天下界の無信仰者(イレギュラー)
ありがとう。私はこの世界をとても気に入っている
それがイヤス。慈愛の神。
だが違う、彼は人類を救いたいわけじゃない。
人類を自分のものにしたい。一人残らず、一つの例外なく。なぜならすべてを愛しているから。
慈愛連立とは人を救う法則ではない。
その逆。
人類すべてを、支配する法則なのだ。
「神理!」
その願いが神域にまで至り、常軌を超えた凶念が宇宙に流出する!
「慈愛連立・世界支配!」
愛が宇宙を覆う。建前と本音が現れた、これこそが本物の神理。世間体をはばかるいそいそしい神理などではない。本性を晒した全力の神理だ。その影響力は天上界から次元を無限に経由して流布している神理とは比べものにならない。神理の直撃だ。世界法則の強制改変。
イヤスは第一の神理、慈愛連立・世界支配を展開した。
第四の神理を、飲み込むつもりだ。
「ミルフィア!」
神愛は叫んだ。このままでは慈愛連立に書き換えられる。思考は洗脳され慈愛連立を信仰する傀儡にされてしまう。
『はい、主!』
それが分かっているからこそ神愛は叫び、ミルフィアも応じた。この戦いの黒幕、本当の敵が現れたのだ。この偽神を倒さない限り天界紛争の悲劇は繰り返されてしまう。
神愛はミルフィアとともに神理の出力を上げた。負けられない。譲れない。この神理に世界を許せば人類は愛玩される奴隷化だ。
そこに、人類としての未来はない。
人が人として生きるため、神愛は第四の神理を発現させる。黄金の風が爆誕した。
「『王金調律・思想統一!』」
二人を中心にして噴出する黄金が宇宙を染め上げていく。円形に広がる神理に世界が金色に染まる。
イヤスからも神理は噴出している。彼を中心に広がる純白のオーラが津波のように広がっている。暗闇に包まれる宇宙が瞬く間に漂白され、世界を書き換えていく。
そして、両者の神理が激突した。
世界改変同士の衝突。互いの神理が押し合った。境界面では世界が何度も上書きを繰り返し領域を奪い合っている。相手の世界を自分の神理で塗りつぶし、それを相手に上書きされる。
世界を領土にした争奪戦。相手の領土を奪い尽くし、世界を覆うまで終わらない宇宙のイス取りゲーム。
それは勝負としては極端なまでにシンプルだ。この戦いに力も技もない。特別な能力も関係ない。この勝敗を決めるのは神理の強さ、信仰の力――気持ちの大きさだ。
この勝負、想いが強い方が勝つ。
「く!」
神愛の表情が歪む。神愛は左手を前に伸ばし、手首を右手で掴んでいた。背後ではミルフィアが両腕を前に突き出し王金調律を補助するが、相手の力が強すぎる。
いくつもの星を巻き込みながら神理の流出と激突は広がっている。このまま世界改変の衝突が広がれば舞台である世界そのものが耐えられない。神理の圧力が宇宙を割り、この世界は消失するだろう。
それは分かっているが、だからといって手は抜けない。こんな男に世界は譲れない。
「これは本当のことだが、君には心の底から感謝しているんだ。創造主」
そこで、悠長にもイヤスが話しかけてきた。
「はじめて君を見た時には気づけなかったが、私自身が神になった時、君の正体と世界の真実に気づいたよ。この素晴らしい世界はかつてのあなたが創ったものだった。ここは最高だ、君には最大の賛辞を送りたい。ありがとう。私はこの世界をとても気に入っている」
そこに嘘はない。彼は本心でこの世界を愛し、人類を愛している。
「だから単刀直入に言よう。この世界を私に譲ってくれ」
感謝している。だが躊躇おうとは思わない。
だが違う、彼は人類を救いたいわけじゃない。
人類を自分のものにしたい。一人残らず、一つの例外なく。なぜならすべてを愛しているから。
慈愛連立とは人を救う法則ではない。
その逆。
人類すべてを、支配する法則なのだ。
「神理!」
その願いが神域にまで至り、常軌を超えた凶念が宇宙に流出する!
「慈愛連立・世界支配!」
愛が宇宙を覆う。建前と本音が現れた、これこそが本物の神理。世間体をはばかるいそいそしい神理などではない。本性を晒した全力の神理だ。その影響力は天上界から次元を無限に経由して流布している神理とは比べものにならない。神理の直撃だ。世界法則の強制改変。
イヤスは第一の神理、慈愛連立・世界支配を展開した。
第四の神理を、飲み込むつもりだ。
「ミルフィア!」
神愛は叫んだ。このままでは慈愛連立に書き換えられる。思考は洗脳され慈愛連立を信仰する傀儡にされてしまう。
『はい、主!』
それが分かっているからこそ神愛は叫び、ミルフィアも応じた。この戦いの黒幕、本当の敵が現れたのだ。この偽神を倒さない限り天界紛争の悲劇は繰り返されてしまう。
神愛はミルフィアとともに神理の出力を上げた。負けられない。譲れない。この神理に世界を許せば人類は愛玩される奴隷化だ。
そこに、人類としての未来はない。
人が人として生きるため、神愛は第四の神理を発現させる。黄金の風が爆誕した。
「『王金調律・思想統一!』」
二人を中心にして噴出する黄金が宇宙を染め上げていく。円形に広がる神理に世界が金色に染まる。
イヤスからも神理は噴出している。彼を中心に広がる純白のオーラが津波のように広がっている。暗闇に包まれる宇宙が瞬く間に漂白され、世界を書き換えていく。
そして、両者の神理が激突した。
世界改変同士の衝突。互いの神理が押し合った。境界面では世界が何度も上書きを繰り返し領域を奪い合っている。相手の世界を自分の神理で塗りつぶし、それを相手に上書きされる。
世界を領土にした争奪戦。相手の領土を奪い尽くし、世界を覆うまで終わらない宇宙のイス取りゲーム。
それは勝負としては極端なまでにシンプルだ。この戦いに力も技もない。特別な能力も関係ない。この勝敗を決めるのは神理の強さ、信仰の力――気持ちの大きさだ。
この勝負、想いが強い方が勝つ。
「く!」
神愛の表情が歪む。神愛は左手を前に伸ばし、手首を右手で掴んでいた。背後ではミルフィアが両腕を前に突き出し王金調律を補助するが、相手の力が強すぎる。
いくつもの星を巻き込みながら神理の流出と激突は広がっている。このまま世界改変の衝突が広がれば舞台である世界そのものが耐えられない。神理の圧力が宇宙を割り、この世界は消失するだろう。
それは分かっているが、だからといって手は抜けない。こんな男に世界は譲れない。
「これは本当のことだが、君には心の底から感謝しているんだ。創造主」
そこで、悠長にもイヤスが話しかけてきた。
「はじめて君を見た時には気づけなかったが、私自身が神になった時、君の正体と世界の真実に気づいたよ。この素晴らしい世界はかつてのあなたが創ったものだった。ここは最高だ、君には最大の賛辞を送りたい。ありがとう。私はこの世界をとても気に入っている」
そこに嘘はない。彼は本心でこの世界を愛し、人類を愛している。
「だから単刀直入に言よう。この世界を私に譲ってくれ」
感謝している。だが躊躇おうとは思わない。
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