天下界の無信仰者(イレギュラー)
化け物が……!
全力で、こいつを叩き潰すだけだ!
メタトロンが起き上がる。その威容はいつ見てもすごい。周囲の建物や塔も高いはずだが、やつがいるとよくできた箱庭みたいだ。それほどまでにやつは大きい。
そのメタトロンが近くにあった建物を片手で掴んだ。なにをするかと思えば、それを引き抜いたのだ。
「ッ!?」
二十メートル近い建物を持ち上げ、それを投げつけてきたのだ。
「そうくるかよッ」
単純ながらも絶大な砲撃がせまる。これだけで街を粉砕できる威力はある。
俺は妨害を発動し迫る建物を黄金で包んだ。それにより減速し始める。
そして黄金のオーラで掴むようにして建物を制御すると、俺は一回転し、建物を投げ返した!
遠心力によって速度が上がった建物がメタトロンに向かう。
建物は直撃。メタトロンに衝突したことにより砕け散りメタトロンは再び地面に倒れた。
だがすぐに立ち上がる。ダメージはでかいはずだがそんな素振りは見られない。
メタトロンがゆっくりと歩いてくる。足が地面を踏むたび巨大な音が響く。
俺もゆっくりと歩くようにして空中を進んで行った。その間、メタトロンから片時も目を放さず睨みつける。
そしてメタトロンの間合いに入った時、メタトロンは構えた。腰を落とし拳を腰付近に添える。
俺も構えた。拳を握り締め、黄金の粒子が拳に集まる。拳は黄金に包まれる。
そして、互いに拳を打ち出した。
俺とメタトロンの拳がぶつかる。音は衝撃となって広がった。黄金は衝撃に散らばった。まるで超大型の爆弾でも爆発したかのように、空気が壁となって街を襲撃する。
激しい威力を覚えるが、俺は退いておらず、メタトロンも両足が地面を打ち抜くが退いてはいない。
俺たちは拳をぶつけ合った。二撃目で無理なら三撃目。それでも駄目なら四撃目。次々に拳を打ち出した。その度に轟音と激しい衝撃が吹き荒れる。
激突に次ぐ激突。それに耐えきれなくなったのは俺たちよりも街の方だった。俺たちの激闘は余波だけで街を壊滅状態へと追いやっていく。
「おらよ!」
拳をぶつけ合い、ついにメタトロンの体勢が崩れた。押し返され数歩後退する。
すると身近にあった建物を再び手に取った。さきほどよりも大きい。三十メートルはあろうかという建物を持ち上げ、投げつけてきた!
とてつもない重量が猛スピードで迫る。
『うん。神愛君のおかげで大丈夫です!』
俺は黄金のオーラで建物を包み捕まえると、俺を軸にして回転し投げつける!
だが、今度はメタトロンも受け止めた。さらに加速をつけ投げ返してくる!
さらにそれを受け止め投げつける!
メタトロンも投げつける!
両者の間で建物を使ってキャッチボール状態だ。建物の速度はどんどんと増していきタイミングを誤れば直撃する。
『ずっと、一緒ですからね?』
「うをおおおおおおお!」
俺は投げつけた。それはメタトロンに直撃! メタトロンは今までにない吹っ飛び方をして地面を転がっていった。辺りを破壊していきながら勢いが止まる。
決まったか?
