天下界の無信仰者(イレギュラー)
その一睨みで世界が止まった気がした
その時の恵瑠の笑顔は輝いていて、本当に可愛らしかった。
「お、おう」
ド直球な言葉に思わず照れる。妙にドキリとしてしまった。今更ながら抱きつかれた恵瑠の体の感触が柔らかく意識してしまう。
「ごほん!」
と、そこへミルフィアがせき込んだ。
「おっと! まあなんだ、こうして再会できてなによりだな!」
「そ、そうですね!」
二人は急いで離れ別々の方向を向いた。忙しなく目が泳ぐ。
「私も再会できてうれしいよ」
すると今までなかった声が聞こえてきた。
声をかけてきたのはガブリエルだった。この戦場にあってもスーツを乱れることなく着こなしており天羽長が倒されたにも関わらず平然としていた。彼女らの生みの父であるイヤスも現界したのだが、あれはすべてを超越した戦いだ。神愛とミルフィア以外に知っている者はいないのだろう。
ガブリエルは近づいてきた足を止め神愛を見つめてきた。厳然とした目つきは相変わらずだが、口元だけが小さく持ち上がる。
「ふ、まさかお前たちが戻ってくるとはな」
神愛たちとミカエルの戦い。それは目を疑うような大バトルではあったがミカエルの能力を知っている者ならば彼の敗北を思うものはいなかったはずだ。事実ガブリエルも思わなかった。悪くても引き分けといったところだ。
けれど帰還したのは神愛だった。
この結果にはガブリエルも内心驚いているようで、やられたミカエルにやれやれと思いながら話し始めた。
「あいつを破るか。正直予想していなかったよ。あいつが負けるところなど想像できなかったのでね。まあ、心の片隅で見たかったのは事実だが」
(ひでえ)
だが無理もない。
「お前のことをどうやら見誤っていたようだ。私ですらこの戦いには余裕と勝利の確信を抱いていたのだが。しかし、それは崩れようとしている。お前の行動によって。たいしたものだよ」
ガブリエルは静かに神愛を称える。厳密には敵同士ではあるが、ガブリエルは神愛の功績を認め言葉を贈る。
「称賛と脅威の念を込めてお前をこう呼ばせてもらおう。イレギュラー。私の想像以上に危険だよ、お前は」
それは神愛を褒め称える一方で警戒の言葉でもあった。彼は天羽の長を倒したのだ。自分たちのリーダーを。本来ならこうして話をするような関係じゃない。
「ガブリエル。お前はなにがしたいんだ? これからどうするつもりだ?」
神愛は身構えた。ここでやるつもりか? ミカエルの仇討ちとしてここで戦いを始めても不思議じゃない。むしろ当然の流れだ。誰であれ自分たちの長を倒した敵が目の前にいれば戦ってくる。
「そう事を急くな。勢いに乗っているのは認めるが、そう軽々に敵視するなよ」
しかしガブリエルにその気はなく神愛の威勢を咎める。目つきは鋭く尖り、神愛を睨みつける。
「私は、ミカエルより強いぞ?」
その一睨みで世界が止まった気がした。
(こいつ、レジェンドか?)
緊張が走る。彼女の霊的質量が一瞬だが漏れ出た。その重量、プレッシャーは間違いなく強者のものだ。ここで全能クラスが参戦すれば戦況が変わりかねない。
「だが安心しろ。私はどうこうするつもりはない。元より静観するつもりだったしな。成るならなったで構わんし、失敗したなら失敗したでやつの責任だ。率直に言えばね、今回の計画には長所と短所がほぼ均一でどっちに転んでもよかったのだよ」
言葉通りガブリエルは本当に戦うつもりはないらしく緊張の糸は解けていく。
「私の出番など初めからなかったがこれにて終了だ。人間用の体のいい責任だけ引き受けて私は消えさせてもらうよ」
「お、おう」
ド直球な言葉に思わず照れる。妙にドキリとしてしまった。今更ながら抱きつかれた恵瑠の体の感触が柔らかく意識してしまう。
「ごほん!」
と、そこへミルフィアがせき込んだ。
「おっと! まあなんだ、こうして再会できてなによりだな!」
「そ、そうですね!」
二人は急いで離れ別々の方向を向いた。忙しなく目が泳ぐ。
「私も再会できてうれしいよ」
すると今までなかった声が聞こえてきた。
声をかけてきたのはガブリエルだった。この戦場にあってもスーツを乱れることなく着こなしており天羽長が倒されたにも関わらず平然としていた。彼女らの生みの父であるイヤスも現界したのだが、あれはすべてを超越した戦いだ。神愛とミルフィア以外に知っている者はいないのだろう。
ガブリエルは近づいてきた足を止め神愛を見つめてきた。厳然とした目つきは相変わらずだが、口元だけが小さく持ち上がる。
「ふ、まさかお前たちが戻ってくるとはな」
神愛たちとミカエルの戦い。それは目を疑うような大バトルではあったがミカエルの能力を知っている者ならば彼の敗北を思うものはいなかったはずだ。事実ガブリエルも思わなかった。悪くても引き分けといったところだ。
けれど帰還したのは神愛だった。
この結果にはガブリエルも内心驚いているようで、やられたミカエルにやれやれと思いながら話し始めた。
「あいつを破るか。正直予想していなかったよ。あいつが負けるところなど想像できなかったのでね。まあ、心の片隅で見たかったのは事実だが」
(ひでえ)
だが無理もない。
「お前のことをどうやら見誤っていたようだ。私ですらこの戦いには余裕と勝利の確信を抱いていたのだが。しかし、それは崩れようとしている。お前の行動によって。たいしたものだよ」
ガブリエルは静かに神愛を称える。厳密には敵同士ではあるが、ガブリエルは神愛の功績を認め言葉を贈る。
「称賛と脅威の念を込めてお前をこう呼ばせてもらおう。イレギュラー。私の想像以上に危険だよ、お前は」
それは神愛を褒め称える一方で警戒の言葉でもあった。彼は天羽の長を倒したのだ。自分たちのリーダーを。本来ならこうして話をするような関係じゃない。
「ガブリエル。お前はなにがしたいんだ? これからどうするつもりだ?」
神愛は身構えた。ここでやるつもりか? ミカエルの仇討ちとしてここで戦いを始めても不思議じゃない。むしろ当然の流れだ。誰であれ自分たちの長を倒した敵が目の前にいれば戦ってくる。
「そう事を急くな。勢いに乗っているのは認めるが、そう軽々に敵視するなよ」
しかしガブリエルにその気はなく神愛の威勢を咎める。目つきは鋭く尖り、神愛を睨みつける。
「私は、ミカエルより強いぞ?」
その一睨みで世界が止まった気がした。
(こいつ、レジェンドか?)
緊張が走る。彼女の霊的質量が一瞬だが漏れ出た。その重量、プレッシャーは間違いなく強者のものだ。ここで全能クラスが参戦すれば戦況が変わりかねない。
「だが安心しろ。私はどうこうするつもりはない。元より静観するつもりだったしな。成るならなったで構わんし、失敗したなら失敗したでやつの責任だ。率直に言えばね、今回の計画には長所と短所がほぼ均一でどっちに転んでもよかったのだよ」
言葉通りガブリエルは本当に戦うつもりはないらしく緊張の糸は解けていく。
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