最強剣士の息子は最強魔法師を目指す模様です

クラゲラボ

新ソードマスター②

「さぁ、選手の入場だぁー!」

ハザルのその一言を待ってたかのように、コロッセオ全体から大きな歓声があがった。その歓声と共にコロッセオ「月下げっかの間」の東西に設置された巨大な扉が開き始めた。

「まず初めに西の扉から、ジョウジが姿を見せたぁ~。」
「「「ジョウジ様ぁ~」」」

ハザルの実況をかき消すかのように、会場のいたるところから黄色いようなピンク色のような甘ったるい歓声が沸いた。お父さんは、肌は白く金髪のストレート、高身長で細身の体にフィットした細かな彫刻が施された銀箔に輝く鎧を身にまとい、月下の間に姿を見せた。その腰には、この姿には不相応にも思いたくなる木でできた細めの片手直剣をさげている。

「次に東の扉からもちろんこの人、モーガンだぁ~。」
「「「うおぉぉぉ!!!」」」

こっちはこっちで、ハザルの実況なんてお構いなしに、汗の臭いや加齢臭が漂ってきそうな、むさくるしい歓声が沸き上がった。モーガンは、肌は日焼けしたかのように黒く茶髪のぼさぼさ髪、身長は低いが筋肉隆々のごつい体を見せつけるかのように局部だけくすんだ銀色の鎧を身にまとい、姿を見せた。その腰には、木でできた大きく重そうな両刃の両手斧をさげている。

しかし、当の二人はそんな歓声には目も…いや…耳もくれず、集中し切った表情で月下の間の中心にある二つの白線まで歩き、表情一つ変えずに対面した。そんな二人の空気を感じ取ったのか、会場コロッセオも次第に静まり返り緊張が張り巡らされていく。そんな静けさの中…

「さぁ、それでは両選手がそろったところでルールの説明をさせていただきます。」

そう言って、ハザルは手に持っていた巻物をほどき説明を始めた。

「一つ、試合開始の合図は、国王の座っている席から月が全て姿を現したとき、国王による合図で行う。
     一つ、試合は中心から半径100メートルの円形の範囲内で行われ、初めは二人の距離が10メートル離れている。範囲の外は一段落ちている。
  一つ、決着はどちらかが戦闘不能になったと審判が判断しゴングが鳴った時、どちらかが降参の合図をしたときまたは、範囲外に落ちたときとする。
 一つ、万が一のため急所は寸止めをする。また、された側は、速やかに降参の合図を出さなくてはならない。
 一つ、武器は予め審査を通った木刀、盾のみ使用を許可する。
 一つ、試合中の魔法の使用は、一切を禁ずる。
 一つ、不正が発覚した際は、試合を無効とし不正した者を失格とする。
    一つ、試合中の審判の采配は、絶対遵守される。
    一つ、国王の名の元に、正々堂々・不正の無い試合を行うことをここに誓う。
   以上をもって、ルール説明を終わりとする。」

ハザルの説明が終わると、会場コロッセオがまた一気に熱を帯びたかのように、惜しみ無い歓声と拍手が贈られる。
この月下の間には、特殊な魔方陣が埋め込まれており、即死の傷も気絶程度ですむ。しかし、万が一のためにルールには必ず寸止めが含まれるようになっている。
そして、間もなく日が暮れ会場コロッセオには、灯りがともされた。そして、会場コロッセオ全体が活気に溢れたまま、今か今かと試合を待ちわびていると…

「あーーとっ!私の席から月が見え始めたぞー!!」

最上段にいるハザルがそういうと、さらに会場コロッセオの熱気が増していく。すると、僕や国王のいる中段でも、見えるようになってきた。因みに僕のいるS席は、通路を挟んですぐ横に国王を含む王家の御偉いさん達が座っている。さらにその反対側の通路の先には、マサチューセッツ家の御一家が座っている。僕は、なんだか場違いな気がして、緊張しながら月を眺めたいると…

「私の席からは、月が全て姿を現したぞー!!」

僕は心の中で、「ハザルだまってくれ!こっちは緊張で心臓バクバクなんだよ!僕のところからは、月がもう8分9分でてるんだよ!言わんでもわかるから!!」と、ハザルの発言に若干いらいらしていた。
すると…

「おっーと!国王様がマイクを手に持ったぞ~!」

ハザルのその一言で、会場コロッセオ一帯がソワソワと、緊張しながら国王様の方を見た。
そんな中、月下の間にいる二人は武器を構え、集中しきった表情で、国王様の一言を待っていた。そして…

「時は満ちたっ!両者尋常に、、、始めっ!!」

遂に国王様の一言で、試合が始まった。











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