転生銀髪美少女は勇者にすべてを任せて楽に生きたい
番外編① コラボ小説
それはある日のこと。
「シルバーさん、少しいいですか」
初めて出会った頃は求婚を迫ってきたりとめんどくさい変態さんでしたが、最近のハルバルトさんは真面目になってきた気がします。
「どうしましたか? ハルバルトさん」
「それが、街にやって来た商人の話なんですがね、フリーユに来る途中に変なものを見たと言うのですよ」
「変なもの······ですか」
「はい。なんでも言葉にするのが難しいようで、あえていうのであれば『亀裂』のようなものだと」
「亀裂、ですか。街の壁にでもあったんですか?」
「それが、道の途中にあったらしいんです。私は念のために見てこようと思うのですが、もしよろしければシルバーさんもどうですか?」
「なんじゃ、面白そうな話をしておるな。わしも混ぜろ」
宿の一階でハルバルトさんと話をしていたら、上の階から魔王ちゃんが降りてきた。
その後ろからは続々と見知った顔が現れる。
「うん! 魔王ちゃん、一緒にお話しよ!」
ぎゅうっと、レーラさんが魔王ちゃんに抱きつく。
それをものすごく嫌そうな顔をして必死に逃れようと抵抗している。
「お主に話したわけじゃないのじゃ! 離せー」
いつもの二人であった。
「まぁ、たまには出かけるのもいいだろう。ハルバルト、俺たちもついていっていいよな?」
最後に姿を表したのは金色の髪と整った顔が目を引くシオンさんだ。
「いえ、私はシルバーさんと二人っきりが······」
「いいですね! みんなで行きましょう!」
ハルバルトさんの言葉を途中で遮る。
少し落ち着きはしたものの、やっぱりハルバルトさんはハルバルトさんなのだ。
「よし、なら早速出発しようぜ。ほらレーラ、いつまでも遊んでいるんじゃない」
「え~、まだ魔王ちゃん成分が補給できてないよ~」
「何が魔王ちゃん成分じゃ! ほれ、出かけるのだから離れるのだ!」
レーラさんはしぶしぶといった感じで離れる。
僕、シオンさん、レーラさん、ハルバルトさん、魔王ちゃんの計五人で問題の『亀裂』とやらに向かいます。
間違いなくこの世界で最強とも呼べる五人パーティーができてしまいました。
「もうそろそろで着くはずです」
ハルバルトさんの声に五人の間に少し緊張が走る。
そして、それが見えてきた。
何と言い表せばいいのだろうか。
確かにそれは『亀裂』と呼ぶのが正しい気がする。
人が一人なんとか入れそうな程の亀裂は奥がどうなっているのか暗くてよく見ることが出来ない。
「なんだあれは。見たことがないぞ」
シオンさんが戸惑った声で疑問を口にする。
かつて魔王を倒すために世界中を駆け回ったシオンさんですら見たことがないという。
他のメンツも同じ感想のようだ。
「これ、どうしましょうか?」
パッと見では害は無さそうだから、とりあえずは放置をしててもいいんじゃないのかなって思ってしまう。
他に対処のしようがない。
「何があるか分からないからな、とりあえずは放置していてもいいんじゃないか?」
どうやらシオンさんも僕と同じ考えのよう。
そこにハルバルトさんが言葉を繋げる。
「街ではちゃんと告知をしてここには近づかないように注意しておきますか。あとは、他の街にも連絡をして······」
「いや、それではダメじゃ」
ここまで黙っていた魔王ちゃんが口を開く。
「よく見てみるのだ。少しずつじゃが、亀裂が大きくなっておる」
言われて、改めて亀裂を注意深く観察する。
確かに少しずつだが亀裂が大きくなっている。
他のみんなもその現象を確認した。
「これはあくまでもわしの憶測じゃが······このまま放置していたらいずれ大きな問題になるのではないじゃろうか?」
