天下界の無信仰者(イレギュラー)
聖騎士エリヤ、貴様を拘束する!
すると扉から続々と兵士たちが入室してきた。肩にかけた軍用のアサルトライフルをエリヤに向けながら隊列を組んでいく。
「聖騎士エリヤ、貴様を拘束する! 剣を捨て両手を上げろ!」
兵士の大声が部屋に響く。エリヤは部屋に入ってきた兵士たちを見渡した後、最後にモーセを見た。未だ笑みを残したままの老人を睨むように見続ける。その視線に力を込めて。訴えるようにモーセを見つめた。
それからエリヤは静かに大剣から手を放した。大剣が床に落ち重い音を立てる。その次に両手をゆっくりと上げた。
「確保!」
隊長の叫び声とともにエリヤへと兵士が殺到する。足を叩いてエリヤの膝を地面に付けさせるとうつ伏せに倒した。力づくで手を縛り拘束していく。
「おいもっと優しくしてくれよ無抵抗だろうが!」
「当然だボケ」
乱暴な扱いにエリヤが言うがサリエルが言い返す。
両手を後ろで縛られたエリヤは立たされ兵士たちが隣に並ぶ。
「馬鹿が」
「ケッ」
サリエルは逮捕されたエリヤに忌々しく言い放つ。こんなこと前代未聞だ。本気でこれで政府の方針が変わると思ったなんて頭がおかしいとしか思えない。おまけに本人は反省の色はなくふてくされた表情だった。
「こい、おめえはこっちだ」
「エスコートどうも」
サリエルが前を歩き両脇を兵士に固められたエリヤは連行されていった。嵐が過ぎ去ったように部屋は静かさを取り戻す。神官たちはエリヤが去っていった扉を呆然と眺めていた。
そんな中、この場に不似合いな声が聞こえてきた。
「いやぁ、残念残念」
まるで愉快さすら感じさせる不真面目な声。どこか周りを卑下するかのような言い方が耳に入ってくる。
その男はこの騒動にも関わらず落ち着いた様子でソファに座り足を組んでいた。態度や姿勢は大きく一神官とは思えない。
そんな彼に、モーゼは彼に声をかけた。
「どうかしたかね、ミカエル君?」
神官長からの呼びかけに、ミカエルはゆっくりと振り向いた。
「いえ、神官長。せっかくの協議中でしたのに要らぬ邪魔が入りましたからね。今は一刻も時間が惜しい。話を戻しても? 神官長」
「無論だとも」
二人はさきほどの出来事などなかったかのように平然としている。周りはまだ動揺を隠せていなかったが協議が再開されるということで各々席に座った。
全員が席についたのを見計らいミカエルが口を開く。
「それでは神官長、追加予算の使い道についてですが」
この場の空気が引き締まる。エリヤの乱入は不意打ちだったがこの議題を前にして真剣にならないわけがない。みなが目を尖らせミカエルの話に耳を傾けた。
「まず、避けたい事態ではありますが、もし戦争という展開になった場合、ここサン・ジアイ大聖堂が軍としても本部となるでしょう。ヴァルカンは市としてとても魅力的な都市であると私は自負していますが、こと軍事面、防衛の観点から見ますと不安が残ります」
スパルタ帝国と交戦状態となった場合、当然サン・ジアイ大聖堂は重要拠点だ。なんとしても守らなければならないがその術が現状では弱い。
「よって、まずはここ、いざという時のためサン・ジアイ大聖堂の守りを備えるべきかと」
「異論はないが、してその方法はなにかな」
神官長モーゼは人なつっこい目を向ける。ミカエルも不敵な笑みを浮かべつつも真剣な目で答えた。
「五次元結界ですよ、神官長」
「結界?」
「聖騎士エリヤ、貴様を拘束する! 剣を捨て両手を上げろ!」
兵士の大声が部屋に響く。エリヤは部屋に入ってきた兵士たちを見渡した後、最後にモーセを見た。未だ笑みを残したままの老人を睨むように見続ける。その視線に力を込めて。訴えるようにモーセを見つめた。
それからエリヤは静かに大剣から手を放した。大剣が床に落ち重い音を立てる。その次に両手をゆっくりと上げた。
「確保!」
隊長の叫び声とともにエリヤへと兵士が殺到する。足を叩いてエリヤの膝を地面に付けさせるとうつ伏せに倒した。力づくで手を縛り拘束していく。
「おいもっと優しくしてくれよ無抵抗だろうが!」
「当然だボケ」
乱暴な扱いにエリヤが言うがサリエルが言い返す。
両手を後ろで縛られたエリヤは立たされ兵士たちが隣に並ぶ。
「馬鹿が」
「ケッ」
サリエルは逮捕されたエリヤに忌々しく言い放つ。こんなこと前代未聞だ。本気でこれで政府の方針が変わると思ったなんて頭がおかしいとしか思えない。おまけに本人は反省の色はなくふてくされた表情だった。
「こい、おめえはこっちだ」
「エスコートどうも」
サリエルが前を歩き両脇を兵士に固められたエリヤは連行されていった。嵐が過ぎ去ったように部屋は静かさを取り戻す。神官たちはエリヤが去っていった扉を呆然と眺めていた。
そんな中、この場に不似合いな声が聞こえてきた。
「いやぁ、残念残念」
まるで愉快さすら感じさせる不真面目な声。どこか周りを卑下するかのような言い方が耳に入ってくる。
その男はこの騒動にも関わらず落ち着いた様子でソファに座り足を組んでいた。態度や姿勢は大きく一神官とは思えない。
そんな彼に、モーゼは彼に声をかけた。
「どうかしたかね、ミカエル君?」
神官長からの呼びかけに、ミカエルはゆっくりと振り向いた。
「いえ、神官長。せっかくの協議中でしたのに要らぬ邪魔が入りましたからね。今は一刻も時間が惜しい。話を戻しても? 神官長」
「無論だとも」
二人はさきほどの出来事などなかったかのように平然としている。周りはまだ動揺を隠せていなかったが協議が再開されるということで各々席に座った。
全員が席についたのを見計らいミカエルが口を開く。
「それでは神官長、追加予算の使い道についてですが」
この場の空気が引き締まる。エリヤの乱入は不意打ちだったがこの議題を前にして真剣にならないわけがない。みなが目を尖らせミカエルの話に耳を傾けた。
「まず、避けたい事態ではありますが、もし戦争という展開になった場合、ここサン・ジアイ大聖堂が軍としても本部となるでしょう。ヴァルカンは市としてとても魅力的な都市であると私は自負していますが、こと軍事面、防衛の観点から見ますと不安が残ります」
スパルタ帝国と交戦状態となった場合、当然サン・ジアイ大聖堂は重要拠点だ。なんとしても守らなければならないがその術が現状では弱い。
「よって、まずはここ、いざという時のためサン・ジアイ大聖堂の守りを備えるべきかと」
「異論はないが、してその方法はなにかな」
神官長モーゼは人なつっこい目を向ける。ミカエルも不敵な笑みを浮かべつつも真剣な目で答えた。
「五次元結界ですよ、神官長」
「結界?」
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