死の支配者にレクイエムを

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第八十五話 魂魄顕現

魂魄顕現

「かはっ、げほげほ」
僕はむせかえりながらも目を覚ましました。今まで息が止まっていたらしい。
「カナデ?カナデッ!良かった、本当に良かった。」
「お姉、ちゃん・・・いつも、心配かけ、てごめん、なさい。」
「心臓も止まっちゃって、死なないことを祈ることしかできなかったのよ。」
「ごめん、なさい。」
僕はもう一度謝った。
「私も、一緒に頑張るから、一緒に強くなりましょう。」
「うん。」
「実はね、カナデの心臓が止まっているときにカナデを助ける力がほしいって祈ったら、神様にあったのよ。それで、魂魄魔法って言う魔法をもらったから、それを鍛えようと思うの。」
「こっちは、黒い空間で鬼と戦ったよ。ぼろぼろにされたけど、そのときに結奈が・・・ってそうだ、結奈の鍵を・・」
僕はそう言って結奈の依り代となった鍵を呼び出そうとして、左手に持っていることに気づいた。
「お姉ちゃん、この鍵!この鍵に結奈が宿っているから・・・お姉ちゃんに渡せばいいって結奈が言っていたんだけど・・・」
「・・・ああ、テニル様が言っていたのはこう言うことか。わかったわ、貸してちょうだい。」
お姉ちゃんはそういって鍵を受け取ると、
「其に宿りしものよ、現世に姿を示せ。『魂魄顕現』」
そうお姉ちゃんが言うと、鍵がお姉ちゃんの手から離れて宙に浮き、そして、鍵を核として光の粒が集まりました。それは結奈の形を形作ってゆき、そして、結奈が死ぬ直前の先ほどまで黒い空間で見てきたままの結奈が姿を現しました。

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