問題はなさそうだと緩くなっていた空気が再び張り詰める。
「じゃあ、どうすればいいの?」
恐る恐るといった感じでレーラさんが尋ねる。
こういうときは魔王ちゃんに抱きついたりはしないらしい。
「インフェルノ!」
突然魔王ちゃんが魔法を放つ。
それは軽く人を丸焼きにできるような、かなりの威力のものだった。
その魔法が亀裂へと向かう。
「えっ?」
確かに魔法は命中したはずなのに、亀裂は何事もなかったかのようにそこに存在していた。
「魔法で壊すことも出来ない、ということかの」
呆れた表情の魔王ちゃん。
僕もいきなり魔法を放った魔王ちゃんと、かなりの威力だった魔法でも無傷であった亀裂に呆れる。
「ならば、直接乗り込むしかないかのぅ」
「「「「えっ(はっ)(なんですと)!?」」」」
突拍子もない魔王ちゃんの意見に四人が同時に驚きの声を出す。
「嫌ならばわしだけでも行くぞ。これは絶対面白いことが起きそうじゃからな」
「僕も行くよ」
さすがに魔王ちゃん一人に行かせる訳にはいかない。
「私も行くよ」
「じゃあ俺もついていってやる」
「ならば私も行きましょう」
僕の言葉に三人が続く。
なんだかんだ言ってみんな仲良しなのだ。
「ふふっ、気を付けるのじゃぞ。亀裂の向こうはどうなっているかは分からない。待っているのは天国か地獄か······こんな面白いことなど滅多にない。だからケガなく安全に、全力で楽しむのじゃ!」
魔王ちゃんの掛け声にみんなが、おー、と言い士気も高まる。
「よし、ならばハルバルト、お主が最初にあの中に入れ」
魔王ちゃん直々のご指名に自慢の筋肉を見せびらかしながら亀裂へと向かう。
てっきり自分が一番乗りだと言って入ると思ったけど意外です。
「シルバー、それは当たり前であろう」
唐突に魔王ちゃんが話しかけてくる。
多分、僕の心の中を覗いたのだろう。
心臓に悪いからあまり覗いてほしくない。これでも健全な元男子校生なのだ。
「あの亀裂が何か分からない以上。中に入ったら体がバラバラになってジ・エンド、なんてこともあるかもしれないだろう?」
恐ろしいことを言う魔王ちゃんに、僕は恐怖を覚え、レーラさんは心配そうな顔をし、シオンさんは表情が強ばり、ハルバルトさんはその歩みを止めた。
「何をぼさっとしておる。さっさと行くのじゃ。アクセル」
魔王ちゃんは自分に魔法をかけ、ハルバルトさんとの距離を縮めておもいっきりその巨体を押した。
魔王ちゃんのその小さな体に見合わない大きな衝撃で、踏ん張ろうとしたハルバルトさんの努力も虚しく、真っ直ぐに亀裂へと吹っ飛ばされる。
そして、綺麗にハルバルトさんの体は亀裂の中に消えていった。
「しまったの、これでは中がどうなっているか分からぬ」
ハルバルトさんを亀裂に押し込んだ張本人は、その事を後悔せずに別のことについて考え始める。
「安心するのじゃシルバー、あやつは死んでも死なないやつじゃ」
「ま、ハルバルトなら大丈夫だろ」
「えっと、さすがにかわいそうだから私たちも行こっか?」
その言葉で四人は歩き出し、レーラさん、シオンさん、ハルバルトさん、僕、の順番で次々と亀裂に入っていく。
三人はすでに亀裂に入り、最後となった僕は一度振り返る。
雲一つないまっさらな青空、ぽかぽかとした陽気は人を眠りに誘う。そんな情景だった。
今回は以前に告知していた、海美蒼衣先輩とのコラボ小説の第1話となっています。
まだ自分のキャラしか出せていません。ごめんなさい。
お互いに意見を交換し合って書いたので、これからが面白くなってはずですので、気を長くしてお待ちください。
ちなみに明日、コラボ小説第2話を投稿します。
いいね、フォロー、コメント等お待ちしています。
