村人が世界最強だと嫌われるらしい
理不尽な戦争 1
フィルレを天国に送ってから一週間、今はリリベル(日本で言うところの埼玉)の中心にある町、リリベルへと来ていた。
理由としては特になく、ただ歩いていたら目の前に町があったからという軽い気持ちだった。
もちろん、姿は隠しているし、目立った動きは極力避けるため、ルノとレーナに外出しなければ得られないものは、全て任している。ここまでくると、流石に申し訳ないと言いたくなる。
今は、小さな宿に身を潜めている。二つの部屋に分かれ、一つは烈毅とルノ。もう一つは残りのメンバー。このメンバー決めはジャンケンで決めたものだ。
烈毅はベッドに寝っ転がり、何も出来ないと駄々をこねながら天井を見上げていた。
「何も出来ない。暇だ。外に出たい」
ルノは今レーナと買い物中で、話し相手もいない。かと言って、隣の部屋に男が飛び込むのもまずいと思い、ただ寝腐っていた。
「はぁ……あの事件からどれくらいたったか忘れたけど、その話題は未だに来えないよなぁ〜」
一ヶ月以上たった今でも、人村烈毅の名前と手配書は消えず、今もどの町でも烈毅の話題で持ち切りだ。
人村烈毅は怪物、魔王の使いという説も。や、人村烈毅は次期魔王!? など、根も葉もない噂が右往左往し、正直気が滅入っていた。
「いつ国が俺を狙って来ても可笑しくないんだけど……」
だが、国がそうしないのは問題があるからだ。
それは、明らかな実力不足。
確かに、烈毅が村人というジョブで、何の力も無かったら、多数の冒険者をそこらへんからかき集めて倒しに行けばいい。
だが、先程も言ったが、魔王の使いやら、次期魔王やらという言葉がそうはさせてなかったのだ。
「何が魔王の使いだよ。俺は悪魔の血なんて引いてねぇっつの」
こんな事を言ってはいるが、やはり心のどこかで自分は化け物という確信を持ってしまっているため、こちらからもそう否定など出来ない。
考えてみてほしい。
もし目の前に圧倒的な力を持った冒険者が現れて、それが村人で更に世界中を脅かすような殺気を放つとする。それを周りはどう見る?
そりゃあ、知り合いや事情を知ってる者がそれを見ても、『ああ、烈毅は強すぎる』とくらいにしか思わない。でも彼らは烈毅の事を何も知らない。だから恐れるのだ。
だから、魔王だのなんだのと言うのも仕方は無いと腹を括っている。
「早くルノ帰ってこないかなー」
烈毅は足をバタバタさせながら、寝返りをうつ。
すると、隣からガシャガシャと騒がしい音がなり、扉を強く開ける音が聞こえてくる。
「あいつら、暴れすぎじゃね? まだ昼だよ?」
そう思っていた矢先、烈毅の部屋の扉がゆっくりと開かれる。烈毅はそれに気づいてはいない。
「行くわよ」
「ガッテンだぜ姉貴」
枕に顔を埋めている烈毅に、音も気配もなく忍び寄る。そして、その二人は烈毅に飛び乗る。
「うぎゃあ!?」
「おい烈毅ぃ! ちっとつらかしなぁ?」
「おうおうおう! てめぇ姉貴の言葉が聞けねぇのかぁ!?」
「ちょっとナーシェさん、ミーシュさん? どうして右手に一一升瓶を持ってるんですか? まだ昼間ですよ? 少しお酒くさいですよ?」
「あぁぁあ!? いいからとっとと付いてこい! 一升瓶ケツにぶっ刺すぞ!?」
「わかりました。付いてきますからそれだけはやめてください」
烈毅は酔った二人に腕をタオルで縛られる。
「ちょっとお姉さん方? 縛る必要は無くないですか?」
「あぁん? 抵抗されたらこっちが勝てねぇだろ!? それくらいわかれよ泣き虫ぃ!」
「そうだそうだ!」
「わかった。わかったんだけど、一つ聞きたい。どうしてミーシュの方が姉貴って呼ばれてるの? 絶対ナーシェの方が強いでしょ?」
「歳は私の方がうえなんだよぉぉ!」
「そうだぞ馬鹿野郎ぉぉ!! それぐらい察しろ泣き虫ぃ!」
「お前ら今後一切酒飲ませないからな」
されるがままに烈毅は連行され、隣の部屋へと連れてこられる。ナーシェ達の部屋の中は、酒の匂いで充満していた。
「お前ら、まさか昨日から飲み続けてるんじゃないだろうな?」
「馬鹿野郎! 一昨日からだ馬鹿野郎!」
「はぁ!?」
「そうだぞ馬鹿野郎! レーナだってルノだってもう飲み続けてんだぞぉ!?」
「はぁぁ!?」
すると、タイミングバッチシにルノとレーナが「「うぃ〜〜い!」」と肩を組んで入ってくる。
烈毅の危険察知センサーがオンになり、すぐさまその拘束を解き、一瞬でその場の四人を気絶させる。
「危ねぇ……あとちょっとで食われるところだった」
これは当分の間起きないだろうと思い、ベッドに寝かせてやり、烈毅は一人、町を楽しむためにフードを深くかぶって外へ出かける。
