転生銀髪美少女は勇者にすべてを任せて楽に生きたい
番外編③ コラボ小説
「ふぅ~」
久しぶりに浴びる日の光に軽く感動を覚える。
さっきまで、明かりがなければ自分の手すら見えない真っ暗な洞窟の中にいたからだ。
「やっと出れたな」
青葉さんが伸びをしながらみんなの気持ちを代弁する。
「さて······ここからどうしようか、なんて無粋な質問はやめておくか」
洞窟から出て一番に目に入ってくるのは、なんといってもその存在を大きく主張している巨大な古びたお城だ。
その他には何もなく、他に目指すようなところはどこにもない。
「たぶん、シルバーさんのお仲間も城の方に向かうと思いますし、きっと会えますよ!」
リタさんが励ましてくれる。
城は見た感じここからかなり離れているけど、視界を遮るような障害物は一切ないからシオンさん達がいればすぐに見つけることができるはずだ。
「はい、そうですね。でも、ちょっと距離がありますし再会はまだお預けですかね」
「いえ、それなら大丈夫です。青葉、例のやつを」
突然名前を呼ばれて、何のことか分かっていないかのようにポカンとする青葉さん。
「ね、青葉!」
そこにルルさんが近づいて、未だに気付いていない青葉さんに耳打ちをする。
(ティレスのことだよっ!! その方が早いでしょ?)
「お! そうか。よし、こい、ティレス!」
何もない虚空の空間に魔方陣が出現し、そこから見たこともない大きな鳥のようなものが現れた。
「主人、何用ですか?」
「ほら、あそこに大きな城が見えるだろ? あそこまで連れていってほしいんだ。えっと、ルルは······」
「もちろん一緒に乗る! 青葉......私も居たら......ダメ?」
ちょっと拗ねた感じで青葉さんに甘えるルルさん。
青葉さんは即行で白旗を上げ、僕と青葉さん、ルルさんにリタさんの四人で、ティレスと呼ばれた大きな鳥に乗る。
「主人、目的の場所までは四人を落とさないようにゆっくりめでいくので、数時間はかかってしまいます」
「うん。安全運転でお願いね」
ティレスのもふもふで暖かい毛に、落ちないようにしがみついて初めての空の旅を満喫しました。
ティレスの言ったとおりに数時間が過ぎた頃、大きなお城にたどり着きます。
その間に何もなかったと言えば嘘になる。
青葉さんを巡っての仁義なき女の戦いが数時間ずっと続いていた。
ハーレムとはこういうことかとちょっと、いやかなりムカつきはしたものの聞こえていない振りをしていた。
ちらっと横目に青葉さんを覗き見すると、困った顔をしながらも満更ではなさそうだった。
リア充はとっとと爆発してください。
話は戻って、僕たちは大きなお城の前に着きました。
「大きいね......」
一旦ティレスから降りて城の様子を伺う。
年季を感じるものの、ある程度整っている様子を見るに、長年放置されているようには思えず、もしかしたら誰かが住んでいるのかもしれない。
どうしようかと大きな門の前で立ち止まっていると、ゆっくりと門が開かれていく。
「おお! 動いた!」
ルルさんが興奮気味で熱い視線を送る。
こういうのは初めて見るのかな?
まあ僕も初めての光景に心が踊っているのだけど。
門が完全に開く。
これは、歓迎しているのだろうか?
