死の支配者にレクイエムを

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第二百八十三話 滅茶苦茶

滅茶苦茶

「サァて、殺戮のはじまりダァ。」
鬼は口角を吊り上げました。
「・・・主は何者じゃ?」
「俺かァ?俺は・・・そうだなァ、こいつには黒鬼って言われているが・・・ハセクとでも名乗っておこうか。」
「その体の主はどうした?」
「こいつなら、記憶も感情も認識も知識も意識も全てがぐちゃぐちゃになってしまって、消えかかっているさ。馬鹿なやつだよなァ、自分にできること以上を求めるからこうなるってのになァ!」
「ふむ、まあ、こやつなんぞ、残しておいても害しかあるまい。意識を刈り取ってやるから覚悟するがいい。」
「命は奪わないってか?お優しいことでェ。」
「まあ、その子には頼みごとをきちんと達成してくれたからね。誠意には誠意をもって返したいじゃろ?」
「知った・・・ことかよォ!!!!」
黒鬼・・・ハセクは言いながら駆け出し・・・いえ、一度地面を蹴るだけでアネモイとの間の距離を詰めると殴りかかりました。アネモイは、嫌な予感がしたため、左の腕を盾にして拳から身を守りつつも飛び退きました。ですが、盾にした左腕は拳が触れた部分を中心に砕け散りました。
「まさか、我に傷をつけるとはの。」
「とか言って、もう回復しているじゃァないかァ。まあ、これを続けていればこちらの勝ちだがなァ!!」
ハセクの言う通り、精霊は魔力でできた体で出来ているため、魔力がある限りは体を修復することなどたやすいことなのだが、龍を倒す際に大量に魔力を使用したことや、その後、貪欲の力により魔力が吸い取られたことにより、魔力量にそれほど余裕があるという状態ではなくなってしまっており、あと二回同じ攻撃を食らえば修復ができずに死ぬことになるでしょう。幸いなことに、見ただけで不安定化させる力に関しては出力がそこまでではないのか、全く効果がありませんので、攻撃に触れないように立ち回らなければいかないのです。

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