俺「異世界なら間に合ってますよ？」

　アデンの街はやはり中世のヨーロッパの様な所だった。
　沢山の人で賑わっており、かなりの店が並んでいる。
「ここが私のアデンです」
　楽しそうに街を自慢するハスカをみてついふふ、と笑ってしまう。
　おちょくっている訳では無いのだが前まで冒険ばかりやっていた俺にはそんな些細なことでも平和に楽しく感じたのかもしれない。
「じゃあ、行きましょ！」
　無邪気に俺の手を掴み、引っ張って町を案内してくれる。

　4時間後…

　ハスカがオススメのお店や場所を片っ端から案内してもらった。
　とりあえずこの世界は魔法で現代科学に劣らず発展しているようだ。
　特に違う点は科学というものがほとんど存在していなかったのだ。
　しかし、特別地球と違うという事はほとんどなかった。
　ただ、ケモミミを生やした少女達がいた。これ重要。
「どうだった？アリス」
「うん、いい街だね」
　俺がそう褒めるとハスカはピョンピョンと飛びなねて喜んだ。
「やった〜。やっぱりお父さんは凄いんだ！」
　ひとしきり喜んだ後、少し疲れたのか眠そうにしていた。
　たまに倒れそうになっては護衛の人達に起こされていた。
「ハスカ様。今日の所はこのくらいで…」
　あまり無理は良くないと判断したのか、ハスカに遠回しにそろそろ帰るように伝える。
「い〜や〜。もっと遊ぶもん」
　目をこすりながらまだ遊ぶと訴え続けるがだんだん元気がなくなっていく。
　　流石にこんなに幼い少女に無理をさせるわけもなく、諦めて帰ってもらうように説得した。
「あまり無理はいけないよ、明日また遊ぼ」
「明日？わかった。約束だよ」
　ハスカはニッコリ笑ってからここを離れた。
　すると、何かを思い出したようにテイルがこちらに走り寄ってきた。
「アリス様。こちらを」
　そう言ってこの国の通貨と思われるコインが大量に入った袋を差し出してきた。
「な、何ですか！？」
　何故このような大金？がこちらに差し出されているのか分からず大声を上げて驚いてしまう。
「助けてもらったお礼です。遠慮なく受け取ってください」
　どうぞどうぞと差し出す。
　お金が無いのはヤバイが流石に人様からはもらえない。しかもこんなに沢山。
「無理無理。こんな大金貰えませんよ」
「いえいえ、命まで助けてもらったのです。このくらいでもまだ足りないですよ」
「命を助けただなんて、少しお手伝いしただけですよ…」
「そう言わずに。護衛の報酬だと思ってください」
　そう言って無理矢理渡し、ハスカを連れて立ち去って行った。
「さて、どうしたやら…」
　そう呟き、大金を見つめる。
　はぁ〜
　思わずため息を吐く。
「これ、どうすればいいんだ？」
　とりあえず安そうな宿を探して何か食べるか。
　色々あって疲れたしさっさと休みたい。
　その日はゆっくり休んで睡眠についた。

「見知らぬ天井……ではないっだと！」
　気がついて一言めに発した言葉はこれだった。
　天井…というか空だった。
　雲一つない晴天。スカイブルーが広がっていたのだ。
　とりあえず体を起こし辺りを見回す。
　辺りはどこまでも永遠に続いてそうな程広い草原だった。
　そこにポツリと立つ美しい女性。
　どこかのダメな女神兼プリーストをやっているアイツに似ている。アイツよりは性格良さそうだ。
「何故皆さん私を見るとアク○を思い出すのでしょうか。あ、目覚めましたか。奏多さんいや、アリスさん」
　確実に心を読まれてるなこれ。
　それより、アク○の名前言っちゃったよ。どうしてくれんだ、せっかく隠したのに。
　「それはすみません。あ、まず、私はアルテア。女神です」
　あー、女神ね女神。
　異世界なら間に合ってますよ？