僕たちは戸惑いながらも一歩歩み寄ると、今までに経験したことのない感覚に襲われる。
全身の鳥肌が立ち、容易に動こうものなら首が一瞬で跳ねてしまうようなものだ。
「············」
静寂が僕たちを包み込む。
最初にその均衡を破ったのは全身に鉄の鎧を纏った西洋風の騎士の歩く音だった。
ガチャッガチャッ、とゆっくり近づいてきているだけなのに震えが止まらない。
そいつはある程度歩くと、ピタッと止まり剣を鞘から抜く。
「警告スル。直チニ立チ去レ。従ワナイ場合ハ排除スル」
片言の日本語ではあるが警告を述べると剣を構える。
「これは戦うしかありませんね」
「そうだな。俺とルルで前衛を、リタは支援魔法でサポートと魔法による攻撃、シルバーは遊撃で頼む」
青葉さんが的確な指示をくれる。
意外とやるときはやるらしい。
「魅惑」
リタさんがみんなに身体強化の支援魔法をかけてくれる。
加えて自前の魔法も自分にかける。
それと弓を作っておく。
「ウェポンアーツ、弓」
『力となれ応える剣』
「宿れ、ティレス!」
それぞれの準備が終わる。
もう、いつでも始められる。
「アイスロック!」
効果があるのかは微妙なところだけれど、開始の合図として僕の魔法を放つ。
うまくいけば動きを封じ、いかなくても多少の妨害の役目は果たしてくれるはずだ。
足元から凍りつかせるも、西洋騎士は魔法も使わずに軽々と氷を砕く。
だが、それも想定内。
一瞬だけできた隙に一気に距離を縮め、それぞれの渾身の一撃を叩き込む。
「壱の型 全てを穿つ矢」
『アンサラー』
『ソレアフレイムっ!!』
それらの攻撃はきれいに西洋騎士に命中する。
その衝撃で辺りに煙が舞い上がる。
しばらくして煙が晴れると、そこにはほとんど無傷の西洋騎士の姿が現れる。
「マジかよ......」
青葉さんのつぶやきはもっともである。
現状のほぼ最大火力の攻撃をまともに受けて、鎧に多少の傷をつけるくらいでは勝ち目がないに等しい。
「フィールド展開」
西洋騎士が魔法のようなものを発動させる。
「コレデアナタタチハ、私ヲ倒スマデデラレマセン」
シオンさんが以前に使っていた人避けの結界だろうか、そうだとすると厄介というか絶体絶命のピンチである。
逃げるという選択肢が消え、僕たちには西洋騎士を倒すという選択肢を選ばざるをえなくなった。
「しょうがない······ここはみんなで連携を取って少しずつダメージを与えていこう」
とりあえずの作戦を立てた時、一瞬にして西洋騎士の姿が消える。
なんとなく直感的に右方向に転がる。
するとさっきまで僕がいたところに剣を振り切った西洋騎士の姿が現れる。
地面に剣が深々と突き刺さり、その周りが若干陥没している。
剣を引っこ抜くと軽く土を払い、もう一度さっきの攻撃のためなのか剣を低く構える。
さっきのは偶然回避できただけで、あれで僕の首が飛んでいてもおかしくはなかった。
次はもうない......
「シルバーは下がってて、ここは私が抑える──」
「俺たちで、だ。気を引きしめろよ。一人で戦おうとするな」
ルルさんの言葉を遮って青葉さんが言う。
意外といいこと言いますね。
「宿れ、イムレ!!」
『害をなせ傷つける剣』
青葉さんは契約獣の力を剣に宿す能力を使い、ルルさんは変わった形の剣と炎を纏った剣の二刀流のスタイルになる。
ここからが正念場だ。
正真正銘僕たちの全力を振り絞る。
「魅惑氷霧」
リタさんが再び支援魔法をかけてくれる。
今回は後ろで青葉さんたちの援護にまわろう。
「じゃあ行くよ。青葉、後ろ、任せたね」
今度はこちらが先に動いた。
飛び出したルルさんの後ろに青葉さんが続く。
そしてまたしても一瞬にして西洋騎士の姿がかき消える。
今回狙われたのはルルさんで、後ろからの攻撃に反応できていない。
当たる! そう思った瞬間、この場には似つかわしくない音が聞こえてくる。
