亡霊軍艦からの脱出

11月光志/11月ミツシ

戦闘配置!

「なぁ、幽霊出ると思うか?」

隣にいた友人の甲斐からそう質問された。
幽霊かぁ、実のところ俺は霊感がある。そのせいで一回本物を見たことがある。

「うん、まぁいるんじゃね、実際俺も……おい、今何か聞こえなかったか?」
「?そうかなんも聞こえなかったが」

おかしい、確かに今何か聞こえたような…。

『ジリリリリリリリリリ』

突如としてベルが響く。
ななな、なんだ?!今この船には俺たち以外はいないはずじゃぁ…。
隣にいる甲斐も動揺しているし。

「おい、これって……」

俺がしゃべろうとしていた時に放送が流れた。

『総員戦闘配置につけ!総員戦闘配置!』
『急げー戦闘配置!』

船内から多数の声が響く。
おいこれって…。

「なぁ、まずくないか、これ」
「ああ、まずい。一度戻ろう……」

「きゃぁーーーーーーーー」

戻ろうとしていた時、聞き覚えのある叫び声が聞こえた。
おい、この声って…、部長じゃね!
何か悪い予感を感じ、俺たちは足を急がせた。その時『ジリリリリリリリ』と再度警報音がなると同時に、『ドーン』と轟音が響き船が揺れた。
その揺れによって俺は廊下の後方に、甲斐は部屋へと転がった。

「っ!……甲斐!大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ、それよりもこの揺れは」

それについては、大体察しが付く。戦艦級の主砲は発砲の際警報音が鳴り撃って揺れる。
それを甲斐に伝えると納得した顔をした。

「おい、それよりも…。」
「ああ、急げ!」

部長の声が聞こえたのは艦橋あたりだった。やばい予感がする。
そう思った。


「どうかした」

艦橋付近にいた女性メンバーに荒い息を立て叫ぶ。

「艦橋を見ていたら後ろで骸骨が動いてて…」

なっ?

「合流しようとしたら骸骨に見つかって追いかけられた」
「よく助かったな」

先生からの報告に甲斐が突っ込む。

「ああ、艦内が揺れたときにやつらは崩れ去ってくれたがね」
「なるほど………、っでどうするの、もう退艦するか?」

先生に俺は聞く。
まずい状況だ、退艦しといたほうが身の安全は保障されるだろう。

「それがな……。無線が妨害されて連絡が取れない」

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