天下界の無信仰者(イレギュラー)
分かった。お前アホだろ
ウリエルはえっへんと得意げな顔で言うが、それを聞いてエリヤは呆れ顔になり、言っていてウリエルもそれは自覚していた。
「分かった。お前アホだろ」
「うるさいな! アホとか言うな」
ウリエルは頬を大きく膨らませまた目を閉じる。時間操作なんて遠回しなことをしなくてもこれでよかった。
ウリエルの体が発光する。光に包まれ全身が見えなくなる。その光が徐々に引いていった。
みるみる小さくなる。もうウリエルの体よりも小さくなっているがさらに小さくなっていき、その光が消えた時、そこにいたのは髪の長い少女だった。小学生くらいだろうか、これなら見られただけでウリエルだとは思わない。
幼さの残る大きな瞳がエリヤを見上げる。
「どう、かな?」
「おおー」
成功だ。今のウリエルならばれることはないはずだ。
「ふふ~ん。どうだ、これがボクの本気ってやつだよ」
ようやく成功したことにウリエルも上機嫌のようで鼻を高くしている。
「僕?」
「え、なにが?」
「お前、なんか雰囲気違うな」
だが彼女の話し方には違和感がある。一人称がまず違うし雰囲気も明るいというか、彼女にあった凜とした印象がまったくなかった。
「そりゃ、体が変わってるんだから話し方も変わるに決まってるじゃんか。ぷぷぷ、エリヤはやっぱりバカだな~」
「んだとてめぇ」
ウザさに関しては百倍だ。
「このクソがきが。それにしても」
それはそれで問題だが、別の問題があった。
服がぶかぶかだ。体だけ小さくなったのでサイズが合っていない。親の服を勝手に着てみた子供みたいで手なんて袖を通っていなかった。
「変身するにしても服だな」
これでは歩くのにも不自由してしまう。
「服ならシルフィアからもらえばいいだろ」
「シルフィアってエリヤの妹の?」
「たぶん大丈夫だろ」
自分の服とはいえ困っている人がいるのに助けないほど狭量な妹ではないはずだ。そこはエリヤも心配していない。
そうと決まれば家だ。それに服だけでなくこれから逃げていくならいろいろ物もいる。
エリヤは頭の中で整理しながらウリエルを見てみると彼女は小さくなった自分の体をまじまじと見つめていた。珍しいんだろう。ぶかぶかの服の中で手足を確かめるように動かしている。
ウリエルは子供になった。中身もなぜか子供っぽい性格になっている。
「…………」
そんな彼女を見てエリヤの中でひとつの案が浮かんでいた。
「なあ、ウリエル」
「ん?」
自分の服で遊んでいるウリエルが見上げる。二人の高低差は広がりエリヤがさらに大柄に見えるだろう。
「お前言ってたよな、人生をやり直したいほどの後悔があるって」
自分を見上げるつぶらな瞳は暗いことなどなにもないように思える。
でも彼女は彼女で、その小さな体には目に見えない大きな負い目を背負っている。それに今も苦しんでいる。それをなんとかしたい。
「もしお前が無事に逃げれて、自分を本当に許せる時がきたらよ」
エリヤは膝を折りウリエルの正面に座った。正面で向かい合い彼女を見つめる。
「お前、学校に行け」
「え? 学校?」
ウリエルはきょとんとしている。そんな発想この二千年一度も無かった。
「行けるとこならどこでもいい。そこで人生をやり直すんだよ。友達作って、遊びに行って。人生を楽しむんだ」
ウリエルは意外なようだがエリヤは真剣だった。人生をやり直す。友達を作る。それがなによりの彼女の幸せだ。
大丈夫、彼女ならできる。エリヤは自信を持ってそう言えるがウリエルはうつむいてしまった。
「でも、ボクなんかが学校に行ったところで、友達なんてできないよ」
「なんでだよ」
「だって……」
「分かった。お前アホだろ」
「うるさいな! アホとか言うな」
ウリエルは頬を大きく膨らませまた目を閉じる。時間操作なんて遠回しなことをしなくてもこれでよかった。
ウリエルの体が発光する。光に包まれ全身が見えなくなる。その光が徐々に引いていった。
みるみる小さくなる。もうウリエルの体よりも小さくなっているがさらに小さくなっていき、その光が消えた時、そこにいたのは髪の長い少女だった。小学生くらいだろうか、これなら見られただけでウリエルだとは思わない。
幼さの残る大きな瞳がエリヤを見上げる。
「どう、かな?」
「おおー」
成功だ。今のウリエルならばれることはないはずだ。
「ふふ~ん。どうだ、これがボクの本気ってやつだよ」
ようやく成功したことにウリエルも上機嫌のようで鼻を高くしている。
「僕?」
「え、なにが?」
「お前、なんか雰囲気違うな」
だが彼女の話し方には違和感がある。一人称がまず違うし雰囲気も明るいというか、彼女にあった凜とした印象がまったくなかった。
「そりゃ、体が変わってるんだから話し方も変わるに決まってるじゃんか。ぷぷぷ、エリヤはやっぱりバカだな~」
「んだとてめぇ」
ウザさに関しては百倍だ。
「このクソがきが。それにしても」
それはそれで問題だが、別の問題があった。
服がぶかぶかだ。体だけ小さくなったのでサイズが合っていない。親の服を勝手に着てみた子供みたいで手なんて袖を通っていなかった。
「変身するにしても服だな」
これでは歩くのにも不自由してしまう。
「服ならシルフィアからもらえばいいだろ」
「シルフィアってエリヤの妹の?」
「たぶん大丈夫だろ」
自分の服とはいえ困っている人がいるのに助けないほど狭量な妹ではないはずだ。そこはエリヤも心配していない。
そうと決まれば家だ。それに服だけでなくこれから逃げていくならいろいろ物もいる。
エリヤは頭の中で整理しながらウリエルを見てみると彼女は小さくなった自分の体をまじまじと見つめていた。珍しいんだろう。ぶかぶかの服の中で手足を確かめるように動かしている。
ウリエルは子供になった。中身もなぜか子供っぽい性格になっている。
「…………」
そんな彼女を見てエリヤの中でひとつの案が浮かんでいた。
「なあ、ウリエル」
「ん?」
自分の服で遊んでいるウリエルが見上げる。二人の高低差は広がりエリヤがさらに大柄に見えるだろう。
「お前言ってたよな、人生をやり直したいほどの後悔があるって」
自分を見上げるつぶらな瞳は暗いことなどなにもないように思える。
でも彼女は彼女で、その小さな体には目に見えない大きな負い目を背負っている。それに今も苦しんでいる。それをなんとかしたい。
「もしお前が無事に逃げれて、自分を本当に許せる時がきたらよ」
エリヤは膝を折りウリエルの正面に座った。正面で向かい合い彼女を見つめる。
「お前、学校に行け」
「え? 学校?」
ウリエルはきょとんとしている。そんな発想この二千年一度も無かった。
「行けるとこならどこでもいい。そこで人生をやり直すんだよ。友達作って、遊びに行って。人生を楽しむんだ」
ウリエルは意外なようだがエリヤは真剣だった。人生をやり直す。友達を作る。それがなによりの彼女の幸せだ。
大丈夫、彼女ならできる。エリヤは自信を持ってそう言えるがウリエルはうつむいてしまった。
「でも、ボクなんかが学校に行ったところで、友達なんてできないよ」
「なんでだよ」
「だって……」
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