村人が世界最強だと嫌われるらしい
二難去ると、次は災難が起こります 2
サーベス国は、この世界の中でもかなりの軍事国家であり、成人すると、皆冒険者にならなければならないという法律がある。それは、男女関係なく、皆がだ。
そのため、サーベス国は武器や防具の生産量がとてつもなく多い。さらに、良質なものが多く、そして何より物価が安い。ほとんどの冒険者は、皆不自由なく過ごせるのだ。
そんな強国が、ベルム国とメルクリア国と協定を結び、三国同盟が制定された。その協定の内容は至ってシンプル。
『人村烈毅及びその仲間達を殺せ』だ。
今、烈毅のことを知るものを除いて、すべての者が烈毅を魔王の子供や魔王の生まれ変わりだのと、国中に言い回っているのだ。そのおかげで、烈毅は世界を敵にしたといっても過言ではない。
烈毅は、行動を取ろうにも、今は一歩歩けば襲われるかもしれない、といった状況にあり、それに皆を巻き込むわけにもいかないし、それ以前に接触は避けたい。が、それは叶わない。
「三国がくっついて、世界が敵になっちゃった今、どうやって俺が魔王とかその他諸々じゃないかを、分からせるための手段なんだが……」
「はっきり言うけど、多分それは難しいわ。聞く耳なんて持たないでしょ」
「そうなんだよな〜。ナーシェが言ったら聞いてくれるかね?」
「無理よ。だって、こっち側に付いたってもうバレてるからね」
「そりゃそうか。う〜ん……打つ手はあるにはあるが……それも無理に近い。というか現段階では無理だ」
「その方法って……?」
「前に言っただろ? 覚えてない?」
「なんだっけ?」
「覚えてないならいいよ。そんな大したことじゃないし」
「あらそう?」
「あのさ……どこかほかの場所に隠れてるじゃダメなの? 私はまだ戦えないから迷惑かけちゃうし……」
「それが出来ればいいんだけどな。やっぱり脅威が潜んでるってなると、みんな怖いだろうし、たとえ隠れ家を見つけたとしても、いつか必ず見つかる。そんな生活するよりは、誤解を解いてコソコソせず過ごしたいよな」
「……それもそうね。私だけの意見では決められないよね」
そうルノが言うと、やはり昨日の事が怖かったのか、少し手が震えている。多分、このまま恐怖で押しつぶされたとしたら、ルノは永遠に戦えなくなる。ここは踏ん張ってもらいたい。だが―
「そう怖がらないでルノ。正直な話し、私もどっかに隠れて戦わないでいたい。だって、私弱いから。でも、私達には烈毅がいる。ファイアさんがいる。ナーシェさんがいる。ミーシュさんがいる。みんないる。だから、今は怖いかもしれないけど、もう少し踏ん張ろ!」
そういって不器用な笑みを浮かべるのはレーナだった。ルノだけではなかった。ナーシェだって怖いと思ったのだ。
死ぬかもしれない、という恐怖を目の前にして、怖くないやつなんて多分一人もいないのだから。
「レーナ……お前って奴は……俺は嬉しいぞ! こんなしっかりした奴が仲間で本当に良かった!」
「ちょっ、べ、別にアンタのために言ったんじゃないし! ルノが怖がってたから言ったんだし! ばーかばーか!」
顔を真っ赤にしながら言うレーナを見て、ルノとナーシェは、自然と肩の力がスっと抜け、心の底からの笑みを見せた。
「大丈夫だ。弱いのなら強くなればいい。俺がいるし、ファイアもいる。みんなの為なら俺は何でもする。だから、今はもう少しだけ頑張ってくれるか?」
「「「「うん!」」」」
『烈毅、丁度よさそうだから尋ねるが、我も此奴らと共に鍛錬をしてもいいか?』
予想だにもしてなかった者からの発言に、烈毅は思わず笑い転げる。
