死の支配者にレクイエムを

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第三百話 管鮑之交

管鮑之交

「セーナ様、水を貰ってきました!!」
「ええ、ありがとう。・・・奏くんもおさまったわよ。」
「本当ですか?!・・・大丈夫ですか?!ご主人様!!」
「・・・うん、大丈夫だよ。ミーナ・・・。」
「・・・っっつ!?」
「少しだけ記憶が戻ったんだって。」
「・・・良かったです。」
「いつもありがとう、ミーナ。」
「い、いえ。そ、そんなお礼を言われるようなことでは。」
「・・・僕はきっと、幸せ者だよね。こんなにも僕のことを思ってくれる人たちがいるんだもの。」
「・・・そう言ってもらえますと・・・その、照れます。」
「・・・今はまだ、なんのためにここにいるのかの動機もわからないけど・・・なんでかな。いかなきゃいけないって思いと、早く思い出したいっていう焦りが・・・。」
「それだけ、ご主人様にとっては大切な記憶だったんですよ。」
「だよね。・・・多分、記憶を取り戻すたびにこんな感じで魘されることになると思うけど・・・それでも僕は取り戻したいかな。」
「・・・そうですか。・・・出来るだけご主人様のそばにいますから何かあったら私を頼ってください。」
「うん。ちゃんと、二人に頼らせてもらうから。」
「・・・はい!!お任せください!!」
「・・・まあ、そもそも、今も全く動けないからみんなを頼っているって状態なんだけどね・・・。」
・・・誰かを頼ることができるっていうのは幸せなことだな。・・・あのときは誰も頼れなかったから・・・あのとき?・・・これも僕の忘れた記憶なのかな?

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