天下界の無信仰者(イレギュラー)
人類が夢見る理想の世界よ
お前らそれでいいのか。
「いいよ、分かったよ。おごってやるよニンジンくらい」
「分かればいいウサ」
「じゃあ今すぐ出してもらうウサ」
「いや今はないよ」
「ないウサだとぉ~!」
二羽は丸い目をくりくりさせながら俺を睨んでくる。すげー、びっくりするくらい怖くねえ。
「どういうことウサ!? やるウサか? やるウサか?」
「てめえ、話と違うじゃねえウサ。嘘つきやがってウサ、これは戦争ウサ、うさぎと人間の、全面戦争ウサ!」
「ふざッけんな! 普段からニンジン持ち歩いてる奴いるわけねえだろ!?」
なんかすげーボルテージ上がってるぞこいつら。どうしてそんなすぐキレるの? 可愛くねえしやたらムカつくんだけど。
「おい」
それで俺はしゃがみ込んで目線の位置を同じにすると、このチンピラうさぎ共を睨みつけた。
「お前ら調子乗ってると、両耳掴んでホーガン投げみたいに振り回すぞ?」
そう言うと二羽はビクッと体を震わした。すると頭の上からモクモクした煙のようなものが浮かび上がり、合わさった。
そこには俺とこいつらの映像が映っており、きっとこいつらの考えていることだろう。
俺はリーゼントのうさぎの両耳をニンジンを引き抜くみたいに持ち上げると、そのまま回転し振り回したのだ。
回転はみるみる速度を上げていく。その時だった。
『あ、千切れた』
『ぎゃあああああ!』
リーゼントウサギははるか遠くまで飛んでいったとさ。
「ひぃいい!」
「逃げるウサ!」
その後モクモクはなくなり、二羽は文字通り脱兎の如く逃げ去っていった。その後ろ姿に天和が声を開ける。
「ああ、バニラとショコラが」
「あいつらそんな可愛い名前なの!?」
二羽はここからいなくなった。天和は彼らの逃げた先を見つめていたが、姿が見えなくなると俺に振り向いた。
「これがうさぎ界、人類が夢見る理想の世界よ」
「そうですか、すごいですね。それでは僕はお暇しますんで、早いとこ夢から覚ましてもらっていいですか?」
「それは出来ないわ」
「はああ!?」
出来ない!?
俺は天和に詰め寄った。
「おいおいちょっと待て、出来ないってどういうことだよ。なに、俺ずっとこのまま? うさぎしかいないこの場所に閉じ込められるの?」
「夢のようね」
「面白くねえんだよ」
なに上手いこと言ってんだこいつ。
「ここから出る方法は一つしかないわ」
「なんだよ、教えてくれよ」
「私はうさぎ神。うさぎ界の神様。だからここで起こることはすべて知っているわ。未来さえもね」
「なんでもいいから早く教えてくれよ、なんかここうさぎ臭い」
ずっとこんな場所にいてたまるか。さっさとこの悪夢から解放してくれよ。
「宮司君が目を覚ますのは、『まるでうさぎのハルク・ホーガンや!』って言う途中で目が覚めるわ」
「どういうことだよ! どんな状況なら俺はそんなツッコみを入れるんだよ!?」
もう駄目だ、無理だよそんなの。あるわけないだろそんな場面。
「はあー」
俺は絶望に項垂れ地面を見ていると、隣にいる天和が呼んできた。
「ねえ宮司君、あれを見て」
「なんだよ今度は……」
もういい加減にしてくれよ……。
俺はなんとか顔を上げ天和が指さしている場所を見てみた。コンクリートの道が続いている。
いったいなんだろうか。
「ん?」
なんだろ、そこにやけに大きなものが見える。
よく見てみると、そこには人の形をしたムキムキのうさぎがバンダナを被って立っていた。
「まるでうさぎのハルク・ホー――」
「いいよ、分かったよ。おごってやるよニンジンくらい」
「分かればいいウサ」
「じゃあ今すぐ出してもらうウサ」
「いや今はないよ」
「ないウサだとぉ~!」
二羽は丸い目をくりくりさせながら俺を睨んでくる。すげー、びっくりするくらい怖くねえ。
「どういうことウサ!? やるウサか? やるウサか?」
「てめえ、話と違うじゃねえウサ。嘘つきやがってウサ、これは戦争ウサ、うさぎと人間の、全面戦争ウサ!」
「ふざッけんな! 普段からニンジン持ち歩いてる奴いるわけねえだろ!?」
なんかすげーボルテージ上がってるぞこいつら。どうしてそんなすぐキレるの? 可愛くねえしやたらムカつくんだけど。
「おい」
それで俺はしゃがみ込んで目線の位置を同じにすると、このチンピラうさぎ共を睨みつけた。
「お前ら調子乗ってると、両耳掴んでホーガン投げみたいに振り回すぞ?」
そう言うと二羽はビクッと体を震わした。すると頭の上からモクモクした煙のようなものが浮かび上がり、合わさった。
そこには俺とこいつらの映像が映っており、きっとこいつらの考えていることだろう。
俺はリーゼントのうさぎの両耳をニンジンを引き抜くみたいに持ち上げると、そのまま回転し振り回したのだ。
回転はみるみる速度を上げていく。その時だった。
『あ、千切れた』
『ぎゃあああああ!』
リーゼントウサギははるか遠くまで飛んでいったとさ。
「ひぃいい!」
「逃げるウサ!」
その後モクモクはなくなり、二羽は文字通り脱兎の如く逃げ去っていった。その後ろ姿に天和が声を開ける。
「ああ、バニラとショコラが」
「あいつらそんな可愛い名前なの!?」
二羽はここからいなくなった。天和は彼らの逃げた先を見つめていたが、姿が見えなくなると俺に振り向いた。
「これがうさぎ界、人類が夢見る理想の世界よ」
「そうですか、すごいですね。それでは僕はお暇しますんで、早いとこ夢から覚ましてもらっていいですか?」
「それは出来ないわ」
「はああ!?」
出来ない!?
俺は天和に詰め寄った。
「おいおいちょっと待て、出来ないってどういうことだよ。なに、俺ずっとこのまま? うさぎしかいないこの場所に閉じ込められるの?」
「夢のようね」
「面白くねえんだよ」
なに上手いこと言ってんだこいつ。
「ここから出る方法は一つしかないわ」
「なんだよ、教えてくれよ」
「私はうさぎ神。うさぎ界の神様。だからここで起こることはすべて知っているわ。未来さえもね」
「なんでもいいから早く教えてくれよ、なんかここうさぎ臭い」
ずっとこんな場所にいてたまるか。さっさとこの悪夢から解放してくれよ。
「宮司君が目を覚ますのは、『まるでうさぎのハルク・ホーガンや!』って言う途中で目が覚めるわ」
「どういうことだよ! どんな状況なら俺はそんなツッコみを入れるんだよ!?」
もう駄目だ、無理だよそんなの。あるわけないだろそんな場面。
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俺は絶望に項垂れ地面を見ていると、隣にいる天和が呼んできた。
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「なんだよ今度は……」
もういい加減にしてくれよ……。
俺はなんとか顔を上げ天和が指さしている場所を見てみた。コンクリートの道が続いている。
いったいなんだろうか。
「ん?」
なんだろ、そこにやけに大きなものが見える。
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「まるでうさぎのハルク・ホー――」
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