転生銀髪美少女は勇者にすべてを任せて楽に生きたい
第15話 解明される『カップ』の謎
「誰もいないぞ」
「いや、確かに居たんですよ。その子に案内してもらってたらここにたどり着いたわけで······」
「あのなぁ······」
心底呆れたという感じで頭を押さえて、まるで子供に諭すような口調で話し始める。
「いいか? ここはな、人避けの魔法を何重にも重ねた場所なんだ。簡単に来れるような場所じゃないんだよ。まぁ······お前みたいな規格外の強さがあれば別かもしれないがな......」
最初は少し強めの口調だったけど、最後の方はだんだんと語尾が弱くなっていた。
もしかしたら気にしているのかもしれない。
僕の場合は何の努力もなしに手に入れた力なので、申し訳なくなる。
そこで、話題をそらすために、気になったことを聞くことにした。
「えっと、そういえばお二人はここで何をしていたんですか?」
僕は簡単に入ってきてしまったけど、何重にも人避けの魔法を重ねていたのならば、ここで何かしらのことをしていたに違いない。
「秘密のレッスンだよ」
えっ?
秘密のプライベートレッスン?(難聴)
まさか、二人はああいう関係なんですか?
大人の階段登っちゃった系ですか?
お二人が汗をかいてたのって運動をしていたからなんですか?
だからわざわざ人避けの結界を張っていて、慌てた様子でこっちに来たんですか?
「ほら、前に話した『カップ』もね、ここのおかげなんだよ」
そんなことを言われると自然と目線が動いてしまう。
なんですか、シオンさんってリア充だったんですか?
あー、リア充爆発しろ。
「おい、レーラ、何て言うか·····いや、レッスンっちゃレッスンだが、なんだろう、シルバーが変な勘違いをしている気がするんだよ。さっきから、シルバーの嫉妬の目線が痛い·····」
「嫉妬? あ、そっか、そう言えばカップが見たかったんだっけ? ここじゃ無理だから、宿に帰ったらね」
えっ? えっ? えっ?
本当に? いいの? 見ちゃっていいの?
神様ありがとう! 本当にありがとう!
転生して本当に良かった!!
「レーラ、カップって······なんのことだ?」
「シオンのやつだよ。あ、ごめんね。シオンの許可なしに話進めちゃって。でも、いいよね?」
「俺のやつ? おい、待て。なんか話が噛み合ってないぞ」
シオンさんの静止を無視して、くるりと向きを変えると、レーラさんは歩きだしてしまう。
僕もついていった。
シオンさんが何か言っていた気もするけど、今から貴重なものを拝みに行くのだから関係ない。
「シオン! 早くしないとおいていくよー」
振り返って、離れた距離にいるシオンさんに叫ぶ。
「何の話をしているんだよ!!」
シオンさんの嘆きを聞く者はいなかった。
僕の頭の中からは、謎のロリ美少女失踪事件のことはすっかり消去され、ルンルン気分で宿まで帰ってきた。
「ふっふふんふふーん♪」
「そんなにカップを見るのが楽しみなんだね」
「はい! 見るだけじゃなくて、揉みたいです!」
思わず本音が漏れてしまった。
さすがにストレート過ぎた発言だと後悔する。
ここで、やっぱりダメとか言われたら、一生悔やんでも悔やみきれない。
「揉む? えっと、カップはそんなに柔らかくないと思うよ。むしろ固いくらいだけど」
「謙遜しないでくださいよ」
「いや、うーん、別にしてないんだけどね。まぁ、実物を見ればわかるよね。ということで、中に入っちゃおう」
そう言って宿の扉を開け、階段を登る。
宿の部屋は4つあって、手前からシオンさん、レーラさん、僕、そして空き部屋の順番。
僕たちは2つ目の部屋の中に入ります。
ガチャッ
部屋の中は薄暗くて、人がいるかどうかを見極めるのがやっとな程です。
「明かり、つかないね」
どうやら明かりをつける装置が壊れてしまっているらしい。
下手に動けば物を踏んでしまいそうなので、立った状態で待機していると、カチッという音と共に部屋の奥から淡い光が漏れてきた。
ベッドの横にあるランプに灯をともしたレーラさんは、緊張した面持ちでカップを覆っている布に手をかける。
「なんだか緊張しちゃうね。やっぱり他人に見せるのは恥ずかしいな」
あはは、と笑いながら、僕に背中を向けて、ぎこちない動作でゆっくりとカップを覆っているベールを剥がしていく
衣擦れの音が聞こえてくる。
期待に胸を膨らませ、バクバクと激しく波打つ心臓を抑えて、その時を待つ。
剥がした布を丁寧にベッドの上に置き、くるっと振り返って例の物を見せてくれる。
「こんな感じなんだけど、触ってみる?」
頭の中がぐちゃぐちゃになって、目の前の光景に理解が追い付いていない。
レーラさんは確かに僕にカップを見せてくれている。
ただ、それを普通はカップって呼ばなくて······
「えっと······レーラさん、それは?」
思わず聞き返してしまう。
僕の戸惑いを知らないためか、少し興奮した様子で、待ってました、とばかりに説明してくれる。
「これはね、シオンと一緒に出場したペアのトーナメントの優勝カップでね。それでね············」
レーラさんが振り向くその瞬間までの僕のドキドキは何だったんだろう?
