最強剣士の息子は最強魔法師を目指す模様です
新ソードマスター④
あの激闘から、早3時間が経った午後8時すぎ、僕はお母さんと一緒にお父さんの帰りを待っていた。リビングの机には豪勢な食事が用意されている。いつもなら、食事はキッチンの横の机でとるのだが、今日ばかりはリビングの机でとる。なんてったって、お母さんが張り切りすぎて作りすぎたので、リビングの机じゃないと食事が乗りきらないからだ。鳥の丸焼きに、ローストビーフ、魚のお造り、パエリア、パンは籠ごとでサラダはボールごと、スープは一人一皿ずつ、おまけにケーキがワンホール。しかもスープ以外の料理は全部大皿だ。よく家にこんなに大皿があったもんだ。(因みにスープは、まだ大量にコンロの上の鍋の中にある。)果たして、これを家族3人で食べきれるのかという心配は頭の角に置いておく。なんたって、今日は家族で1番のお祝いだ!
そんなことを考えながら、食事の配膳を済ませた僕とお母さんは、リビングのソファーで料理を前に休んでいた。
「ただいま~」 
玄関のドアが開く音と同時に、嬉しそうなでも疲れきったようなそんなお父さんの声がきこえた。
「おかえりー!」
「おかえりなさい」
僕はリビングと玄関のドアを勢い良く開け、お父さんの元に飛び出していった。一方、お母さんはいつもと変わらず、ただいつもより笑顔で優しく出迎えた。
そして、帰ってくるなり直ぐに食事をとることになった。
「えっーと。お父さんの優勝と騎士団長就任を祝して、かんぱーい!」
どこから持ってきたのか、高級シャンパンを片手にお母さんは乾杯の音頭をとった。そして、家族3人和気藹々と食事をとり、試合の話をした。
「そう言えば、二人とも賭けに参加したの?」
突然、お父さんはそう話始めた。試合の当人は賭けれないが、家族は賭けることが出来ることは、当人も勿論知っている。
「お父さんに入れたよ」
「参加しましたよ」
僕とお母さんは、同時に返答した。
「じゃあ当たったわけだ!よかったね!頑張った甲斐があったよ。」
えっ!?お父さんはなんのために頑張ってたわけ?
っと、ちょっと疑問が生じたが、お父さんに限ってそんなはずがないと心の中で言い聞かせた。
「それでいくら当たった?」
めっちゃくちゃ金のこと聞いてくるじゃん!さっきの心の中の葛藤を返してくれ。と行き場の無いツッコミをまた心の中でかましていた。
「僕は3口だから、5550ルピーだね。お小遣い1年半分くらいは当たったよ!」
今回の倍率はモーガンが1.3倍で、ジョージが3.7倍と、モーガン人気で行われた。だから、僕たち家族は結構儲けた。
「やったじゃないか!これで来年のお小遣いは無しでも良さそうだな。」
「えぇーー!それはおかしいって!!」
いやいや、なぜそうなった!お小遣いはお小遣いでちゃんともらいますよ!
「ママはいくら当たったの?」
「えーとねー。確か、148000ルピー、148ルンドだったかな?結構当たったわよ!」
「えっ?……」
まぁ~そうなるよね。その反応はごもっともです。148ルンドって、すごすぎだよね!成人男性の年平均収入が約150ルンドだから、それぐらい儲かったことになるんだよね。
「それって何口賭けたの?」
「…80口……」
「えっ?……どこからそんなお金が?」
「…あの口座から…」
「……」
あっ、お父さん固まった。僕も初め聞いたときは驚いて呆れてたっけな。
「っえ?じゃあ、今あの口座は?どうなってるの?」
「勿論ちゃんと元通りになってるわよ。」
「よかったー……じゃないよー!!もし俺が負けてたらどうするつもりだったの?ねぇ?」
「だって負けるなんてこれっぽっちも思ってなかったもの。ねっ、ショーン」
「いやいや、僕に振らないで!僕を巻き込まないで!それに、試合の時、むちゃくちゃ焦ってたよね!指おってたよね?」
「いや、あれはさっ!ねっ?」
「ねっ?ってなんだよ。可愛かったら何でもいいって訳じゃないんだよ。いい年して!」
「「「ハッハッハ!」」」
ほんとにもー、いい年してもうちょっとちゃんとしてほしいよね。我が母ながら悲しいよ。
「まぁ、今回は当たったわけだし良しとしよう。」
お父さんも甘いなぁー。まぁ、お父さんの一目惚れで結婚までこじつけたって言ってたしなぁ。
それからも、色々と話に花を咲かせていた。
ー9時過ぎー
「ショーン!今日もやるよー!」
「今行くー」