理由としては特になく、ただ歩いていたら目の前に町があったからという軽い気持ちだった。
もちろん、姿は隠しているし、目立った動きは極力避けるため、ルノとレーナに外出しなければ得られないものは、全て任している。ここまでくると、流石に申し訳ないと言いたくなる。
今は、小さな宿に身を潜めている。二つの部屋に分かれ、一つは烈毅とルノ。もう一つは残りのメンバー。このメンバー決めはジャンケンで決めたものだ。
烈毅はベッドに寝っ転がり、何も出来ないと駄々をこねながら天井を見上げていた。
「何も出来ない。暇だ。外に出たい」
ルノは今レーナと買い物中で、話し相手もいない。かと言って、隣の部屋に男が飛び込むのもまずいと思い、ただ寝腐っていた。
「はぁ……あの事件からどれくらいたったか忘れたけど、その話題は未だに来えないよなぁ〜」
一ヶ月以上たった今でも、人村烈毅の名前と手配書は消えず、今もどの町でも烈毅の話題で持ち切りだ。
人村烈毅は怪物、魔王の使いという説も。や、人村烈毅は次期魔王!? など、根も葉もない噂が右往左往し、正直気が滅入っていた。
「いつ国が俺を狙って来ても可笑しくないんだけど……」
だが、国がそうしないのは問題があるからだ。
それは、明らかな実力不足。
確かに、烈毅が村人というジョブで、何の力も無かったら、多数の冒険者をそこらへんからかき集めて倒しに行けばいい。
だが、先程も言ったが、魔王の使いやら、次期魔王やらという言葉がそうはさせてなかったのだ。
「何が魔王の使いだよ。俺は悪魔の血なんて引いてねぇっつの」
こんな事を言ってはいるが、やはり心のどこかで自分は化け物という確信を持ってしまっているため、こちらからもそう否定など出来ない。
考えてみてほしい。
もし目の前に圧倒的な力を持った冒険者が現れて、それが村人で更に世界中を脅かすような殺気を放つとする。それを周りはどう見る?
そりゃあ、知り合いや事情を知ってる者がそれを見ても、『ああ、烈毅は強すぎる』とくらいにしか思わない。でも彼らは烈毅の事を何も知らない。だから恐れるのだ。
だから、魔王だのなんだのと言うのも仕方は無いと腹を括っている。
「早くルノ帰ってこないかなー」
烈毅は足をバタバタさせながら、寝返りをうつ。
すると、隣からガシャガシャと騒がしい音がなり、扉を強く開ける音が聞こえてくる。
「あいつら、暴れすぎじゃね? まだ昼だよ?」
そう思っていた矢先、烈毅の部屋の扉がゆっくりと開かれる。烈毅はそれに気づいてはいない。
「行くわよ」
「ガッテンだぜ姉貴」
枕に顔を埋めている烈毅に、音も気配もなく忍び寄る。そして、その二人は烈毅に飛び乗る。
「うぎゃあ!?」
「おい烈毅ぃ! ちっとつらかしなぁ?」
「おうおうおう! てめぇ姉貴の言葉が聞けねぇのかぁ!?」
「ちょっとナーシェさん、ミーシュさん? どうして右手に一一升瓶を持ってるんですか? まだ昼間ですよ? 少しお酒くさいですよ?」
「あぁぁあ!? いいからとっとと付いてこい! 一升瓶ケツにぶっ刺すぞ!?」
「わかりました。付いてきますからそれだけはやめてください」
烈毅は酔った二人に腕をタオルで縛られる。
「ちょっとお姉さん方? 縛る必要は無くないですか?」
「あぁん? 抵抗されたらこっちが勝てねぇだろ!? それくらいわかれよ泣き虫ぃ!」
「そうだそうだ!」
「わかった。わかったんだけど、一つ聞きたい。どうしてミーシュの方が姉貴って呼ばれてるの? 絶対ナーシェの方が強いでしょ?」
「歳は私の方がうえなんだよぉぉ!」
「そうだぞ馬鹿野郎ぉぉ!! それぐらい察しろ泣き虫ぃ!」
「お前ら今後一切酒飲ませないからな」
されるがままに烈毅は連行され、隣の部屋へと連れてこられる。ナーシェ達の部屋の中は、酒の匂いで充満していた。
「お前ら、まさか昨日から飲み続けてるんじゃないだろうな?」
「馬鹿野郎! 一昨日からだ馬鹿野郎!」
「はぁ!?」
「そうだぞ馬鹿野郎! レーナだってルノだってもう飲み続けてんだぞぉ!?」
「はぁぁ!?」
すると、タイミングバッチシにルノとレーナが「「うぃ〜〜い!」」と肩を組んで入ってくる。
烈毅の危険察知センサーがオンになり、すぐさまその拘束を解き、一瞬でその場の四人を気絶させる。
「危ねぇ……あとちょっとで食われるところだった」
これは当分の間起きないだろうと思い、ベッドに寝かせてやり、烈毅は一人、町を楽しむためにフードを深くかぶって外へ出かける。
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