海美蒼衣先輩もコラボ小説を出しているので、そちらの方も見ていただくと幸いです。
「シルバーさん、少しいいですか」
初めて出会った頃は求婚を迫ってきたりとめんどくさい変態さんでしたが、最近のハルバルトさんは真面目になってきた気がします。
「どうしましたか? ハルバルトさん」
「それが、街にやって来た商人の話なんですがね、フリーユに来る途中に変なものを見たと言うのですよ」
「変なもの······ですか」
「はい。なんでも言葉にするのが難しいようで、あえていうのであれば『亀裂』のようなものだと」
「亀裂、ですか。街の壁にでもあったんですか?」
「それが、道の途中にあったらしいんです。私は念のために見てこようと思うのですが、もしよろしければシルバーさんもどうですか?」
「なんじゃ、面白そうな話をしておるな。わしも混ぜろ」
宿の一階でハルバルトさんと話をしていたら、上の階から魔王ちゃんが降りてきた。
その後ろからは続々と見知った顔が現れる。
「うん! 魔王ちゃん、一緒にお話しよ!」
ぎゅうっと、レーラさんが魔王ちゃんに抱きつく。
それをものすごく嫌そうな顔をして必死に逃れようと抵抗している。
「お主に話したわけじゃないのじゃ! 離せー」
いつもの二人であった。
「まぁ、たまには出かけるのもいいだろう。ハルバルト、俺たちもついていっていいよな?」
最後に姿を表したのは金色の髪と整った顔が目を引くシオンさんだ。
「いえ、私はシルバーさんと二人っきりが······」
「いいですね! みんなで行きましょう!」
ハルバルトさんの言葉を途中で遮る。
少し落ち着きはしたものの、やっぱりハルバルトさんはハルバルトさんなのだ。
「よし、なら早速出発しようぜ。ほらレーラ、いつまでも遊んでいるんじゃない」
「え~、まだ魔王ちゃん成分が補給できてないよ~」
「何が魔王ちゃん成分じゃ! ほれ、出かけるのだから離れるのだ!」
レーラさんはしぶしぶといった感じで離れる。
僕、シオンさん、レーラさん、ハルバルトさん、魔王ちゃんの計五人で問題の『亀裂』とやらに向かいます。
間違いなくこの世界で最強とも呼べる五人パーティーができてしまいました。
「もうそろそろで着くはずです」
ハルバルトさんの声に五人の間に少し緊張が走る。
そして、それが見えてきた。
何と言い表せばいいのだろうか。
確かにそれは『亀裂』と呼ぶのが正しい気がする。
人が一人なんとか入れそうな程の亀裂は奥がどうなっているのか暗くてよく見ることが出来ない。
「なんだあれは。見たことがないぞ」
シオンさんが戸惑った声で疑問を口にする。
かつて魔王を倒すために世界中を駆け回ったシオンさんですら見たことがないという。
他のメンツも同じ感想のようだ。
「これ、どうしましょうか?」
パッと見では害は無さそうだから、とりあえずは放置をしててもいいんじゃないのかなって思ってしまう。
他に対処のしようがない。
「何があるか分からないからな、とりあえずは放置していてもいいんじゃないか?」
どうやらシオンさんも僕と同じ考えのよう。
そこにハルバルトさんが言葉を繋げる。
「街ではちゃんと告知をしてここには近づかないように注意しておきますか。あとは、他の街にも連絡をして······」
「いや、それではダメじゃ」
ここまで黙っていた魔王ちゃんが口を開く。
「よく見てみるのだ。少しずつじゃが、亀裂が大きくなっておる」
言われて、改めて亀裂を注意深く観察する。
確かに少しずつだが亀裂が大きくなっている。
他のみんなもその現象を確認した。
「これはあくまでもわしの憶測じゃが······このまま放置していたらいずれ大きな問題になるのではないじゃろうか?」
問題はなさそうだと緩くなっていた空気が再び張り詰める。
