村人が世界最強だと嫌われるらしい
この世界は、何もかもがおかしすぎる 4
それは何年前の事だろうか。
まだ烈毅のレベルが三百代の頃。烈毅は一人つまらない人生を歩んでいた。
「あー、この世界に来て何年か知らんけど、そろそろ魔王とか出てこないの?」
そんな独り言をブツブツと言いながら、この日は危険レベルAのモンスターを倒しに来ていた。
目的地に着くなり、そのお目当てのモンスターが姿を表す。
「こいつか、デス・リザードマンってのは」
普通のリザードマンなら、危険レベルはC程度。ただ、このリザードマンは、何者かの手によって、魔の力が爆発的に強まり、普通のリザードマンの何倍もの力を有した者になったのだ。
「こいつ、魔力が馬鹿みたいに高いぞ?」
動きもかなり速い。今の三百のレベルでギリギリ目で追えるぐらいの速さだ。
「速い……それにいつもより殺気立ってないか?」
様子を見つつ、ある程度の事がわかると撃破に移る。防御力もかなり増しており、これじゃ他の奴らじゃ倒せないとわかった。
クエストも終わり、その頃住んでいた町へと帰還する。すると、一人の少女が町に入った途端走ってくる。
「れつきおかえりー!」
「おう、ただいまー、ルノ」
そう。これが今の受付嬢、センテール・ルノだ。この頃はまだ七歳と若い。
「きょう、どうだったー?」
「強い敵倒してきたぞー! かなり手強かったな」
「そうな……きゃっ!」
そう話していると、ルノ両親がルノを抱え、どこかへ走り去って行く。
それもそのはず、名も名乗らず、聞いたこともない言葉を時々喋り、高難易度のクエストに出ては必ず帰ってくる。出身地も知らなければこの世界の事も知らない。何年も経っているのに風貌が全く変わらない。そんな烈毅の事が、怪しくないわけない。
こちらから話しかけようにも、何故か皆が逃げて行く。この頃から、周りからは独立してしまっていた。
「やっぱ、歳を取らなくなると、怪しまれるんですかねー。俺は悲しい!」
トホホと言いながら、一人宿へ帰る。
そんなある日の事だった。再び魔力が爆発的に増え、危険レベルがAにまで跳ね上がったモンスターを倒し、町に帰ってきた時だった。
「おい……なんじゃこりゃ」
町は焼け、無数のモンスターに人が殺され、空には一人のフードを被った男が浮いている。
すぐさま町に入るなり、モンスターを片っ端から殺していく。だが、来た時が遅かったのか、もう殆どの住民は殺されてしまっている。冒険者でさえ……。
「まじかまじかまじか!」
必死こいて町を駆け巡り、モンスターを殺し、生存者を探す、が誰もいない。もう諦めかけたそんな時。
「しくっ……おかあさん、おとうさん……」
聞き覚えのある声が聞こえてくる。瓦礫の下からだ。
一目散にそこへ駆けつけ、瓦礫をどかす。すると、そこにはルノと、瓦礫に押しつぶされ下半身を失った両親がいた。
「ルノ! どうした何があった!?」
そう訊くと、上を指さし、こう言った。
「あの人がやったの」
その指の先には、フードを被った怪しい男。殺気をコートの様に纏っているかのような、ただ殺す事を楽しんでいるかのような、そんな風に見えた。
烈毅は大声でそのフードを被った男に問いかける。
「お前は何者だ! なんでこの町を狙う!」
『教えるレベルに、お前はまだ達していない村人よ』
殺気の篭ったその声は、烈毅を震わせ、全身から汗が吹き出る。
「何故、俺が村人だと知っている?」
『その時が来たら教えよう。だから、強くなれ村人よ』
「待て! 逃げるな!」
追うにも空なんか飛ぶ魔法は知らない。それ以前に、足が竦んで一ミリも動かない。そのままフードを被った男は去っていき、それと同時に町の火が消える。
ルノは気を失い、寝てしまっている。
「なんだよあいつ……何がしたかったんだ? それに強くなれって……」
そして二日後、ルノが目を覚まし、両親がいなくなった事実を知ると、泣くわけでもなく、烈毅にこう言ったのだ。「私を強くしてくれ」と。
烈毅はそれに応え、ルノを強くしようと心に決めた。が、そんなある日、ルノに異変が起きる。
それはルノが十八歳になったころだった。レベルが二百を越え、かなりのレベルになった頃、武器が握れなくなってしまったのだ。
理由は不明。ただ、その夜におかしな夢を見たと言っていた。これも、あのフードの男が関係してるのではないかと。
その為、今は受付嬢にさせ、色々な情報を集めて貰ったり、こっそりと高難易度クエストを受けさせたりしてもらっていたのだ。
だから、ルノと烈毅は家族と言ってもいい。それぐらいに仲も良く、烈毅の事を一番知っているのだ。
村人でレベルがMAXだと言うことも。それを隠して、ひっそり住んでいる事も。
まだ烈毅のレベルが三百代の頃。烈毅は一人つまらない人生を歩んでいた。
「あー、この世界に来て何年か知らんけど、そろそろ魔王とか出てこないの?」
