天下界の無信仰者(イレギュラー)
いけ! メタトロン!
すさまじい音が部屋に響く。ガラスは飛び散り外の気圧差から部屋の空気が勢いよく排出されていく。気を抜けば外に放り出されてしまいそうな風に騎士たちは悲鳴を上げていた。
けれど、二人の騎士は違う。
この事態にもまったく動揺することなく、むしろこの程度どうでもいいとばかりに剣を交えていた。それどころかこの事態すら利用する。
サンダルフォンに追撃をかけようとするメタトロンを蹴り上げサンダルフォンが立ち上がろうとする。
それを見てエリヤはサンダルフォンへと走り出した。彼を追ってエノクも駆ける。
エリヤはサンダルフォンの肩に飛び乗った。破壊された壁から教皇宮殿を出て彼の肩に着地する。そのまま彼の右腕の上を走っていった。エノクも彼の肩に着地しエリヤを追う。
二人は戦いながらサンダルフォンの腕を渡り歩いていた。彼の腕は巨大な橋のようで、辺りは天空庭園かくやと青空と雲が広がっている。吹きすさぶ強風に煽られながらも二人は剣を振り続けていく。
そんな二人を気にかけることなくサンダルフォンはメタトロンとつかみ合った。互いに相手の肩を掴み力を押しつけ合っている。サンダルフォンは片手を離すと右手を振り上げた。
「おいおいおい!」
「くっ」
そのせいでエリヤたちの地面が傾いていく。二人ともなんとかふんばるが勢いは止まらない。ついに直角にまでなってしまった。
「おっと!」
エリヤとエノクはサンダルフォンの腕に掴みぶら下がった。エリヤが上でエノクが下になる。片手で自身の体重を支え、もう一方で剣を持つ。
その状態でも二人は斬り合っていた。このような体勢では技もなにもない。ただ剣を振るうだけだ。こうなってはエリヤが有利でそれは両者の表情にも表れていた。
「どうだエノク! 地の利を得たぞ!」
「兄さんはなにを言っているんだ……?」
エリヤは調子よく剣を振るっていくが、その優勢は文字通り動いた。
サンダルフォンがメタトロンを殴りつけたのだ。
瞬間、二人は自分たちの位置を消失した。
「ぬおおお!」
「く!」
まるで空間転移でもしたかのようだ。周囲の光景が動き出したかと思えば一瞬で数十メートルも移動していた。
サンダルフォンの拳はメタトロンの顔を強打する。その衝撃は二人にも襲い慣性の法則がサンダルフォンの腕から引き剥がそうとしてきた。
その時、エノクの前には振るわれるエリヤの大剣がある。
エノクは、手を離した。
「なに!?」
エノクは慣性に身をゆだね放り出される。それによりエリヤの攻撃をかわしたのだ。
空を疾走しエノクはメタトロンの顔に着地した。彼の頬を地面とし重力を受ける直前辺りを見渡す。見ればメタトロンが腕を引いており反撃しようとしている。
それを見てエノクは両足をそろえ飛んだ。彼の拳の上に乗り振り落とされないように屈んで手の甲をつかんだ。
「いけ! メタトロン!」
やられっぱなしではいられない。エノクを乗せた拳はサンダルフォンの胸をとらえ同時にエノクも飛んでいた。その巨大な胸板へ剣先を打ち付ける。
メタトロンとエノクの二重攻撃だ。
サンダルフォンの体勢が崩れる。メタトロンを掴んでいた手は離れ後ろに反り返っている。
好機だ。連続で攻撃を打ち込むべくメタトロンは左の拳で殴りつけた。今の相手は無防備だ、これが決まればその勢いのまま勝負を決められる。
「そうはさせるかぁああ!」
そこへ、エリヤの大声が響いた。
エリヤはサンダルフォンの腕を蹴るとメタトロンの腕めがけ飛んでいた。空中で大剣を上段に構える。
この時、エリヤははじめて大剣を両手で持った。
けれど、二人の騎士は違う。
この事態にもまったく動揺することなく、むしろこの程度どうでもいいとばかりに剣を交えていた。それどころかこの事態すら利用する。
サンダルフォンに追撃をかけようとするメタトロンを蹴り上げサンダルフォンが立ち上がろうとする。
それを見てエリヤはサンダルフォンへと走り出した。彼を追ってエノクも駆ける。
エリヤはサンダルフォンの肩に飛び乗った。破壊された壁から教皇宮殿を出て彼の肩に着地する。そのまま彼の右腕の上を走っていった。エノクも彼の肩に着地しエリヤを追う。
二人は戦いながらサンダルフォンの腕を渡り歩いていた。彼の腕は巨大な橋のようで、辺りは天空庭園かくやと青空と雲が広がっている。吹きすさぶ強風に煽られながらも二人は剣を振り続けていく。
そんな二人を気にかけることなくサンダルフォンはメタトロンとつかみ合った。互いに相手の肩を掴み力を押しつけ合っている。サンダルフォンは片手を離すと右手を振り上げた。
「おいおいおい!」
「くっ」
そのせいでエリヤたちの地面が傾いていく。二人ともなんとかふんばるが勢いは止まらない。ついに直角にまでなってしまった。
「おっと!」
エリヤとエノクはサンダルフォンの腕に掴みぶら下がった。エリヤが上でエノクが下になる。片手で自身の体重を支え、もう一方で剣を持つ。
その状態でも二人は斬り合っていた。このような体勢では技もなにもない。ただ剣を振るうだけだ。こうなってはエリヤが有利でそれは両者の表情にも表れていた。
「どうだエノク! 地の利を得たぞ!」
「兄さんはなにを言っているんだ……?」
エリヤは調子よく剣を振るっていくが、その優勢は文字通り動いた。
サンダルフォンがメタトロンを殴りつけたのだ。
瞬間、二人は自分たちの位置を消失した。
「ぬおおお!」
「く!」
まるで空間転移でもしたかのようだ。周囲の光景が動き出したかと思えば一瞬で数十メートルも移動していた。
サンダルフォンの拳はメタトロンの顔を強打する。その衝撃は二人にも襲い慣性の法則がサンダルフォンの腕から引き剥がそうとしてきた。
その時、エノクの前には振るわれるエリヤの大剣がある。
エノクは、手を離した。
「なに!?」
エノクは慣性に身をゆだね放り出される。それによりエリヤの攻撃をかわしたのだ。
空を疾走しエノクはメタトロンの顔に着地した。彼の頬を地面とし重力を受ける直前辺りを見渡す。見ればメタトロンが腕を引いており反撃しようとしている。
それを見てエノクは両足をそろえ飛んだ。彼の拳の上に乗り振り落とされないように屈んで手の甲をつかんだ。
「いけ! メタトロン!」
やられっぱなしではいられない。エノクを乗せた拳はサンダルフォンの胸をとらえ同時にエノクも飛んでいた。その巨大な胸板へ剣先を打ち付ける。
メタトロンとエノクの二重攻撃だ。
サンダルフォンの体勢が崩れる。メタトロンを掴んでいた手は離れ後ろに反り返っている。
好機だ。連続で攻撃を打ち込むべくメタトロンは左の拳で殴りつけた。今の相手は無防備だ、これが決まればその勢いのまま勝負を決められる。
「そうはさせるかぁああ!」
そこへ、エリヤの大声が響いた。
エリヤはサンダルフォンの腕を蹴るとメタトロンの腕めがけ飛んでいた。空中で大剣を上段に構える。
この時、エリヤははじめて大剣を両手で持った。
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