食事を終えた僕とお父さんは、片付けをお母さんに任せ、日課の練習に出ようとしていた。なぜこの時間かと言うと、お父さんの騎士団は朝が早いから、お父さんが夜にしか時間が取れないからだ。
「じゃあ行ってきまーす。」
「気を付けてねぇ」
キッチンで片付けをしながら、お母さんは返事をした。僕とお父さんは、それぞれ木刀を持ち家を後にした。
僕とお父さん練習場所は、家の裏の人通りが少なく広い道路の外灯の下辺りだ。
「じゃあ、始めようか。」
僕は軽くうなずいた。そして、お父さんのその一言で日課の練習が始まった。
まずは素振りを100回、その次は剣術の型をやっり、最後に模擬戦をやって終わる。大体、一時間位だ。
最後の模擬線が終わり、僕とお父さんは家路についた。その道中、僕はお父さんにこう話しかけた。
「僕、魔術師になる。魔術師団長になる。」
「えっ?…騎士団長じゃなくて?今までも今日も剣術の練習してるのに…?」
「うん!だって、お父さんいつも言ってるでしょ。騎士団と魔術師団は仲が悪いって。それなら、お父さんが騎士団長になって、僕も魔術師団長になれば仲が良くなるでしょ。」
「確かにいつも言ってるけど、ショーンが気にすることじゃない。ショーンは自分のやりたいことをやればいい。」
「じゃあ、僕のやりたいことは魔術師になることだから、魔術師を目指して来年以降の学校に通うよ?」
お父さんは困った顔をしていた。いきなり今まで一緒に練習してきた剣を捨てて、まだ練習を始めてすらいない魔法を取ると言い出したら、そうなるのも仕方ない。ただ、お父さんも知っている。僕の魔法適正のことを…
僕は、火・水・風・土・聖・闇・無の全てに適正がある。僕は生まれたときに、親が専門家に頼んで測ってもらったらしい。まぁほとんどの家庭で一般的に測っていて、習慣みたいなものらしい。それで、僕は100年に1人いるかいないかのレベルでレアな全属性適正の持ち主と判明した。ただ適正はあるものの、すべての魔法が最低のEランクだった。Eランクの魔法がどれくらいかと言うと、火属性魔法だと、マッチ代わり位の火を起こすので精一杯な感じだ。ランクは、練習を重ねれば上がるが、Eランクからなら精々Bランクが限界と言われている。ましてや最高ランクのSにするのは、Eからだとほぼ不可能と言われている。また、魔法師団はAランクの魔法が少なくともひとつあるのが最低ラインと定められている。なので、親は魔法師を諦め剣を僕に持たせた。
数分考えた後、お父さんは口を開いた。
「これはお母さんにも言ったの?」
「いや、まだ言ってない。まずはお父さんかなって思ったから。いつも一緒練習してきたから。」
「わかった。帰ってお母さんにも聞いてみよう。それで、良いって言ったら、俺も許そう。」
そう言って、お父さんは家路を急いだ。
「ただいまー」
僕はいつもと何一つ変わらぬ感じで家に帰ってきた。
「お母さん、今いい?」
「どうかしたの?」
「えっとね、僕、魔術師になろうと思う。」
僕は少し緊張した感じで、ありのままお母さんに言った。
「へぇー、お父さんには言ったの?」
やっぱりこうきたか。
「お母さんが良いって言ったら、いいって。」
「じゃあいいわよ。」
えっ?即答??あっさり過ぎませんか?僕は、あまりにもあっさりした返答に驚きをかくせなかった。
「じゃあ、お父さんに言ってきなさい。」
「うん!」
僕はまだ冷静さを取り戻さないまま、お母さんにうなずいた。
そして、お父さんの部屋へ向かった。
「コンコン。お父さん入るよ?」
「いいよー」
返事を聞き、僕は部屋のドアを開けた。お父さんは、仕事机に向かっていた。灯りは、仕事机の明かりだけで、部屋のなかは薄暗い。僕は、お父さんの後ろまで歩いていった。
「さっきね、お母さんに聞いたら、良いって。」
お父さんは、椅子ごと僕の方を向いた。
「良かったな。正直なところ、俺としては剣士になって欲しかった。でも、ショーンがそう決めたのなら、俺は黙って見守るしか出来ない。
ショーンも分かっているとは思うが、今選んだその道は今以上に厳しい道だ。ただ、自分で決めたのなら、迷うな!止まるな!同じ道を目指す仲間は、ショーンよりも前にいる。走っても追い付かないかもしれないが、きっと追い付くと信じて走り続けろ。そして、追い越していけ。どんな結果になろうとも、悔いだけは残すな。がむしゃらに行け!ショーンなら出来る。なんてったって、騎士団長と毎日互角に戦っていたのだからな。それだけだ。
魔法で分からないことがあったら、ママに聞け。ママの方が、魔法に詳しい。
