死の支配者にレクイエムを

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第百五十九話 転調

転調

リヴィア視点

「さあ、カナデ。今日は買い物よ。一緒に行きましょうね。」
私はユナに話を聞いてそれをもとに知り合いの鍛冶屋のかたに作ってもらった車椅子にカナデを座らせて、車椅子を押しました。
「最近は晴れが続いているから畑が乾燥して大変なんだって。」
なにか反応があればと思って毎日話しかけていますが反応は今日も一切見られませんでした。
「・・・あら?」
あたりが仄暗くなりました。
「一雨来るのかしら。急いで戻ったほうがいいのかしらね。」
私は買い物を切り上げて家に戻ることにしました。
そうして家に向かっていると突如鈍い音が響きわたりました。
「・・・!爆発音!?・・はやく家に戻らなきゃ!」
カナデが自我を保っていた頃にあった黒い男の事件を思い出しながらそう言いました。急いで家に戻っていく途中、私たちの近くで爆発がおこりました。その結果地面が割れてそこにカナデの乗る車椅子の車輪が引っかかり動けなくなりました。
「・・・カナデ!!」
なんとか車輪を引き抜こうとしましたが、そのとき近くの建物がこちらに向かって倒壊してきました。私はカナデの乗る車椅子にとっさに体当たりしてそこに乗るカナデを突き飛ばしました。なんとか、カナデが倒壊に巻き込まれるのは避けることができました。・・・しかし、私は逃げることが間に合わず、木片などが身体中に突き刺さりました。朦朧とする意識の中、カナデのもとに這ってゆき、そして、カナデの頬に触れました。そうして、その手はカナデの頬を擦り落ちてゆきました。

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