「ぶははははは! お前が鍛錬!? ぶははははは! 似合わねぇ!」
『き、貴様! 我は今回の事で力不足を痛感したのだ! 別に構わないだろ!?』
「ああ、良いよ。そういうことなら俺が強くしてやるよ!」
『ふん。……頼んだ』
「頼まれた。良し、じゃあ取り敢えずは今から強くなるって事でいいな!」
「それはいいけど、場所はどうするの?」
「無いなら作ればいい!」
「と言うと?」
「こうする」
烈毅は右手に闘気を纏わせると、地面を叩きつけた。その衝撃で地響きが起き、地面が数キロ先まで断裂をする。ルノ達は、突然の突風に晒され、髪の毛がボサボサになる。
「あ、悪い。加減ミスった」
「寝てる時殺してやる」
「ナーシェちゃん。そんな言葉は汚いわよ。僕は師匠になるんだよ? もっと丁寧な言葉を使ってね」
「「烈毅死ね」」
「レーナたん、ルノたんあなた達もよ」
「私は別に烈毅の事悪く思わないし? そんなみんな嫌うなら私が烈毅を貰うわね!」
「ミーシュ。それはそれで問題発言じゃね?」
そのミーシュの突然の発言に、辺りは騒然とする。ルノは「それはいや!」といい烈毅に飛びつき、レーナは行動には出さないものの、顔は引きつった笑みをしている。ナーシェは剣を構えて烈毅ではなく、ミーシュを斬ろうとしている。
『はぁ。この先が想像できるな』
「ファイア。それは言わないで欲しかった。現実から離れたかったのに」
『ガンバレ』
「はぁ……問題ばかりだな……神様に会うのは当分後だな……」
そして、烈毅は先に断裂した地面の中へ飛び込み、地下施設をちゃっちゃと完成させた。それから残りのメンバーも地下施設へと向かい、暫くの間、隠れながら鍛えることとなった。
烈毅達が地下へ潜る少し前――
『見つけた……彼が人村烈毅だね?』
『ああそうだよ。…………ねぇ、ワル。本当に行くの?』
『ああ、行くよ! もう気になって仕方が無いんだ!』
『はぁ……彼、困るだろうなぁ……』
そのため、サーベス国は武器や防具の生産量がとてつもなく多い。さらに、良質なものが多く、そして何より物価が安い。ほとんどの冒険者は、皆不自由なく過ごせるのだ。
そんな強国が、ベルム国とメルクリア国と協定を結び、三国同盟が制定された。その協定の内容は至ってシンプル。
『人村烈毅及びその仲間達を殺せ』だ。
今、烈毅のことを知るものを除いて、すべての者が烈毅を魔王の子供や魔王の生まれ変わりだのと、国中に言い回っているのだ。そのおかげで、烈毅は世界を敵にしたといっても過言ではない。
烈毅は、行動を取ろうにも、今は一歩歩けば襲われるかもしれない、といった状況にあり、それに皆を巻き込むわけにもいかないし、それ以前に接触は避けたい。が、それは叶わない。
「三国がくっついて、世界が敵になっちゃった今、どうやって俺が魔王とかその他諸々じゃないかを、分からせるための手段なんだが……」
「はっきり言うけど、多分それは難しいわ。聞く耳なんて持たないでしょ」
「そうなんだよな〜。ナーシェが言ったら聞いてくれるかね?」
「無理よ。だって、こっち側に付いたってもうバレてるからね」
「そりゃそうか。う〜ん……打つ手はあるにはあるが……それも無理に近い。というか現段階では無理だ」
「その方法って……?」
「前に言っただろ? 覚えてない?」
「なんだっけ?」
「覚えてないならいいよ。そんな大したことじゃないし」
「あらそう?」
「あのさ……どこかほかの場所に隠れてるじゃダメなの? 私はまだ戦えないから迷惑かけちゃうし……」
「それが出来ればいいんだけどな。やっぱり脅威が潜んでるってなると、みんな怖いだろうし、たとえ隠れ家を見つけたとしても、いつか必ず見つかる。そんな生活するよりは、誤解を解いてコソコソせず過ごしたいよな」
