ギャグ特化異世界ライフwith妖精

さわんちゅ

4 冒険へ!

  一通り魔法の使い方を教わった私なのだが、なんだか嫌な予感がする。
 こういうファンタジー系RPGは大体初期のエネミーは臆病な性格のものが多くて弱いと思う。
 でも、私はいわゆる「死にゲー」とか難易度初見からMAXなので最初から手は抜けない。転生する世界選ぶ時もそういう要素が入っていたかもしれない。
 しかも、ゲームにおいてヒットポイントというのは回復薬を飲めば即座に回復するのだが、今はゲームではない。血を流し続ければ勝手に止まる訳ではないので当然死ぬ。心臓を一突きされれば死ぬし、最悪痛覚によってショック死なんてこともあるかもしれない。
 …やだ、私の人生ハードコアすぎやしません?
 痛いのは嫌なので防御力に極振りを検討しとこう。
 まぁ、まだ難易度が高いと決まったわけではないけど。
 
 「さて、では冒険に行ってみよー!」
 「おー!…って、なにも武器装備してないじゃないですか!」
 「え、でも私武器持ってないよ?」
 「え、アイテムボックスの中にはないのですか?」
 そういえば、アイテムボックスは結局中見てなかったな。
 「アイテムボックス!」
 ………。なにも出てこない…。 
 「アイテムボックス!」
 念のためもう一度唱えてみた。
 しかしなにも起きなかった!
 「おい!なんでなにも無いの!確かに武器があるなんて言われてないけど、普通用意しとけよ!」
 こんなの無理ゲーにもほどがあるでしょ。魔力尽きたら終わりじゃん!FPSでみんな銃持ってるのに自分だけ拳で抵抗するようなもんじゃん!
 いや、できなくは無いけども。相当な運ゲーだよ!そしてそういうのは上手いプレイヤーが縛りプレイとして楽しむのであって、私みたいな新米には無理でしょ!ゲーム内だったら死んで上手くなることもできるかもしれないけど、今の私は本当に死ぬんだからね!
 …まぁ、ないものはないので仕方ないか…。
 別に、一体で行動していて、動きが鈍くて、魔法攻撃がよく通る敵を倒していけばいいわけだしね。
 
 …ズシン…ズシン…
 
 …?揺れている…?

 ズシン…ズシン…ズシン…
 
 地震にしては規則的な揺れだなー。うん。おかしいなー。音もなんだか近づいて来ている気がするなー。やだー。なにかしらー。
 
 そして音のする方を注視してみると、岩だった。
 いや、正確にいうと岩には長い首があって四本の足があった。
 その姿はさながら地球のキリンだった。しかし首より上に頭部はなく、身体全体に苔が生えている。

【悲報】私氏の冒険、始まる前に終わる。

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