そんな独り言をブツブツと言いながら、この日は危険レベルAのモンスターを倒しに来ていた。
目的地に着くなり、そのお目当てのモンスターが姿を表す。
「こいつか、デス・リザードマンってのは」
普通のリザードマンなら、危険レベルはC程度。ただ、このリザードマンは、何者かの手によって、魔の力が爆発的に強まり、普通のリザードマンの何倍もの力を有した者になったのだ。
「こいつ、魔力が馬鹿みたいに高いぞ?」
動きもかなり速い。今の三百のレベルでギリギリ目で追えるぐらいの速さだ。
「速い……それにいつもより殺気立ってないか?」
様子を見つつ、ある程度の事がわかると撃破に移る。防御力もかなり増しており、これじゃ他の奴らじゃ倒せないとわかった。
クエストも終わり、その頃住んでいた町へと帰還する。すると、一人の少女が町に入った途端走ってくる。
「れつきおかえりー!」
「おう、ただいまー、ルノ」
そう。これが今の受付嬢、センテール・ルノだ。この頃はまだ七歳と若い。
「きょう、どうだったー?」
「強い敵倒してきたぞー! かなり手強かったな」
「そうな……きゃっ!」
そう話していると、ルノ両親がルノを抱え、どこかへ走り去って行く。
それもそのはず、名も名乗らず、聞いたこともない言葉を時々喋り、高難易度のクエストに出ては必ず帰ってくる。出身地も知らなければこの世界の事も知らない。何年も経っているのに風貌が全く変わらない。そんな烈毅の事が、怪しくないわけない。
こちらから話しかけようにも、何故か皆が逃げて行く。この頃から、周りからは独立してしまっていた。
「やっぱ、歳を取らなくなると、怪しまれるんですかねー。俺は悲しい!」
トホホと言いながら、一人宿へ帰る。
そんなある日の事だった。再び魔力が爆発的に増え、危険レベルがAにまで跳ね上がったモンスターを倒し、町に帰ってきた時だった。
「おい……なんじゃこりゃ」
町は焼け、無数のモンスターに人が殺され、空には一人のフードを被った男が浮いている。
すぐさま町に入るなり、モンスターを片っ端から殺していく。だが、来た時が遅かったのか、もう殆どの住民は殺されてしまっている。冒険者でさえ……。
「まじかまじかまじか!」
必死こいて町を駆け巡り、モンスターを殺し、生存者を探す、が誰もいない。もう諦めかけたそんな時。
「しくっ……おかあさん、おとうさん……」
聞き覚えのある声が聞こえてくる。瓦礫の下からだ。
一目散にそこへ駆けつけ、瓦礫をどかす。すると、そこにはルノと、瓦礫に押しつぶされ下半身を失った両親がいた。
「ルノ! どうした何があった!?」
そう訊くと、上を指さし、こう言った。
「あの人がやったの」
その指の先には、フードを被った怪しい男。殺気をコートの様に纏っているかのような、ただ殺す事を楽しんでいるかのような、そんな風に見えた。
烈毅は大声でそのフードを被った男に問いかける。
「お前は何者だ! なんでこの町を狙う!」
『教えるレベルに、お前はまだ達していない村人よ』
殺気の篭ったその声は、烈毅を震わせ、全身から汗が吹き出る。
「何故、俺が村人だと知っている?」
『その時が来たら教えよう。だから、強くなれ村人よ』
「待て! 逃げるな!」
追うにも空なんか飛ぶ魔法は知らない。それ以前に、足が竦んで一ミリも動かない。そのままフードを被った男は去っていき、それと同時に町の火が消える。
ルノは気を失い、寝てしまっている。
「なんだよあいつ……何がしたかったんだ? それに強くなれって……」
そして二日後、ルノが目を覚まし、両親がいなくなった事実を知ると、泣くわけでもなく、烈毅にこう言ったのだ。「私を強くしてくれ」と。
烈毅はそれに応え、ルノを強くしようと心に決めた。が、そんなある日、ルノに異変が起きる。
それはルノが十八歳になったころだった。レベルが二百を越え、かなりのレベルになった頃、武器が握れなくなってしまったのだ。
理由は不明。ただ、その夜におかしな夢を見たと言っていた。これも、あのフードの男が関係してるのではないかと。
その為、今は受付嬢にさせ、色々な情報を集めて貰ったり、こっそりと高難易度クエストを受けさせたりしてもらっていたのだ。
だから、ルノと烈毅は家族と言ってもいい。それぐらいに仲も良く、烈毅の事を一番知っているのだ。
村人でレベルがMAXだと言うことも。それを隠して、ひっそり住んでいる事も。
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コメント
夏夜弘
すいません、なろうの方では直したのですが、ここで直すの忘れてました。今すぐ直します
決事
レベル800の時にスキル不滅を手に入れたのでは?
この段階ではレベル300代、風貌が変わっていないのは……少しばかり気になりました