死の支配者にレクイエムを

looc

第三百六十四話 睡眠導入

睡眠導入

「刺されたところならもうかなり治っているよ。」
「・・・なら、不幸中の幸いか・・・でも、確か心臓を・・・。」
「・・・そうですね。・・・ですが、かなり回復力が高まっているみたいで、治ってしまいました。」
「・・・まあ、普通に動けている以上その通りなのだろうけど・・・すごい回復力・・・いや、再生力だね。」
「・・・ですよね。・・・ロメが『原初の種火』を取り込んだことにより回復力が上がっている感じがします。」
「・・・・・・ごめんな。・・・痛い思いをさせちゃって。」
「・・・僕なら慣れてますから。」
「・・・っつ!!」
僕がそう言うと、正義さんはなにかを堪えるかのように歯を食いしばりました。
「・・・・・・・・・なら、倉崎さんと宝条はどうしたんだ?無事なのか?」
「宝条さんに関しては正義さんと同じ理由で・・・多分『色欲』の力か何かで倒れているんだと思う。・・・それから、星奈お姉ちゃんは、僕が眠らせただけだから大丈夫。」
「・・・そんなに悲しそうな顔で言うなんて・・・なにがあったんだ?」
「・・・『色欲』を倒した直後に刺されました。・・・それで、すぐに正気に戻ったんですけど・・・ただ・・・とにかく自分を責め続けてて・・・。だから、眠ってもらいました。・・・もちろん、少し深めの睡眠に入っているだけなので起こす気になれば簡単に起こせるはずですよ。」
「・・・・・・くっ・・・こんなの誰も守れてなんかいないじゃないか!!こんな体たらくでなにが勇者だ!ふざけるな!くそっ・・・もっと力が欲しい・・・今度こそなにも失わないくらいの!」
そう力説する正義さんは、血が流れるほどに強く拳を握っていました。

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