そう思いながら見つめているとメタトロンが動き始めた。
メタトロンは足で立つのではなく、浮遊し始めた。それにより体勢を立たせる。どんどん上昇していき俺は再び見上げた。
メタトロンが片手を上げる。同時に周囲の建物が揺れ出した。なんだ? 建物が微動していると、なんとメタトロンのように浮かび始めた。
「なに?」
芸術的なデザインをされたいくつもの建物が一斉に浮かび上がる。メタトロンの背後に位置すると、底を俺に向けてきた。
数は十個か? 掴んで投げてては追いつかない。
「ミルフィア!」
俺は叫んだ。俺の意図を汲んでくれたのかミルフィアが応じる。
『はい、主!』
黄金色のミルフィアは大声で答えると、背後にいくつもの魔法陣が浮かび上がった。どれもでかい。それも一瞬で作り出す。
メタトロンが腕を下ろした。それにより建物の群衆がすべて射出される。
同時に、対抗するミルフィアの砲撃が火を噴いた。
黄金に輝く光線がビルを迎撃する。いくつもの爆発が空中で起こり、破片と成り果てた建物が地上へと降り注ぐ。
「これで終わったと思うなよ!」
建物がすべて壊れた隙、俺は右腕を振った。
「止まれ――」
俺は王金調律の妨害を発動する。黄金の波紋が空間を走り抜けた。
俺が妨害する対象、それは時間そのもの。時間軸に干渉し、時計の針の動きを妨害し、動きを停止させる!
時がとまった。
空中を飛び散る建物の破片、それが空間に固定されたまま動かない。他にもすべての物が動きを停止した。
俺は空中を走った。いくつもの破片を掻い潜り、メタトロンへと走っていく。
だが、メタトロンは動いていた。制止した時間の流れでさえ腕を振り上げている。さすがといべきか。そもそも神徒の神託物が四次元に縛られるわけがない。
すぐさま妨害が働きメタトロンを縛り上げる。時間停止が利かないのなら妨害するまでだ。行動不能に貶め自由を奪う。
が。
「なに?」
メタトロンは、黄金の束縛を引きちぎった。止まった時間の中でさえ、さらに妨害まで振り切ってきたのだ。そこで俺はハッとした。
まさか、これが全力? 今まで手加減していたのか? そうでなければおかしい。妨害すら弾き飛ばすなんて。
「化け物が……!」
時間を止め妨害まで発動したので油断していた。無警戒に直進し過ぎた。その隙を突きメタトロンは拳を振り上げ俺を殴りつけてきた。
 体が一瞬で雲を突き破る。さらにメタトロンは宙を飛び俺に追撃してきた。
 上へ。上へ。何度も殴りつけ俺の体は大気圏を抜け宇宙にまで放り出されていた。そのままの勢いで暗闇の空間へと走っていく。
メタトロンが起き上がる。その威容はいつ見てもすごい。周囲の建物や塔も高いはずだが、やつがいるとよくできた箱庭みたいだ。それほどまでにやつは大きい。
そのメタトロンが近くにあった建物を片手で掴んだ。なにをするかと思えば、それを引き抜いたのだ。
「ッ!?」
二十メートル近い建物を持ち上げ、それを投げつけてきたのだ。
「そうくるかよッ」
単純ながらも絶大な砲撃がせまる。これだけで街を粉砕できる威力はある。
俺は妨害を発動し迫る建物を黄金で包んだ。それにより減速し始める。
そして黄金のオーラで掴むようにして建物を制御すると、俺は一回転し、建物を投げ返した!
遠心力によって速度が上がった建物がメタトロンに向かう。
建物は直撃。メタトロンに衝突したことにより砕け散りメタトロンは再び地面に倒れた。
だがすぐに立ち上がる。ダメージはでかいはずだがそんな素振りは見られない。
メタトロンがゆっくりと歩いてくる。足が地面を踏むたび巨大な音が響く。
俺もゆっくりと歩くようにして空中を進んで行った。その間、メタトロンから片時も目を放さず睨みつける。
そしてメタトロンの間合いに入った時、メタトロンは構えた。腰を落とし拳を腰付近に添える。
俺も構えた。拳を握り締め、黄金の粒子が拳に集まる。拳は黄金に包まれる。
そして、互いに拳を打ち出した。
俺とメタトロンの拳がぶつかる。音は衝撃となって広がった。黄金は衝撃に散らばった。まるで超大型の爆弾でも爆発したかのように、空気が壁となって街を襲撃する。
激しい威力を覚えるが、俺は退いておらず、メタトロンも両足が地面を打ち抜くが退いてはいない。
俺たちは拳をぶつけ合った。二撃目で無理なら三撃目。それでも駄目なら四撃目。次々に拳を打ち出した。その度に轟音と激しい衝撃が吹き荒れる。
激突に次ぐ激突。それに耐えきれなくなったのは俺たちよりも街の方だった。俺たちの激闘は余波だけで街を壊滅状態へと追いやっていく。
「おらよ!」
拳をぶつけ合い、ついにメタトロンの体勢が崩れた。押し返され数歩後退する。
すると身近にあった建物を再び手に取った。さきほどよりも大きい。三十メートルはあろうかという建物を持ち上げ、投げつけてきた!
