村人が世界最強だと嫌われるらしい
妖狐の国に来ちゃいました 2
一旦休憩をしていた特訓組は、今はバラバラになってそれぞれがしたい事をしていた。
ルノはお茶を飲み、レーナはファイアとの意見交換、ナーシェは昼寝をして、ミーシュは一人座ってぼーっと考え事をしていた。
それは、烈毅の事だ。すぐに戻って来るとは思ったが、二時間経っても帰っては来ない。そう遠くにも行けないこの状況で、二時間も帰ってこないとなると心配になる。
「烈毅、ちゃんと戻ってくるよね……」
ぼそっと呟いた言葉は、誰の耳にも届かない。早く戻ってきてくれと願うばかり。ミーシュは、再び同じ事を考えるのであった。
一方烈毅は――
「なぁ、本当にこっちであってるの?」
「合っていると言っておるのじゃ! 童女を信用出来んのか!?」
「いやいや、信用するもなにも、まだ出会って1時間ですよ? 邪魔だから降りてくれませんかね?」
「嫌じゃ。お主様の肩は童女の特等席じゃ。絶対にどかんぞ!」
「はぁ……面倒な奴を拾っちまった」
少し時間は遡る――
「お~い、大丈夫か?」
倒れていた九尾を見つけた烈毅は、傍によって意識があるのかどうかを確かめるべく、頬をつんつんと突っつきながら言う。
「うぅ……」
何だか苦しそうな喋り方をしていて、それを聞いた烈毅は目付きを変え、もしかしたら何者かにやられたのかと思い込み、直ぐにポーションを取り出した。
「おい、大丈夫か!? これ飲め!」
と言って俯いていた体を仰向けにして起こすと、その焦りは次に聞こえてきた言葉で一瞬にして消え去った。
「おなかいっぱいじゃ~…………ぐがぁ~」
「こいつ……」
ただ寝ているだけだった。大口を開け、鼾をかき、口端から涎をだらしなく垂らしている姿は、子供というよりは赤ちゃんの様だった。
「なんか殴りたくなってきた……」
怒りを抑え、烈毅は考えを改める。
こんな所で寝ていたのは何故かと考えるが、そんなものは分かるはずがない。何者かに襲われたという感じもなければ、捨てられたという感じもない。なら、一体なぜこんな辺鄙な所で寝ていたのかわからない。
それにもう一つ不思議なことがある。
この世界では、裏の世界と呼ばれる場所があるという噂を前に聞いた事がある。烈毅は詳しくは分からないし、確かな情報筋からの言葉だが、どうにも怪しい。どうやって手に入れたのか教えて欲しいものだ。
今烈毅達がいる、人間と魔族とモンスターしかいない世界が表側だとしたら、裏側というのは、今いる妖狐やその他妖怪、エルフ、ドワーフに獣人といった亜人種、様々な生き物達が住んでいる世界の事なのだ。
亜人や妖怪、もっと言えば神に近い存在さえいると言われるその世界は、誰も行き来することは不可能と言われていた。そのため、その裏側の存在の者が、今ここにいることが不思議でならない。
「おい起きてくれ~、飯食わしてやるから~」
絶対に起きはしないだろうと思いながらそう呟くと、目を急にガン開きして「それは本当じゃろうな!?」と、舌を出しながら、まるで犬のような目で烈毅を見つめている。
「タヌキ寝入りこいてたのかこいつ……」
「タヌキじゃない、狐じゃ! あんなだらしないのと一緒にせんでもらいたいのぉ?」
「ああ、それはすまん……なんで謝ってるの俺?」
「それでお主、本当に飯を食わしてくれるのか!?」
「食わしてやるけど、いくつかの質問に答えて貰うぞ? それが条件」
「わかった! スリーサイズから素朴な質問まで何でも答えるぞ!」
「お前は裏側の存在だろ? どうして表側にいる?」
「おい、今のは突っ込むところじゃろ!?」
烈毅は、裏側という存在にまだ確証を持てていないため、そこもはっきりさせられるような質問のしかたをする。
「まったく無視しおって……簡単じゃ。門を通ってきたのじゃ」
「門?」
「ああそうじゃ。知らぬのか? 海の奥底にある門の事を?」
一瞬、抜けられずの島で見た、海の底で光る物を想像したが、それは無いなとすぐに考えを捨てる。それと、裏側が本当にあるという事を、この答えで確証する。
「知らないな~。つか、どうやって海の奥底から来たの? 狐って泳げるの?」
「馬鹿かお主は!? 泳げるに決まってるじゃろ!? なんなら百メートル二秒で泳げるわ!」
「オリンピックブッチギリで優勝じゃねぇか!!」
「嘘じゃ。魔法を使って空間を作り、それで歩いてきた」
「狐鍋にしてやる」
「すまんかった! ちょっとした冗談じゃ! いでででっ、離してくれご主人!」
「誰が誰のご主人だ! ……まぁいいや。話戻すぞ?」
頭を鷲掴みにした妖狐を離し、地面に座らせる。
「良いぞ。何でも聞くが良い!」
「名前は?」
「キュウじゃ。覚えやすいじゃろ?」
「キュウか……俺も一応自己紹介しとくけど、俺の名前は人村烈毅だ。よろしくなおチビ」
「誰がおチビじゃ! キュウと呼ばんか!」
プンスカとか怒鳴り散らしているのだが、なぜだかそれが可愛く見えてしまう。赤くなっている顔が、これまた子供見たいで撫でたくなる。
「次な。どうしてここに寝てた?」
「それはじゃな、家出してこの世界に来たのじゃが、森で迷ってたらいつの間にか寝てしまっていたのじゃ!」