ぶにゅ
イムレの能力はスライム特有の斬撃吸収と物理吸収。
その為西洋騎士の必殺の攻撃は青葉さんによって阻まれる。
しかし勢いを殺しきれなかったのか、その場に踏み留まることができずに吹っ飛ばされる。
追撃を仕掛けようとした西洋騎士だが、ルルさんが青葉さんを守るように立ちふさがる。
「青葉を傷つけるのは、許さない」
ルルさんの持つ応える剣は先程よりも禍々しさが増大し、傷つける剣は纏っている炎の勢いが強くなっている。
じりじりと、向かい合う両者は距離を詰めどちらからともなく動き出した。
中途半端なところですみません。
次回は戦闘回? とやっとキャラが全員集合します。
コラボ小説第4話は近日公開です。
久しぶりに浴びる日の光に軽く感動を覚える。
さっきまで、明かりがなければ自分の手すら見えない真っ暗な洞窟の中にいたからだ。
「やっと出れたな」
青葉さんが伸びをしながらみんなの気持ちを代弁する。
「さて······ここからどうしようか、なんて無粋な質問はやめておくか」
洞窟から出て一番に目に入ってくるのは、なんといってもその存在を大きく主張している巨大な古びたお城だ。
その他には何もなく、他に目指すようなところはどこにもない。
「たぶん、シルバーさんのお仲間も城の方に向かうと思いますし、きっと会えますよ!」
リタさんが励ましてくれる。
城は見た感じここからかなり離れているけど、視界を遮るような障害物は一切ないからシオンさん達がいればすぐに見つけることができるはずだ。
「はい、そうですね。でも、ちょっと距離がありますし再会はまだお預けですかね」
「いえ、それなら大丈夫です。青葉、例のやつを」
突然名前を呼ばれて、何のことか分かっていないかのようにポカンとする青葉さん。
「ね、青葉!」
そこにルルさんが近づいて、未だに気付いていない青葉さんに耳打ちをする。
(ティレスのことだよっ!! その方が早いでしょ?)
「お! そうか。よし、こい、ティレス!」
何もない虚空の空間に魔方陣が出現し、そこから見たこともない大きな鳥のようなものが現れた。
「主人、何用ですか?」
「ほら、あそこに大きな城が見えるだろ? あそこまで連れていってほしいんだ。えっと、ルルは······」
「もちろん一緒に乗る! 青葉......私も居たら......ダメ?」
ちょっと拗ねた感じで青葉さんに甘えるルルさん。
青葉さんは即行で白旗を上げ、僕と青葉さん、ルルさんにリタさんの四人で、ティレスと呼ばれた大きな鳥に乗る。
「主人、目的の場所までは四人を落とさないようにゆっくりめでいくので、数時間はかかってしまいます」
「うん。安全運転でお願いね」
ティレスのもふもふで暖かい毛に、落ちないようにしがみついて初めての空の旅を満喫しました。
ティレスの言ったとおりに数時間が過ぎた頃、大きなお城にたどり着きます。
その間に何もなかったと言えば嘘になる。
青葉さんを巡っての仁義なき女の戦いが数時間ずっと続いていた。
ハーレムとはこういうことかとちょっと、いやかなりムカつきはしたものの聞こえていない振りをしていた。
ちらっと横目に青葉さんを覗き見すると、困った顔をしながらも満更ではなさそうだった。
リア充はとっとと爆発してください。
話は戻って、僕たちは大きなお城の前に着きました。
「大きいね......」
一旦ティレスから降りて城の様子を伺う。
年季を感じるものの、ある程度整っている様子を見るに、長年放置されているようには思えず、もしかしたら誰かが住んでいるのかもしれない。
どうしようかと大きな門の前で立ち止まっていると、ゆっくりと門が開かれていく。
「おお! 動いた!」
ルルさんが興奮気味で熱い視線を送る。
こういうのは初めて見るのかな?
まあ僕も初めての光景に心が踊っているのだけど。
門が完全に開く。
これは、歓迎しているのだろうか?