とてつもない重量が猛スピードで迫る。
『うん。神愛君のおかげで大丈夫です!』
俺は黄金のオーラで建物を包み捕まえると、俺を軸にして回転し投げつける!
だが、今度はメタトロンも受け止めた。さらに加速をつけ投げ返してくる!
さらにそれを受け止め投げつける!
メタトロンも投げつける!
両者の間で建物を使ってキャッチボール状態だ。建物の速度はどんどんと増していきタイミングを誤れば直撃する。
『ずっと、一緒ですからね?』
「うをおおおおおおお!」
俺は投げつけた。それはメタトロンに直撃! メタトロンは今までにない吹っ飛び方をして地面を転がっていった。辺りを破壊していきながら勢いが止まる。
決まったか?
そう思いながら見つめているとメタトロンが動き始めた。
メタトロンは足で立つのではなく、浮遊し始めた。それにより体勢を立たせる。どんどん上昇していき俺は再び見上げた。
メタトロンが片手を上げる。同時に周囲の建物が揺れ出した。なんだ? 建物が微動していると、なんとメタトロンのように浮かび始めた。
「なに?」
芸術的なデザインをされたいくつもの建物が一斉に浮かび上がる。メタトロンの背後に位置すると、底を俺に向けてきた。
数は十個か? 掴んで投げてては追いつかない。
「ミルフィア!」
俺は叫んだ。俺の意図を汲んでくれたのかミルフィアが応じる。
『はい、主!』
黄金色のミルフィアは大声で答えると、背後にいくつもの魔法陣が浮かび上がった。どれもでかい。それも一瞬で作り出す。
メタトロンが腕を下ろした。それにより建物の群衆がすべて射出される。
同時に、対抗するミルフィアの砲撃が火を噴いた。
黄金に輝く光線がビルを迎撃する。いくつもの爆発が空中で起こり、破片と成り果てた建物が地上へと降り注ぐ。
「これで終わったと思うなよ!」
建物がすべて壊れた隙、俺は右腕を振った。
「止まれ――」
俺は王金調律の妨害を発動する。黄金の波紋が空間を走り抜けた。
俺が妨害する対象、それは時間そのもの。時間軸に干渉し、時計の針の動きを妨害し、動きを停止させる!
時がとまった。
空中を飛び散る建物の破片、それが空間に固定されたまま動かない。他にもすべての物が動きを停止した。
俺は空中を走った。いくつもの破片を掻い潜り、メタトロンへと走っていく。
だが、メタトロンは動いていた。制止した時間の流れでさえ腕を振り上げている。さすがといべきか。そもそも神徒の神託物が四次元に縛られるわけがない。
すぐさま妨害が働きメタトロンを縛り上げる。時間停止が利かないのなら妨害するまでだ。行動不能に貶め自由を奪う。
が。
「なに?」
メタトロンは、黄金の束縛を引きちぎった。止まった時間の中でさえ、さらに妨害まで振り切ってきたのだ。そこで俺はハッとした。
まさか、これが全力? 今まで手加減していたのか? そうでなければおかしい。妨害すら弾き飛ばすなんて。
「化け物が……!」
時間を止め妨害まで発動したので油断していた。無警戒に直進し過ぎた。その隙を突きメタトロンは拳を振り上げ俺を殴りつけてきた。
 体が一瞬で雲を突き破る。さらにメタトロンは宙を飛び俺に追撃してきた。
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