嬉しげに語っているものは確かにカップで、レーラさんが嘘をついていたわけではない。
僕が勝手に勘違いして思い上がっていただけだ。
それでもこれはひどくない?
男の純情を弄ぶなんて、レーラさんは小悪魔的な人なの?
しばらくレーラさんの話を聞き流していると、下の階から良い匂いが漂ってきた。
「あれ、もうこんな時間なんだね。そろそろご飯ができた頃かな?」
話を中断したレーラさんに少しほっとした自分がいた。
今日はとても疲れたし、すぐにベッドのお世話になりたい。
コンコンッ
ドアが叩かれた。
「はーい」
「宿のおじさんがご飯できたよって伝えてくれって言われたので来ました」
なぜか聞き覚えのある可愛らしい女の子の声な気がする。
早く部屋に戻りたい僕はレーラさんより先に扉を開けた。
「あれ? 君は······」
どうりで聞き覚えがあるわけだ。
ドアをノックしたのは、僕の記憶から完全に消去されていたあの、自称ロリ美少女だ。
しゃべり方が普通だったからわからなかった。
「あれ、シルバーさんもいたんですね。ご飯のお時間ですよ」
なんかめちゃくちゃかわいい。
人違いなのかな?
中二病的な発言はないし、ただの似ている赤の他人なのかもしれない。
「ごめんね。僕はちょっと体調が良くないから、ご飯はいらないって伝えてくれるかな?」
体調は平気だけど、精神的にはボロボロだから今日は部屋に引きこもりたい。
「なっ? お主はわしのご飯が食べられないと言うのか!?」
「えっ?」
「昼からわざわざ頼んで料理とやらを作ってやったというのにそれはないのではないか? わしは泣いてしまうぞ?」
かわいい女の子を見つけて、モフりにいこうとしていたレーラさんはその動きを止める。
そして一つわかったことがある。
この子、あの自称ロリ美少女ですね。
「いや、確かに居たんですよ。その子に案内してもらってたらここにたどり着いたわけで······」
「あのなぁ······」
心底呆れたという感じで頭を押さえて、まるで子供に諭すような口調で話し始める。
「いいか? ここはな、人避けの魔法を何重にも重ねた場所なんだ。簡単に来れるような場所じゃないんだよ。まぁ······お前みたいな規格外の強さがあれば別かもしれないがな......」
最初は少し強めの口調だったけど、最後の方はだんだんと語尾が弱くなっていた。
もしかしたら気にしているのかもしれない。
僕の場合は何の努力もなしに手に入れた力なので、申し訳なくなる。
そこで、話題をそらすために、気になったことを聞くことにした。
「えっと、そういえばお二人はここで何をしていたんですか?」
僕は簡単に入ってきてしまったけど、何重にも人避けの魔法を重ねていたのならば、ここで何かしらのことをしていたに違いない。
「秘密のレッスンだよ」
えっ?
秘密のプライベートレッスン?(難聴)
まさか、二人はああいう関係なんですか?
大人の階段登っちゃった系ですか?
お二人が汗をかいてたのって運動をしていたからなんですか?
だからわざわざ人避けの結界を張っていて、慌てた様子でこっちに来たんですか?
「ほら、前に話した『カップ』もね、ここのおかげなんだよ」
そんなことを言われると自然と目線が動いてしまう。
なんですか、シオンさんってリア充だったんですか?
あー、リア充爆発しろ。
「おい、レーラ、何て言うか·····いや、レッスンっちゃレッスンだが、なんだろう、シルバーが変な勘違いをしている気がするんだよ。さっきから、シルバーの嫉妬の目線が痛い·····」
「嫉妬? あ、そっか、そう言えばカップが見たかったんだっけ? ここじゃ無理だから、宿に帰ったらね」
えっ? えっ? えっ?
本当に? いいの? 見ちゃっていいの?
神様ありがとう! 本当にありがとう!
転生して本当に良かった!!
