亡霊軍艦からの脱出

11月光志/11月ミツシ

乗艦

日が暮れた。
周りには海しかない。月の光が海面に反射して輝いている。
現在の時刻は、午後九時過ぎ、もうそろそろ現れる時間帯である。

「現れないねぇ」
「もうそろそろじゃないですかね」

部長の疑問に俺はそう答える。
だが確かにそろそろなはずだ。

「10時の方向巨大船発見!」

艦内からのアナウンスが響く。
ついに発見した!念願でもあった亡霊船を発見した、そう感じた。
船首では、ほかの部員全員が集まっていた。

「よーし、乗り込むぞ!乗艦準備しとけ!」

艦橋から声が聞こえてくる。
あ…、忘れてた、この人はこの船の船長、山下さん。先生の古い友人で、今回の協力者である。
さて、乗艦と行きますか。


木製の古びた甲板に穴が開いている。
恐らく砲弾がここを貫通したんだろう、艦全体も穴が開いてボロボロである。
俺たちは今、巨大船の甲板にいる。つまり乗艦した。山下艦長は先に帰ってもらい12時に迎えに来てもらう戦法だ。むろん何かの時のために、無線を持ってきている。

「よし、じゃぁ2手に別れるぞ、魚村と佐藤、そして残りは私とだ」

「いやいやいや、数的に釣り合ってないじゃないですか!」

盛大にツッコむ。

「大丈夫、なんとかなる」

先生、キリっとしないでください。

「何かあったらここに集合、はぐれてもだ。12時にここだぞ。じゃぁ解散」

先生の声と同時に俺らは分かれた。

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