もう道は1つに決まったんだ!やることはたんまりあるぞ!今すぐに取り掛かれ。」
僕は涙目になりながら、大きくうなずいた。そして、笑顔で振り返り部屋のドアへ足を向けた。
「あっ、これからの日課は俺1人だけど続けるから。それと、相談ならいつでも俺のところに来い。」
僕は、お父さんに背を向けたまま部屋を後にした。
そんなことを考えながら、食事の配膳を済ませた僕とお母さんは、リビングのソファーで料理を前に休んでいた。
「ただいま~」 
玄関のドアが開く音と同時に、嬉しそうなでも疲れきったようなそんなお父さんの声がきこえた。
「おかえりー!」
「おかえりなさい」
僕はリビングと玄関のドアを勢い良く開け、お父さんの元に飛び出していった。一方、お母さんはいつもと変わらず、ただいつもより笑顔で優しく出迎えた。
そして、帰ってくるなり直ぐに食事をとることになった。
「えっーと。お父さんの優勝と騎士団長就任を祝して、かんぱーい!」
どこから持ってきたのか、高級シャンパンを片手にお母さんは乾杯の音頭をとった。そして、家族3人和気藹々と食事をとり、試合の話をした。
「そう言えば、二人とも賭けに参加したの?」
突然、お父さんはそう話始めた。試合の当人は賭けれないが、家族は賭けることが出来ることは、当人も勿論知っている。
「お父さんに入れたよ」
「参加しましたよ」
僕とお母さんは、同時に返答した。
「じゃあ当たったわけだ!よかったね!頑張った甲斐があったよ。」
えっ!?お父さんはなんのために頑張ってたわけ?
っと、ちょっと疑問が生じたが、お父さんに限ってそんなはずがないと心の中で言い聞かせた。
「それでいくら当たった?」
めっちゃくちゃ金のこと聞いてくるじゃん!さっきの心の中の葛藤を返してくれ。と行き場の無いツッコミをまた心の中でかましていた。
「僕は3口だから、5550ルピーだね。お小遣い1年半分くらいは当たったよ!」
今回の倍率はモーガンが1.3倍で、ジョージが3.7倍と、モーガン人気で行われた。だから、僕たち家族は結構儲けた。
「やったじゃないか!これで来年のお小遣いは無しでも良さそうだな。」
「えぇーー!それはおかしいって!!」
いやいや、なぜそうなった!お小遣いはお小遣いでちゃんともらいますよ!
「ママはいくら当たったの?」
「えーとねー。確か、148000ルピー、148ルンドだったかな?結構当たったわよ!」
「えっ?……」
まぁ~そうなるよね。その反応はごもっともです。148ルンドって、すごすぎだよね!成人男性の年平均収入が約150ルンドだから、それぐらい儲かったことになるんだよね。
「それって何口賭けたの?」
「…80口……」
「えっ?……どこからそんなお金が?」
「…あの口座から…」
「……」
あっ、お父さん固まった。僕も初め聞いたときは驚いて呆れてたっけな。
「っえ?じゃあ、今あの口座は?どうなってるの?」
「勿論ちゃんと元通りになってるわよ。」
「よかったー……じゃないよー!!もし俺が負けてたらどうするつもりだったの?ねぇ?」
「だって負けるなんてこれっぽっちも思ってなかったもの。ねっ、ショーン」
「いやいや、僕に振らないで!僕を巻き込まないで!それに、試合の時、むちゃくちゃ焦ってたよね!指おってたよね?」
「いや、あれはさっ!ねっ?」
「ねっ?ってなんだよ。可愛かったら何でもいいって訳じゃないんだよ。いい年して!」
「「「ハッハッハ!」」」
ほんとにもー、いい年してもうちょっとちゃんとしてほしいよね。我が母ながら悲しいよ。
「まぁ、今回は当たったわけだし良しとしよう。」
お父さんも甘いなぁー。まぁ、お父さんの一目惚れで結婚までこじつけたって言ってたしなぁ。
それからも、色々と話に花を咲かせていた。
ー9時過ぎー
「ショーン!今日もやるよー!」
「今行くー」
食事を終えた僕とお父さんは、片付けをお母さんに任せ、日課の練習に出ようとしていた。なぜこの時間かと言うと、お父さんの騎士団は朝が早いから、お父さんが夜にしか時間が取れないからだ。
「じゃあ行ってきまーす。」
「気を付けてねぇ」
キッチンで片付けをしながら、お母さんは返事をした。僕とお父さんは、それぞれ木刀を持ち家を後にした。
僕とお父さん練習場所は、家の裏の人通りが少なく広い道路の外灯の下辺りだ。
「じゃあ、始めようか。」
僕は軽くうなずいた。そして、お父さんのその一言で日課の練習が始まった。