「うん。全く意味がわからない」
ルノはお茶を飲み、レーナはファイアとの意見交換、ナーシェは昼寝をして、ミーシュは一人座ってぼーっと考え事をしていた。
それは、烈毅の事だ。すぐに戻って来るとは思ったが、二時間経っても帰っては来ない。そう遠くにも行けないこの状況で、二時間も帰ってこないとなると心配になる。
「烈毅、ちゃんと戻ってくるよね……」
ぼそっと呟いた言葉は、誰の耳にも届かない。早く戻ってきてくれと願うばかり。ミーシュは、再び同じ事を考えるのであった。
一方烈毅は――
「なぁ、本当にこっちであってるの?」
「合っていると言っておるのじゃ! 童女を信用出来んのか!?」
「いやいや、信用するもなにも、まだ出会って1時間ですよ? 邪魔だから降りてくれませんかね?」
「嫌じゃ。お主様の肩は童女の特等席じゃ。絶対にどかんぞ!」
「はぁ……面倒な奴を拾っちまった」
少し時間は遡る――
「お~い、大丈夫か?」
倒れていた九尾を見つけた烈毅は、傍によって意識があるのかどうかを確かめるべく、頬をつんつんと突っつきながら言う。
「うぅ……」
何だか苦しそうな喋り方をしていて、それを聞いた烈毅は目付きを変え、もしかしたら何者かにやられたのかと思い込み、直ぐにポーションを取り出した。
「おい、大丈夫か!? これ飲め!」
と言って俯いていた体を仰向けにして起こすと、その焦りは次に聞こえてきた言葉で一瞬にして消え去った。
「おなかいっぱいじゃ~…………ぐがぁ~」
「こいつ……」
ただ寝ているだけだった。大口を開け、鼾をかき、口端から涎をだらしなく垂らしている姿は、子供というよりは赤ちゃんの様だった。
「なんか殴りたくなってきた……」
怒りを抑え、烈毅は考えを改める。
こんな所で寝ていたのは何故かと考えるが、そんなものは分かるはずがない。何者かに襲われたという感じもなければ、捨てられたという感じもない。なら、一体なぜこんな辺鄙な所で寝ていたのかわからない。
それにもう一つ不思議なことがある。
この世界では、裏の世界と呼ばれる場所があるという噂を前に聞いた事がある。烈毅は詳しくは分からないし、確かな情報筋からの言葉だが、どうにも怪しい。どうやって手に入れたのか教えて欲しいものだ。
今烈毅達がいる、人間と魔族とモンスターしかいない世界が表側だとしたら、裏側というのは、今いる妖狐やその他妖怪、エルフ、ドワーフに獣人といった亜人種、様々な生き物達が住んでいる世界の事なのだ。
亜人や妖怪、もっと言えば神に近い存在さえいると言われるその世界は、誰も行き来することは不可能と言われていた。そのため、その裏側の存在の者が、今ここにいることが不思議でならない。
「おい起きてくれ~、飯食わしてやるから~」
絶対に起きはしないだろうと思いながらそう呟くと、目を急にガン開きして「それは本当じゃろうな!?」と、舌を出しながら、まるで犬のような目で烈毅を見つめている。
「タヌキ寝入りこいてたのかこいつ……」
「タヌキじゃない、狐じゃ! あんなだらしないのと一緒にせんでもらいたいのぉ?」
「ああ、それはすまん……なんで謝ってるの俺?」
「それでお主、本当に飯を食わしてくれるのか!?」
「食わしてやるけど、いくつかの質問に答えて貰うぞ? それが条件」
「わかった! スリーサイズから素朴な質問まで何でも答えるぞ!」
「お前は裏側の存在だろ? どうして表側にいる?」
「おい、今のは突っ込むところじゃろ!?」
烈毅は、裏側という存在にまだ確証を持てていないため、そこもはっきりさせられるような質問のしかたをする。
「まったく無視しおって……簡単じゃ。門を通ってきたのじゃ」
「門?」
「ああそうじゃ。知らぬのか? 海の奥底にある門の事を?」
一瞬、抜けられずの島で見た、海の底で光る物を想像したが、それは無いなとすぐに考えを捨てる。それと、裏側が本当にあるという事を、この答えで確証する。
「知らないな~。つか、どうやって海の奥底から来たの? 狐って泳げるの?」
「馬鹿かお主は!? 泳げるに決まってるじゃろ!? なんなら百メートル二秒で泳げるわ!」
「オリンピックブッチギリで優勝じゃねぇか!!」
「嘘じゃ。魔法を使って空間を作り、それで歩いてきた」
「狐鍋にしてやる」
「すまんかった! ちょっとした冗談じゃ! いでででっ、離してくれご主人!」
「誰が誰のご主人だ! ……まぁいいや。話戻すぞ?」
頭を鷲掴みにした妖狐を離し、地面に座らせる。
「良いぞ。何でも聞くが良い!」
「名前は?」
「キュウじゃ。覚えやすいじゃろ?」
「キュウか……俺も一応自己紹介しとくけど、俺の名前は人村烈毅だ。よろしくなおチビ」
「誰がおチビじゃ! キュウと呼ばんか!」
プンスカとか怒鳴り散らしているのだが、なぜだかそれが可愛く見えてしまう。赤くなっている顔が、これまた子供見たいで撫でたくなる。
「次な。どうしてここに寝てた?」
「それはじゃな、家出してこの世界に来たのじゃが、森で迷ってたらいつの間にか寝てしまっていたのじゃ!」
「うん。全く意味がわからない」
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