「……それもそうね。私だけの意見では決められないよね」
そうルノが言うと、やはり昨日の事が怖かったのか、少し手が震えている。多分、このまま恐怖で押しつぶされたとしたら、ルノは永遠に戦えなくなる。ここは踏ん張ってもらいたい。だが―
「そう怖がらないでルノ。正直な話し、私もどっかに隠れて戦わないでいたい。だって、私弱いから。でも、私達には烈毅がいる。ファイアさんがいる。ナーシェさんがいる。ミーシュさんがいる。みんないる。だから、今は怖いかもしれないけど、もう少し踏ん張ろ!」
そういって不器用な笑みを浮かべるのはレーナだった。ルノだけではなかった。ナーシェだって怖いと思ったのだ。
死ぬかもしれない、という恐怖を目の前にして、怖くないやつなんて多分一人もいないのだから。
「レーナ……お前って奴は……俺は嬉しいぞ! こんなしっかりした奴が仲間で本当に良かった!」
「ちょっ、べ、別にアンタのために言ったんじゃないし! ルノが怖がってたから言ったんだし! ばーかばーか!」
顔を真っ赤にしながら言うレーナを見て、ルノとナーシェは、自然と肩の力がスっと抜け、心の底からの笑みを見せた。
「大丈夫だ。弱いのなら強くなればいい。俺がいるし、ファイアもいる。みんなの為なら俺は何でもする。だから、今はもう少しだけ頑張ってくれるか?」
「「「「うん!」」」」
『烈毅、丁度よさそうだから尋ねるが、我も此奴らと共に鍛錬をしてもいいか?』
予想だにもしてなかった者からの発言に、烈毅は思わず笑い転げる。
「ぶははははは! お前が鍛錬!? ぶははははは! 似合わねぇ!」
『き、貴様! 我は今回の事で力不足を痛感したのだ! 別に構わないだろ!?』
「ああ、良いよ。そういうことなら俺が強くしてやるよ!」
『ふん。……頼んだ』
「頼まれた。良し、じゃあ取り敢えずは今から強くなるって事でいいな!」
「それはいいけど、場所はどうするの?」
「無いなら作ればいい!」
「と言うと?」
「こうする」
烈毅は右手に闘気を纏わせると、地面を叩きつけた。その衝撃で地響きが起き、地面が数キロ先まで断裂をする。ルノ達は、突然の突風に晒され、髪の毛がボサボサになる。
「あ、悪い。加減ミスった」
「寝てる時殺してやる」
「ナーシェちゃん。そんな言葉は汚いわよ。僕は師匠になるんだよ? もっと丁寧な言葉を使ってね」
「「烈毅死ね」」
「レーナたん、ルノたんあなた達もよ」
「私は別に烈毅の事悪く思わないし? そんなみんな嫌うなら私が烈毅を貰うわね!」
「ミーシュ。それはそれで問題発言じゃね?」
そのミーシュの突然の発言に、辺りは騒然とする。ルノは「それはいや!」といい烈毅に飛びつき、レーナは行動には出さないものの、顔は引きつった笑みをしている。ナーシェは剣を構えて烈毅ではなく、ミーシュを斬ろうとしている。
『はぁ。この先が想像できるな』
「ファイア。それは言わないで欲しかった。現実から離れたかったのに」
『ガンバレ』
「はぁ……問題ばかりだな……神様に会うのは当分後だな……」
そして、烈毅は先に断裂した地面の中へ飛び込み、地下施設をちゃっちゃと完成させた。それから残りのメンバーも地下施設へと向かい、暫くの間、隠れながら鍛えることとなった。
烈毅達が地下へ潜る少し前――
『見つけた……彼が人村烈毅だね?』
『ああそうだよ。…………ねぇ、ワル。本当に行くの?』
『ああ、行くよ! もう気になって仕方が無いんだ!』
『はぁ……彼、困るだろうなぁ……』
コメント
勝長
お?何が出てくるんだ?気になるな