神が泣くなら悪魔になろう

犬飼ゆかり

魔王様に会いたい


焼肉……肉焼きてぇよ(´;ω;`)





道具ってのは使う目的があるから作られてる
舟は人や物を運ぶ為にあるし、鍬は土を耕す為にある
逆に言えば
水が無ければ舟は使えないし耕す土地がなければ鍬は要らない

鍵だって扉が無ければ使えない

今の僕は鍵は持っているのに扉の前に行けない道に迷った子供だ、あはは、笑えない
そもそも王様に会うことなんて難しいに決まってるだろう

とりあえず道で薬でも広げて顔を売った、『魔王に会いたい物好きの薬師』って、
そんなこんなで一ヶ月経った、ちょうどその時だった

呼ばれた、あっさりと、魔王の城に、

そして侍女さんに案内されてやって来たのは王室
玉座の間じゃなくて、王様の部屋、なんでだろう?

部屋に入った瞬間分かった、病の匂いがした

そして病に犯されているのは今ベットにいる少女なのだろう、あれ?ここ王室だよね?魔王って男じゃないの?


「その顔を見るに失望したか?人間よ、お前の魔王とはなんだ」


綺麗だった、でもちょっと辛そうな、そんな声だった
声の主も綺麗だった、銀色の髪に、紅い眼、そして魔族という証拠の吸血鬼の様な牙、闇色の尻尾
想像してた魔王とは大違いだった


「いや、まぁ、人間達の方では鬼の様な大男と伝えられてるので」

「魔族は実力主義だ、自分より強い者がいるならこんな少女にも王の座を渡す」

「なら貴方は何故まだ王なのです?」

「!?、、、」

「貴方は満足に体を動かせないほど病に蝕まれているでしょう?、何故王でいられるのです?」

「そこは…その……色々…」

なんだ、その全く王らしくない発言は…本当に強大な力を持った魔王なんだろうか
でも魔王って言ってるんだから、治して勇者を殺してもらわないとね
とりあえず自己紹介だ、互いのことを知るのはいい事だ

「魔王様、今日からは薬師と病人です、自己紹介しましょうか、私はジルと言います、病を治した報酬は勇者を殺す、それだけです、あ、歳は22です」

「お前、随分と急に…余はシャーロット、病を治せたなら勇者を殺してやってもいい、歳は…18…」

自己紹介が終わったなら病気の診断だ
病の匂いを感じ取る、若干、死の匂いがする?
魔族の空気って魔力の質が違うみたいでちょっと感覚が狂う、よく分からない、から聞くか

「シャロは自分の病気が何か分かるかい?症状とかさ」

口調を変えてみる、どこまで近づいていいのかを確かめる、彼女は王と呼ばれるにはまだ未熟に思える、なら綱渡りをしようじゃないか

「シャロ…いや、分からない、けど日が経つにつれて魔力が抜けてくというのは分かる」

魔力ってのは魔法を使う為だけにある訳では無い、生命という火を灯すためにも使う、生き物に必要な燃料だ
ちなみに燃料を爆発させたのが魔法ってやつだ

それが抜けてくとなるといずれ火は消える

魔力欠乏症?、違う、死の匂いがするという事は魔力が入る器に穴が空いているという事、時間はかかるだろうけど治せなくはないはず

「時間はかかるだろうけど、きっと治療法はある、だから安心していい、僕が絶対に治す」

なんか、変だ、気持ちが、絶対に治すなんて、そんな事言ったのいつぶりだろう、彼女を見ていると何かが狂う、よく分からない、分からないことだらけだ

「そ、そうか、治療法はあるのか…」

とても魔王とは思えない安心しきった顔でそう言う

「ところでジル、お前は何故魔族の味方をする?何故勇者を殺せなど言う?」

少し考える、本当のことを言えば僕は魔族とも人間とも敵対することになるだろう、だからかなり曖昧に答える


「神が嫌いなのさ」


「ふーん、そっか」

そんな返事の後に

「私もっ」

なんて嬉しそうに言ってきた



余はって言うの忘れてるよ






(`・д・´)余は焼肉が食べたいぞ!


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