し驚いた顔を見せた。
「い、いえ、実はゴブリンに襲われる前にも大量のゴブリンの群れと会っていて、逃げてきたのです」
なるほど、いくらゴブリンといえど、束で襲ってくるときついのか。
「た、助けてくれ」
騎士の中で最も若い男が苦痛の声を上げた。
「大丈夫です。すぐ街に着きますから」
エルラさんがそうなだめつつデーガの肩をたたき着くかどうか尋ねる。
デーガは馬車の操縦席から振り返り、首を横に振った。
それを見てエルラさんは悔しそうな表情を見せていた。
それを見ていた沙耶がこちらを見る。
「お兄ちゃん、なんとかならないの?」
「…」
沙耶の頼みを聞いてやりたいが、今の俺には何もできない。
下手に手を出したら状況を悪化させかねない。
何か道具があれば治せるかもしれないが、そんな都合よく物は無い。
「すまない、沙耶。俺には何もできない」

 数時間後

 レーヤの街に着いた俺達は門番に話を通し急いで教会に怪我人を運んだ。
しかし、着いた時には2人が死亡していた。
残りの2人は教会で治療を受けた後、しばらく教会に居ると言って報酬を受け取った後、涙を流して仲間を弔っていた。
沙耶も初めて人が死ぬところを見て泣いていた。
優しいな、沙耶は…
異世界の厳しさを知った俺は沙耶を守ることを今まで以上に決心した。



賢磁が回復魔法的なものを覚えればいいと思ったかもしれませんが賢磁は魔法に関してはほぼ無知で、回復魔法があるかもしれないという発想すらないです。
ちなみに魔法はあります

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