まずは素振りを100回、その次は剣術の型をやっり、最後に模擬戦をやって終わる。大体、一時間位だ。
最後の模擬線が終わり、僕とお父さんは家路についた。その道中、僕はお父さんにこう話しかけた。
「僕、魔術師になる。魔術師団長になる。」
「えっ?…騎士団長じゃなくて?今までも今日も剣術の練習してるのに…?」
「うん!だって、お父さんいつも言ってるでしょ。騎士団と魔術師団は仲が悪いって。それなら、お父さんが騎士団長になって、僕も魔術師団長になれば仲が良くなるでしょ。」
「確かにいつも言ってるけど、ショーンが気にすることじゃない。ショーンは自分のやりたいことをやればいい。」
「じゃあ、僕のやりたいことは魔術師になることだから、魔術師を目指して来年以降の学校に通うよ?」
お父さんは困った顔をしていた。いきなり今まで一緒に練習してきた剣を捨てて、まだ練習を始めてすらいない魔法を取ると言い出したら、そうなるのも仕方ない。ただ、お父さんも知っている。僕の魔法適正のことを…
僕は、火・水・風・土・聖・闇・無の全てに適正がある。僕は生まれたときに、親が専門家に頼んで測ってもらったらしい。まぁほとんどの家庭で一般的に測っていて、習慣みたいなものらしい。それで、僕は100年に1人いるかいないかのレベルでレアな全属性適正の持ち主と判明した。ただ適正はあるものの、すべての魔法が最低のEランクだった。Eランクの魔法がどれくらいかと言うと、火属性魔法だと、マッチ代わり位の火を起こすので精一杯な感じだ。ランクは、練習を重ねれば上がるが、Eランクからなら精々Bランクが限界と言われている。ましてや最高ランクのSにするのは、Eからだとほぼ不可能と言われている。また、魔法師団はAランクの魔法が少なくともひとつあるのが最低ラインと定められている。なので、親は魔法師を諦め剣を僕に持たせた。
数分考えた後、お父さんは口を開いた。
「これはお母さんにも言ったの?」
「いや、まだ言ってない。まずはお父さんかなって思ったから。いつも一緒練習してきたから。」
「わかった。帰ってお母さんにも聞いてみよう。それで、良いって言ったら、俺も許そう。」
そう言って、お父さんは家路を急いだ。
「ただいまー」
僕はいつもと何一つ変わらぬ感じで家に帰ってきた。
「お母さん、今いい?」
「どうかしたの?」
「えっとね、僕、魔術師になろうと思う。」
僕は少し緊張した感じで、ありのままお母さんに言った。
「へぇー、お父さんには言ったの?」
やっぱりこうきたか。
「お母さんが良いって言ったら、いいって。」
「じゃあいいわよ。」
えっ?即答??あっさり過ぎませんか?僕は、あまりにもあっさりした返答に驚きをかくせなかった。
「じゃあ、お父さんに言ってきなさい。」
「うん!」
僕はまだ冷静さを取り戻さないまま、お母さんにうなずいた。
そして、お父さんの部屋へ向かった。
「コンコン。お父さん入るよ?」
「いいよー」
返事を聞き、僕は部屋のドアを開けた。お父さんは、仕事机に向かっていた。灯りは、仕事机の明かりだけで、部屋のなかは薄暗い。僕は、お父さんの後ろまで歩いていった。
「さっきね、お母さんに聞いたら、良いって。」
お父さんは、椅子ごと僕の方を向いた。
「良かったな。正直なところ、俺としては剣士になって欲しかった。でも、ショーンがそう決めたのなら、俺は黙って見守るしか出来ない。
ショーンも分かっているとは思うが、今選んだその道は今以上に厳しい道だ。ただ、自分で決めたのなら、迷うな!止まるな!同じ道を目指す仲間は、ショーンよりも前にいる。走っても追い付かないかもしれないが、きっと追い付くと信じて走り続けろ。そして、追い越していけ。どんな結果になろうとも、悔いだけは残すな。がむしゃらに行け!ショーンなら出来る。なんてったって、騎士団長と毎日互角に戦っていたのだからな。それだけだ。
魔法で分からないことがあったら、ママに聞け。ママの方が、魔法に詳しい。
もう道は1つに決まったんだ!やることはたんまりあるぞ!今すぐに取り掛かれ。」
僕は涙目になりながら、大きくうなずいた。そして、笑顔で振り返り部屋のドアへ足を向けた。
「あっ、これからの日課は俺1人だけど続けるから。それと、相談ならいつでも俺のところに来い。」
僕は、お父さんに背を向けたまま部屋を後にした。
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