天下界の無信仰者(イレギュラー)
私たち、友達でしょ?
そして今度こそガブリエルは去っていった。最後の四大天羽であり恵瑠の旧友は静かに舞台から退場していく。
二人の別れを神愛は背後から見守る。昔からの数少ない友人との別れた。寂しいだろう。それでも恵瑠からの背中にはどこか芯のある、力強さがあった。
「そういや加豪や天和は無事なんだろうな?」
神愛は苦い表情でつぶやく。あの時別れたままだ。まさかやられたりしていないだろうか?
「私たちがなんだって?」
「加豪!?」
「私もいるわよ」
「おう、お前もいたか」
ゴルゴダ美術館の門から加豪と天和が歩いてくる。無事な姿に驚いたあとホッと胸をなで下ろした。
「やったわね」
「おう」
加豪が拳を突き出してくる。神愛も拳を作り軽くぶつけ合った。神愛がここまでたどり着けたのは二人のおかげだ。その想いに応えられて本当によかった。
「ミルフィアもお疲れさま。大変だったわね」
「そうですね。でも、なんとか乗り切れました。加豪のおかげです。ありがとうございます」
「おい天和、俺の活躍見てたか? すごかったんだぞ門から沸いてくる天羽を片っ端等から倒してだな、めちゃくちゃすごかったんだぞ?」
「ごめん、見てなかった」
「なんでだよ!?」
「あ、あの!」
再会に喜び合う四人に恵瑠が大声を出した。四人の輪に恵瑠だけが加わっておらず離れた場所に立っている。
「ボ、ボクは……」
恵瑠は俯いていた。声を掛けるのが怖いのか両手を握り締め必死に不安に耐えていた。
なんて声を掛ければいいのか分からない。なんと話せばいいのか分からない。どうなるか分からない。自分は彼女たちを裏切った。友達を裏切ったんだ。嫌われても仕方がない。
そんな恵瑠に、加豪が近づいた。
「久しぶりね、元気にしてた?」
「え」
恵瑠は顔を上げる。視界に映るのは、優しく笑う加豪だった。
「心配したんだからね。元気そうでよかったけど」
まるでなにもなかったかのように、加豪は自然に話しかけてくれる。けれどなにもなかったことなんてない。知らないはずがない。
恵瑠が何者で、なにをしてきたのか。
「あの、ボクのこと、怒ったりしてないんですか?」
だから恵瑠は聞くけれど、
「ぜんぜん」
加豪は答えてくれた。明るく、柔らかい声で答えてくれた。
「嫌じゃないんですか?」
「問題ない」
次の質問には天和が答えてくれた。恵瑠に近づき、朴念仁のような表情と声はいつもの彼女だ。
天和はぼうとした顔で恵瑠を見つめている。
加豪は、ふっと笑い手を差し出してくれた。
「私たち、友達でしょ?」
「その通り」
天和もそうだと言ってくれる。
恵瑠は二人の顔を見て、差し出されている手を見た。自分に向けた、変わらない友情の証。それを手に取った。
「うん」
恵瑠はその手を掴む。胸にあった不安が一気に晴れる。喜びと嬉しさでいっぱいだった。
「ありがとうございます、加豪さん。天和さん」
嬉しくて堪らない。あまりの嬉しさに涙が出てきて、恵瑠は片方の手で涙を拭う。
二人の別れを神愛は背後から見守る。昔からの数少ない友人との別れた。寂しいだろう。それでも恵瑠からの背中にはどこか芯のある、力強さがあった。
「そういや加豪や天和は無事なんだろうな?」
神愛は苦い表情でつぶやく。あの時別れたままだ。まさかやられたりしていないだろうか?
「私たちがなんだって?」
「加豪!?」
「私もいるわよ」
「おう、お前もいたか」
ゴルゴダ美術館の門から加豪と天和が歩いてくる。無事な姿に驚いたあとホッと胸をなで下ろした。
「やったわね」
「おう」
加豪が拳を突き出してくる。神愛も拳を作り軽くぶつけ合った。神愛がここまでたどり着けたのは二人のおかげだ。その想いに応えられて本当によかった。
「ミルフィアもお疲れさま。大変だったわね」
「そうですね。でも、なんとか乗り切れました。加豪のおかげです。ありがとうございます」
「おい天和、俺の活躍見てたか? すごかったんだぞ門から沸いてくる天羽を片っ端等から倒してだな、めちゃくちゃすごかったんだぞ?」
「ごめん、見てなかった」
「なんでだよ!?」
「あ、あの!」
再会に喜び合う四人に恵瑠が大声を出した。四人の輪に恵瑠だけが加わっておらず離れた場所に立っている。
「ボ、ボクは……」
恵瑠は俯いていた。声を掛けるのが怖いのか両手を握り締め必死に不安に耐えていた。
なんて声を掛ければいいのか分からない。なんと話せばいいのか分からない。どうなるか分からない。自分は彼女たちを裏切った。友達を裏切ったんだ。嫌われても仕方がない。
そんな恵瑠に、加豪が近づいた。
「久しぶりね、元気にしてた?」
「え」
恵瑠は顔を上げる。視界に映るのは、優しく笑う加豪だった。
「心配したんだからね。元気そうでよかったけど」
まるでなにもなかったかのように、加豪は自然に話しかけてくれる。けれどなにもなかったことなんてない。知らないはずがない。
恵瑠が何者で、なにをしてきたのか。
「あの、ボクのこと、怒ったりしてないんですか?」
だから恵瑠は聞くけれど、
「ぜんぜん」
加豪は答えてくれた。明るく、柔らかい声で答えてくれた。
「嫌じゃないんですか?」
「問題ない」
次の質問には天和が答えてくれた。恵瑠に近づき、朴念仁のような表情と声はいつもの彼女だ。
天和はぼうとした顔で恵瑠を見つめている。
加豪は、ふっと笑い手を差し出してくれた。
「私たち、友達でしょ?」
「その通り」
天和もそうだと言ってくれる。
恵瑠は二人の顔を見て、差し出されている手を見た。自分に向けた、変わらない友情の証。それを手に取った。
「うん」
恵瑠はその手を掴む。胸にあった不安が一気に晴れる。喜びと嬉しさでいっぱいだった。
「ありがとうございます、加豪さん。天和さん」
嬉しくて堪らない。あまりの嬉しさに涙が出てきて、恵瑠は片方の手で涙を拭う。
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