死の支配者にレクイエムを

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第三百三十一話 醜悪事件

醜悪事件

『貪欲』に関するであろう事件について聞いて、
「・・・多分、間違いないでしょうね。僕たちが戦った相手の姿は研究者っぽかったですし。」
「だね。」
「・・・それで他のやつはどうなんですか?」
「・・・では、次は『醜悪』が関わったらしい事件じゃな。・・・これはおそらく、パルストムント王国の事件じゃろうな。今から十年ほど前のことじゃ。一人の青年が今回の事件の主人公じゃ。・・・彼はある村で妻と娘とともに幸せに暮らしていた。じゃが、その村に一人の貴族が訪れた。そいつの趣味というのがなんとも腐っていての。平民の子供に無実の罪をかぶせてその子供を親の前で拷問し、次に母親を拷問し最後に父親を処刑するという、まさに腐った外道じゃった。そして、もうわかるじゃろうが彼の娘は不幸にも貴族の目にとまってしもうた。そいつは適当な罪をでっち上げて彼ら一家を王都の自分の屋敷に連れ帰った。まあ、結果としてどうなったか。まあ、娘と母親は惨たらしく殺されたそうじゃ。そして、男は怒りのあまりその身を化け物に変えて、暴れまわり王都は全て瓦礫の山となったそうな。これに関しては生き残りがわずかながらもいての。・・・というよりも王都以外にはそれほど被害はなかったのじゃ。・・・しかし、目撃者もよほど恐ろしかったんじゃろうな。あまり口に出さんかったようじゃ。まるで、口にしてしまったらそいつが来ると思ったのかもしれんの。」
カーディー様は言い終わってから、少しの間目を閉じていました。・・・その子の死後が少しでも安らかなものでありますように。

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