僕たちは戸惑いながらも一歩歩み寄ると、今までに経験したことのない感覚に襲われる。
全身の鳥肌が立ち、容易に動こうものなら首が一瞬で跳ねてしまうようなものだ。
「············」
静寂が僕たちを包み込む。
最初にその均衡を破ったのは全身に鉄の鎧を纏った西洋風の騎士の歩く音だった。
ガチャッガチャッ、とゆっくり近づいてきているだけなのに震えが止まらない。
そいつはある程度歩くと、ピタッと止まり剣を鞘から抜く。
「警告スル。直チニ立チ去レ。従ワナイ場合ハ排除スル」
片言の日本語ではあるが警告を述べると剣を構える。
「これは戦うしかありませんね」
「そうだな。俺とルルで前衛を、リタは支援魔法でサポートと魔法による攻撃、シルバーは遊撃で頼む」
青葉さんが的確な指示をくれる。
意外とやるときはやるらしい。
「魅惑」
リタさんがみんなに身体強化の支援魔法をかけてくれる。
加えて自前の魔法も自分にかける。
それと弓を作っておく。
「ウェポンアーツ、弓」
『力となれ応える剣』
「宿れ、ティレス!」
それぞれの準備が終わる。
もう、いつでも始められる。
「アイスロック!」
効果があるのかは微妙なところだけれど、開始の合図として僕の魔法を放つ。
うまくいけば動きを封じ、いかなくても多少の妨害の役目は果たしてくれるはずだ。
足元から凍りつかせるも、西洋騎士は魔法も使わずに軽々と氷を砕く。
だが、それも想定内。
一瞬だけできた隙に一気に距離を縮め、それぞれの渾身の一撃を叩き込む。
「壱の型 全てを穿つ矢」
『アンサラー』
『ソレアフレイムっ!!』
それらの攻撃はきれいに西洋騎士に命中する。
その衝撃で辺りに煙が舞い上がる。
しばらくして煙が晴れると、そこにはほとんど無傷の西洋騎士の姿が現れる。
「マジかよ......」
青葉さんのつぶやきはもっともである。
現状のほぼ最大火力の攻撃をまともに受けて、鎧に多少の傷をつけるくらいでは勝ち目がないに等しい。
「フィールド展開」
西洋騎士が魔法のようなものを発動させる。
「コレデアナタタチハ、私ヲ倒スマデデラレマセン」
シオンさんが以前に使っていた人避けの結界だろうか、そうだとすると厄介というか絶体絶命のピンチである。
逃げるという選択肢が消え、僕たちには西洋騎士を倒すという選択肢を選ばざるをえなくなった。
「しょうがない······ここはみんなで連携を取って少しずつダメージを与えていこう」
とりあえずの作戦を立てた時、一瞬にして西洋騎士の姿が消える。
なんとなく直感的に右方向に転がる。
するとさっきまで僕がいたところに剣を振り切った西洋騎士の姿が現れる。
地面に剣が深々と突き刺さり、その周りが若干陥没している。
剣を引っこ抜くと軽く土を払い、もう一度さっきの攻撃のためなのか剣を低く構える。
さっきのは偶然回避できただけで、あれで僕の首が飛んでいてもおかしくはなかった。
次はもうない......
「シルバーは下がってて、ここは私が抑える──」
「俺たちで、だ。気を引きしめろよ。一人で戦おうとするな」
ルルさんの言葉を遮って青葉さんが言う。
意外といいこと言いますね。
「宿れ、イムレ!!」
『害をなせ傷つける剣』
青葉さんは契約獣の力を剣に宿す能力を使い、ルルさんは変わった形の剣と炎を纏った剣の二刀流のスタイルになる。
ここからが正念場だ。
正真正銘僕たちの全力を振り絞る。
「魅惑氷霧」
リタさんが再び支援魔法をかけてくれる。
今回は後ろで青葉さんたちの援護にまわろう。
「じゃあ行くよ。青葉、後ろ、任せたね」
今度はこちらが先に動いた。
飛び出したルルさんの後ろに青葉さんが続く。
そしてまたしても一瞬にして西洋騎士の姿がかき消える。
今回狙われたのはルルさんで、後ろからの攻撃に反応できていない。
当たる! そう思った瞬間、この場には似つかわしくない音が聞こえてくる。
ぶにゅ
イムレの能力はスライム特有の斬撃吸収と物理吸収。
その為西洋騎士の必殺の攻撃は青葉さんによって阻まれる。
しかし勢いを殺しきれなかったのか、その場に踏み留まることができずに吹っ飛ばされる。
追撃を仕掛けようとした西洋騎士だが、ルルさんが青葉さんを守るように立ちふさがる。
「青葉を傷つけるのは、許さない」
ルルさんの持つ応える剣は先程よりも禍々しさが増大し、傷つける剣は纏っている炎の勢いが強くなっている。
じりじりと、向かい合う両者は距離を詰めどちらからともなく動き出した。
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