天下界の無信仰者(イレギュラー)
誤解
予想外の美女にエリヤはいったん唖然となるがすぐに気を引き締めた。こいつは凶悪犯だ間違いない。
「この子に危害を加えようとしていただろう、お前は逮捕する! フードなんて被って怪しいやつめ」
「だから待ってください、それに私は怪しい者ではありません」
「怪しくないなら名前を言ってもらおうか」
「それは……」
とたん女性が口ごもる。言いにくいのか苦い表情で視線を逸らす。
「ほらなやっぱり。お前を逮捕する!」
「それは誤解です! 私はただ転んだその子を助けようとしただけなんです!」
「怪しい奴はみんなそう言うんだ」
「どういうことですか!?」
彼女は反論するが聞く耳は持たない。なぜならこいつは犯罪者だからだ。
「待ってください、ならこの子から直接話を聞いてください」
彼女が指さす。そこにいた男の子は泣き止みエリヤに近づいてきた。
「あの、実は――」
「もう大丈夫だ、君が泣く必要はなくなった。ここは危険だからすぐに離れるんだ」
「いや、だからその人は」
「早く安全な場所に行くんだ!」
「その人は僕を助けようとしてくれたんですよ!」
「君の言ってることはよく聞こえん」
「なんで!?」
「ここは危険だから離れてろ、ブチ殺すぞ!」
「ひええええ!」
エリヤの脅迫まがいの注意に男の子は逃げていった。
「観念しろ悪者め!」
「あなたが悪者なんじゃないですか!?」
エリヤは話を聞いてくれません。
「とりあえずお前は近くの交番まで来てもらう。話はそこで聞いてやるよ」
そう言ってエリヤは彼女の腕を掴んだ。
「放してください!」
「放さん」
彼女はエリヤの手から離れようと必死にもがいている。しかしがっしり握られたエリヤの手はびくともしない。
「止めてください、人を呼びますよ!?」
「俺が変質者みたいなこと言うんじゃねえよ!」
「どうして放してくれないんですか!?」
「お前に容疑がかかっているからだ。おとなしくついて来い」
「どうしても連れていく気ですね。まさか!?」
「ん?」
と、そこで女性の表情が変わった。今までおとしやかな雰囲気だったのが急に険しくなる。
「こうまで強引なのは……貴様、ミカエルの追っ手だな? 私を捜しにきたのか?」
「はあ? なんだそりゃ?」
いきなり意味不明なことを言われる。どういうことだ。
エリヤは困惑するが、そのとき彼女の力が急に上がった。
(なに?)
今までは力を抑えていたのか。だがそれで放すエリヤの握力じゃない。
すると今度は彼女の腕から炎が吹き出した!
「うをおお!」
たまらず手を放す。なんだなんだと思いながらもとりあえず手のひらにフーフー息をかける。熱い。
そんな中、真剣な雰囲気となった彼女は戦意を向けてエリヤを睨んできた。
「そうはいかない。連れて帰るというのなら、ここでお前を倒す!」
そして、彼女は光の中から剣を出現させた。装飾の施された剣は彼女専用の一点物だと分かる。
「おいおいおい!」
本当にただ者ではない。いったいなんなのか? とはいえむこうはすでにやる気満々、剣を向けてきている。
「なにもんだてめえ、わけの分からないこと言い出したかと思えば火炎放射に抜刀だと? 不審者じゃなくて危険人物かよ」
「危険人物とか言うな! 私は……!」
彼女は大声で否定する。その後再び苦しそうな顔になり視線を地面に落としてしまった。
「なにか訳ありみたいだな。とりあえず話は別の場所で聞くから。なにか困ってるなら力になってやるよ」
「……力になる?」
エリヤの言葉に他意はなかった。だが、彼女の語気は凄みを増していく。
「この子に危害を加えようとしていただろう、お前は逮捕する! フードなんて被って怪しいやつめ」
「だから待ってください、それに私は怪しい者ではありません」
「怪しくないなら名前を言ってもらおうか」
「それは……」
とたん女性が口ごもる。言いにくいのか苦い表情で視線を逸らす。
「ほらなやっぱり。お前を逮捕する!」
「それは誤解です! 私はただ転んだその子を助けようとしただけなんです!」
「怪しい奴はみんなそう言うんだ」
「どういうことですか!?」
彼女は反論するが聞く耳は持たない。なぜならこいつは犯罪者だからだ。
「待ってください、ならこの子から直接話を聞いてください」
彼女が指さす。そこにいた男の子は泣き止みエリヤに近づいてきた。
「あの、実は――」
「もう大丈夫だ、君が泣く必要はなくなった。ここは危険だからすぐに離れるんだ」
「いや、だからその人は」
「早く安全な場所に行くんだ!」
「その人は僕を助けようとしてくれたんですよ!」
「君の言ってることはよく聞こえん」
「なんで!?」
「ここは危険だから離れてろ、ブチ殺すぞ!」
「ひええええ!」
エリヤの脅迫まがいの注意に男の子は逃げていった。
「観念しろ悪者め!」
「あなたが悪者なんじゃないですか!?」
エリヤは話を聞いてくれません。
「とりあえずお前は近くの交番まで来てもらう。話はそこで聞いてやるよ」
そう言ってエリヤは彼女の腕を掴んだ。
「放してください!」
「放さん」
彼女はエリヤの手から離れようと必死にもがいている。しかしがっしり握られたエリヤの手はびくともしない。
「止めてください、人を呼びますよ!?」
「俺が変質者みたいなこと言うんじゃねえよ!」
「どうして放してくれないんですか!?」
「お前に容疑がかかっているからだ。おとなしくついて来い」
「どうしても連れていく気ですね。まさか!?」
「ん?」
と、そこで女性の表情が変わった。今までおとしやかな雰囲気だったのが急に険しくなる。
「こうまで強引なのは……貴様、ミカエルの追っ手だな? 私を捜しにきたのか?」
「はあ? なんだそりゃ?」
いきなり意味不明なことを言われる。どういうことだ。
エリヤは困惑するが、そのとき彼女の力が急に上がった。
(なに?)
今までは力を抑えていたのか。だがそれで放すエリヤの握力じゃない。
すると今度は彼女の腕から炎が吹き出した!
「うをおお!」
たまらず手を放す。なんだなんだと思いながらもとりあえず手のひらにフーフー息をかける。熱い。
そんな中、真剣な雰囲気となった彼女は戦意を向けてエリヤを睨んできた。
「そうはいかない。連れて帰るというのなら、ここでお前を倒す!」
そして、彼女は光の中から剣を出現させた。装飾の施された剣は彼女専用の一点物だと分かる。
「おいおいおい!」
本当にただ者ではない。いったいなんなのか? とはいえむこうはすでにやる気満々、剣を向けてきている。
「なにもんだてめえ、わけの分からないこと言い出したかと思えば火炎放射に抜刀だと? 不審者じゃなくて危険人物かよ」
「危険人物とか言うな! 私は……!」
彼女は大声で否定する。その後再び苦しそうな顔になり視線を地面に落としてしまった。
「なにか訳ありみたいだな。とりあえず話は別の場所で聞くから。なにか困ってるなら力になってやるよ」
「……力になる?」
エリヤの言葉に他意はなかった。だが、彼女の語気は凄みを増していく。
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