魔道錬金術師

榎並真音

昔話

昔、昔のお話

大きな国の王様は、小さな国の王様とケンカをしてしまいました。
大きな国の王様は兵隊さんを小さな国へ向かわせ
小さな国を壊そうとしました。

困った小さな国の王様は、しょうかんじゅつで他の世界から勇者を呼びました。
勇者はどんどん大きな国の兵隊さんを倒していきました。

大きな国の王様は怒りました。

「小さな国の王様は他の世界から勇者を呼んだ
それならこっちも勇者を呼ぼう」

大きな国の王様はしょうかんじゅつで他の世界から勇者を呼んで、小さな国の勇者と王様を倒すように言いました。

大きな国の勇者はどんどんと小さな国の兵隊さんを倒し
ついに小さな国の勇者と会いました。

小さな国の勇者と大きな国の勇者は戦い、傷付き、ずっと戦いました。

しかし2人とも戦いに疲れてしまいました。

小さな国の勇者は大きな国の王様を責めました。
大きな国の勇者は小さな国の王様を責めました。

分かり合えない2人はこれからもずっと戦う事になりました。

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この世界、ルートリアは大きく2つに分断されている
西の大陸、コルサート
東の大陸、エデルオード

かつて勇者と魔王と呼ばれた2人の戦いの名残りである。
小さな国の連合国、西のコルマイル連合国
東の大陸の約70%を領地とするエデル帝国

お互いに国の象徴として勇者を掲げ、互いに魔王として相手国の勇者を忌み嫌う

勇者と魔王の存在は昔話として語られる

しかし、時代を彩った人物や
王、英雄には召喚勇者が多く存在する。

ルートリアは召喚勇者によって世界が形作られてきた。

異種族、魔物、魔法、スキルと呼ばれる様々な個性をもつ住人
しかし、戦いの歴史に残る者はやはり召喚勇者達であった。

勇者と魔王、そしてルートリアの住人達にとって決定的な違いがあった。

それは、【能力】
ルートリアの人種はそれぞれに特化した能力を持っているが

召喚勇者達はすべての人種の能力を持ち得るポテンシャルがあった。

ルートリアの住人は召喚勇者をある意味、神と同一視していた。

召喚術には期限があり、それを過ぎればこの世界に繋ぎ止める事は出来ない。
いわゆる強制送還である。

期限はルートリア年の最大で10年
しかし、期限は召喚術師の素質による部分が大きい。

前勇者達はその期間内に、偉業を成して去っていく。

ある者はこの世界を滅ぼそうと企み
ある者は元の世界に戻る手立てを探し
ある者は永遠に召喚され続ける事を望む

召喚勇者達に共通する事、それは全員が【チキュウ】と呼ばれる別の世界から召喚されている事である。

なぜ、チキュウと呼ばれる別世界のみ召喚対象となるのかは
未だ不明である。



故:アドモス・クエンタム・トゥクティス談
人間属、魔人系大魔導士
アクト学園長
ルートリア年号568年~648年




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