「レーラ、カップって······なんのことだ?」
「シオンのやつだよ。あ、ごめんね。シオンの許可なしに話進めちゃって。でも、いいよね?」
「俺のやつ? おい、待て。なんか話が噛み合ってないぞ」
シオンさんの静止を無視して、くるりと向きを変えると、レーラさんは歩きだしてしまう。
僕もついていった。
シオンさんが何か言っていた気もするけど、今から貴重なものを拝みに行くのだから関係ない。
「シオン! 早くしないとおいていくよー」
振り返って、離れた距離にいるシオンさんに叫ぶ。
「何の話をしているんだよ!!」
シオンさんの嘆きを聞く者はいなかった。
僕の頭の中からは、謎のロリ美少女失踪事件のことはすっかり消去され、ルンルン気分で宿まで帰ってきた。
「ふっふふんふふーん♪」
「そんなにカップを見るのが楽しみなんだね」
「はい! 見るだけじゃなくて、揉みたいです!」
思わず本音が漏れてしまった。
さすがにストレート過ぎた発言だと後悔する。
ここで、やっぱりダメとか言われたら、一生悔やんでも悔やみきれない。
「揉む? えっと、カップはそんなに柔らかくないと思うよ。むしろ固いくらいだけど」
「謙遜しないでくださいよ」
「いや、うーん、別にしてないんだけどね。まぁ、実物を見ればわかるよね。ということで、中に入っちゃおう」
そう言って宿の扉を開け、階段を登る。
宿の部屋は4つあって、手前からシオンさん、レーラさん、僕、そして空き部屋の順番。
僕たちは2つ目の部屋の中に入ります。
ガチャッ
部屋の中は薄暗くて、人がいるかどうかを見極めるのがやっとな程です。
「明かり、つかないね」
どうやら明かりをつける装置が壊れてしまっているらしい。
下手に動けば物を踏んでしまいそうなので、立った状態で待機していると、カチッという音と共に部屋の奥から淡い光が漏れてきた。
ベッドの横にあるランプに灯をともしたレーラさんは、緊張した面持ちでカップを覆っている布に手をかける。
「なんだか緊張しちゃうね。やっぱり他人に見せるのは恥ずかしいな」
あはは、と笑いながら、僕に背中を向けて、ぎこちない動作でゆっくりとカップを覆っているベールを剥がしていく
衣擦れの音が聞こえてくる。
期待に胸を膨らませ、バクバクと激しく波打つ心臓を抑えて、その時を待つ。
剥がした布を丁寧にベッドの上に置き、くるっと振り返って例の物を見せてくれる。
「こんな感じなんだけど、触ってみる?」
頭の中がぐちゃぐちゃになって、目の前の光景に理解が追い付いていない。
レーラさんは確かに僕にカップを見せてくれている。
ただ、それを普通はカップって呼ばなくて······
「えっと······レーラさん、それは?」
思わず聞き返してしまう。
僕の戸惑いを知らないためか、少し興奮した様子で、待ってました、とばかりに説明してくれる。
「これはね、シオンと一緒に出場したペアのトーナメントの優勝カップでね。それでね············」
レーラさんが振り向くその瞬間までの僕のドキドキは何だったんだろう?
嬉しげに語っているものは確かにカップで、レーラさんが嘘をついていたわけではない。
僕が勝手に勘違いして思い上がっていただけだ。
それでもこれはひどくない?
男の純情を弄ぶなんて、レーラさんは小悪魔的な人なの?
しばらくレーラさんの話を聞き流していると、下の階から良い匂いが漂ってきた。
「あれ、もうこんな時間なんだね。そろそろご飯ができた頃かな?」
話を中断したレーラさんに少しほっとした自分がいた。
今日はとても疲れたし、すぐにベッドのお世話になりたい。
コンコンッ
ドアが叩かれた。
「はーい」
「宿のおじさんがご飯できたよって伝えてくれって言われたので来ました」
なぜか聞き覚えのある可愛らしい女の子の声な気がする。
早く部屋に戻りたい僕はレーラさんより先に扉を開けた。
「あれ? 君は······」
どうりで聞き覚えがあるわけだ。
ドアをノックしたのは、僕の記憶から完全に消去されていたあの、自称ロリ美少女だ。
しゃべり方が普通だったからわからなかった。
「あれ、シルバーさんもいたんですね。ご飯のお時間ですよ」
なんかめちゃくちゃかわいい。
人違いなのかな?
中二病的な発言はないし、ただの似ている赤の他人なのかもしれない。
「ごめんね。僕はちょっと体調が良くないから、ご飯はいらないって伝えてくれるかな?」
体調は平気だけど、精神的にはボロボロだから今日は部屋に引きこもりたい。
「なっ? お主はわしのご飯が食べられないと言うのか!?」
「えっ?」
「昼からわざわざ頼んで料理とやらを作ってやったというのにそれはないのではないか? わしは泣いてしまうぞ?」
かわいい女の子を見つけて、モフりにいこうとしていたレーラさんはその動きを止める。
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