「じゃあ、どうすればいいの?」
恐る恐るといった感じでレーラさんが尋ねる。
こういうときは魔王ちゃんに抱きついたりはしないらしい。
「インフェルノ!」
突然魔王ちゃんが魔法を放つ。
それは軽く人を丸焼きにできるような、かなりの威力のものだった。
その魔法が亀裂へと向かう。
「えっ?」
確かに魔法は命中したはずなのに、亀裂は何事もなかったかのようにそこに存在していた。
「魔法で壊すことも出来ない、ということかの」
呆れた表情の魔王ちゃん。
僕もいきなり魔法を放った魔王ちゃんと、かなりの威力だった魔法でも無傷であった亀裂に呆れる。
「ならば、直接乗り込むしかないかのぅ」
「「「「えっ(はっ)(なんですと)!?」」」」
突拍子もない魔王ちゃんの意見に四人が同時に驚きの声を出す。
「嫌ならばわしだけでも行くぞ。これは絶対面白いことが起きそうじゃからな」
「僕も行くよ」
さすがに魔王ちゃん一人に行かせる訳にはいかない。
「私も行くよ」
「じゃあ俺もついていってやる」
「ならば私も行きましょう」
僕の言葉に三人が続く。
なんだかんだ言ってみんな仲良しなのだ。
「ふふっ、気を付けるのじゃぞ。亀裂の向こうはどうなっているかは分からない。待っているのは天国か地獄か······こんな面白いことなど滅多にない。だからケガなく安全に、全力で楽しむのじゃ!」
魔王ちゃんの掛け声にみんなが、おー、と言い士気も高まる。
「よし、ならばハルバルト、お主が最初にあの中に入れ」
魔王ちゃん直々のご指名に自慢の筋肉を見せびらかしながら亀裂へと向かう。
てっきり自分が一番乗りだと言って入ると思ったけど意外です。
「シルバー、それは当たり前であろう」
唐突に魔王ちゃんが話しかけてくる。
多分、僕の心の中を覗いたのだろう。
心臓に悪いからあまり覗いてほしくない。これでも健全な元男子校生なのだ。
「あの亀裂が何か分からない以上。中に入ったら体がバラバラになってジ・エンド、なんてこともあるかもしれないだろう?」
恐ろしいことを言う魔王ちゃんに、僕は恐怖を覚え、レーラさんは心配そうな顔をし、シオンさんは表情が強ばり、ハルバルトさんはその歩みを止めた。
「何をぼさっとしておる。さっさと行くのじゃ。アクセル」
魔王ちゃんは自分に魔法をかけ、ハルバルトさんとの距離を縮めておもいっきりその巨体を押した。
魔王ちゃんのその小さな体に見合わない大きな衝撃で、踏ん張ろうとしたハルバルトさんの努力も虚しく、真っ直ぐに亀裂へと吹っ飛ばされる。
そして、綺麗にハルバルトさんの体は亀裂の中に消えていった。
「しまったの、これでは中がどうなっているか分からぬ」
ハルバルトさんを亀裂に押し込んだ張本人は、その事を後悔せずに別のことについて考え始める。
「安心するのじゃシルバー、あやつは死んでも死なないやつじゃ」
「ま、ハルバルトなら大丈夫だろ」
「えっと、さすがにかわいそうだから私たちも行こっか?」
その言葉で四人は歩き出し、レーラさん、シオンさん、ハルバルトさん、僕、の順番で次々と亀裂に入っていく。
三人はすでに亀裂に入り、最後となった僕は一度振り返る。
雲一つないまっさらな青空、ぽかぽかとした陽気は人を眠りに誘う。そんな情景だった。
今回は以前に告知していた、海美蒼衣先輩とのコラボ小説の第1話となっています。
まだ自分のキャラしか出せていません。ごめんなさい。
お互いに意見を交換し合って書いたので、これからが面白くなってはずですので、気を長くしてお待ちください。
ちなみに明日、コラボ小説第2話を投稿します。
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