死の支配者にレクイエムを

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第百九話 天秤乃裁

天秤乃裁

首都までの道の途中。その日もいつも通り進んでいたのだが、突如馬車が停止した。
「ど、どうしたんですか?」
「と、盗賊だーっ!!」
「数は?」
「100以上はいる。も、もうおしまいだ。」
護衛もきちんといますが、数の上で圧倒的に負けているので、守りきれないと判断したようです。
「そうですか。・・・なら手伝いますね。」
「はっ?子供がなにを、いいから下がって・・・えっ?!」
僕と話していた御者さんが見たのは地面から突き出た縄とそれに巻きつかれた盗賊たちでした。
「そういえば、盗賊ってどうすれば良いの?」
「えっ!?あっ!ああ、生け捕りにしても良いが、近くに街がないから、この場合は殺してしまって構わないが・・・」
「そうですか。では。」
僕はそう言ってほんの少しだけ縄を操作し、首の骨を折りました。
その様子を見て、盗賊は得体の知れない縄から逃げ出そうとしましたが、そいつらも、僕が捕らえて首の骨を折ったり、お姉ちゃんが風魔法で切り裂いたりして数が減っていきました。中でも一番多くの成果をあげたのは結奈でした。結奈は天秤の理って言う魔法?なのかはわからないけど、それを使うんだけど、天秤は正義とか裁きの象徴だからね。盗賊って言う悪には効果が抜群なんだろうね。結奈が対象に選んだ盗賊が次々に何かに噛まれて死んでいった。エジプト神話かな?近いのは。それからすぐに盗賊は全て討伐された。
「・・・結奈は大丈夫・・なの?」
「・・・うん・・、今までも、繰り返してきたこと・・だから・・ね。」
「・・・そっか、そうだよね・・・。うん、今まで・・・ごめんね。」
「謝らないで・・・、わたしが望んだことなんだから。」
そう言われても申し訳ないと言う気持ちは無くなりません。そんなギクシャクした僕たちをお姉ちゃんは抱きしめました。
「お・・ねえ、ちゃん?」
「ほら、二人ともそんなに暗くならないの。」
「はーい・・。」
「うん・・。」
「アウラちゃんも心配しているわよ。」
「カウッ・・・。」
「そっか・・うん、アウラもう大丈夫だよ。」
「心配してくれてありがとう。」
「カウッ!」
「あはは、くすぐったいよ、アウラ。」
 暗い気持ちを吹き飛ばすようにじゃれ合っていました。

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