エロゲーをレビューしてみた。思い出も含めて。

小夜子

第51話 コラム①「エロゲはVitaへと移植される」



ここ最近エロゲーがVitaに移植されまくっている事をご存知だろうか。「シロガネスピリッツ」「星織ユメミライ」「はつゆきさくら」「この大空に翼を広げて」などのエロゲーではかなりの人気ソフトが皆、一様にVita化しているのだ。それどころか「DESIRE」「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」という今時の子は絶対知らないであろう、かつての名作までもがリメイクされている。それは何故だろうか。筆者なりに考察してみた。




そもそも普通の家庭用ゲームは5~6千円程度。初回限定版でも7~8千円程度だろう。だが、パソゲーは新品で9800円以上が当たり前。初回限定盤などは軽く1万を超える。それを中・高校生が買うのは流石にキツイ。いや、そもそも18歳未満は買えない商品だし、学生服だと入店を断られる事も。なので、パソコンを持っている人がいてもエロゲを持っている人は基本的に少ない。こうなると購入層はPCを持ってて、それなりに働いて所得のある人or家が金銭的に裕福な人などに限られてくる。




そして登場したのがPSVita。Vitaは高い技術力を持ち、PS3と比べても衰えないグラフィック・操作力を持っている。が、発売するソフトは基本的にPS3とPSVitaの同時発売が多く、ユーザー的に多く持っているのがPS3だったのもあり、Vita版を買う人は少数派。かといって、オリジナルソフトはダンガンロンパやペルソナ4ゴールデンなどの一部を除き微妙なラインナップであった。せっかく技術はいいのにソフトに活かせないのは勿体無い。そこで各エロゲ会社はVitaに目をつけた……のではないだろうか。




こうした取り組みは今に始まった訳ではない。
かつてはPSPでもエロゲのHシーンを抜いた全年齢版が発売されていた。
だが、全年齢版のゲームは売れなかったと聞く。だが、今はエロゲも売れない時代だ。オリジナリティに溢れた90年代と違い、2000年代はどこかで見たようなストーリーが多く、マンネリ気味になりがち。また、今時の若者はエロシーンはいらないから早送りするという子もいる(!)メーカー側としてはシナリオ重視派やエロに抵抗がある人、18歳未満層にもソフトを売り込み、利益を得たい思惑がある。




そこでエロ無しにして、特典として追加キャラや新規CGなどの追加を入れ、Vita版を販売してエロゲ・Vitaどちらも売るという商法に出たのではないだろうか。中には特典なしやシナリオに変化を入れず、タペストリーなどの貰える特典だけ付けたソフトある。




そもそも全年齢版作成を意識してか、最近のエロゲーは物語後半でないとHシーンが出てこない(抜きゲーを除く)ので、ほぼHシーンがクライマックス前のおまけとなっている。エロゲユーザーはそれ目当てでプレイするんだけど。ただライトユーザーからすればHシーンは必要ないだろう。だから全年齢版を出しても売れる。PSPよりも技術が良く、高性能で使いやすいVitaなら移植でもエロゲ版に劣らない。もし、どちらも好きならエロゲ版もVita版も両方買うだろう(これは極めて少数派だろうが)




また、老舗エロゲ会社として有名なオーガストは「千の刃濤、桃花染の皇姫」を2017年12月21日に発売と発表した。今後は同じようにPS4版で出す会社も増えてくるかも知れない(まあ、資本力のある会社に限定されると思うが)





しかし、驚いたのは「DESIRE」などの昔のPCゲームが移植されているところ。
筆者はこのソフトをPS2でをプレイした経験もあるが、今時の子は名前すら知らないだろう。絵も昔のままなので、ハッキリ言って今時の子に好かれるとは思わない。そんな作品を何故、リメイクしたのか?それは往年のヘビー・ユーザー層を狙うのはもちろん、名前すら知らなかったけど興味を持った少数派の両方を狙っているのだろうと思われる。恐らくそういう層はVita等を買ってはいないと思うので、Vita本体を買う強い動機となるだろう。




こういう昔流行ったものを再度流行らせる方法はリバイバルと呼ばれ、最近では家電や昔のゲーム機など様々なものがリバイバル化されてブームとなっている。人は思い出に縛られて生きる生き物だ。いくら新作が続々出て若者が喜んだとしても、昔の良さを知っている人間からすればその環境は馴染みにくい。昔の良さと今の良さを融合したのがリバイバルといえるだろう。今後も続々そういった作品は出てくるはずだ。




エロゲ世界は今後もPC・Vita共に益々発展していくだろう。
一体どうなるのか、今後が楽しみである。

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